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アメリカというウイルスが台湾から中華世界に侵入する

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新疆で人権侵害が起きているらしいのだが西側先進国は手出しができない。新疆は中華人民共和国の領土であり中国は主権国家だからだ。チベットでは昔からチベット仏教徒への迫害があったと言われていたがこちらも介入はできなかった。ところが、この状況を逆手に取った動きが出ている。それが台湾である。

ではこの動きは何を意味するのだろうかと考えた。

ここからは自由主義をウイルスだとみなすことにする。つまり、大陸中国人の立場に立って考えることにする。つまりこの話は自由主義・民主主義というウィルスをいかに中国に進入させるかという話である。当然、中国共産党から見ればこれは敵対行為だ。自由主義陣営から見ればワクチン接種ということになるかもしれない。

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西側先進国はキリスト教から宗教的要素を抜き出して自由主義・民主主義という新しい宗教を作った。キリスト教は神を中心とした秩序だが、実際には教会の人的支配も意味する。抵抗する人も多く支配できなくなってしまったために教会に依存することをやめてしまったのだ。

教会という組織がなくなることでこのウイルスはこれまで浸透できなかった地域に浸透できるようになった。布教を前提にしたスペインやポルトガルではなくオランダやイギリスの方が日本に接近しやすかったのはそのためである。弱毒化したから浸透しやすくなったのである。

中華帝国は諸民族から宗教を奪って来た。これは部屋をきれいにして外敵を寄せ付けないようにする政策である。モンゴルとチベットは仏教を信仰しており、ウイグル人はイスラム教を信仰するうえに言語も違っている。彼らは危険だが敵に回すわけには行かない。こうして中国人は自民族と異民族を分けた上で管理してきた。

つまり中国共産党にとって民主主義というのは最も新しい宗教である。だが資本主義の成果は得たいので「毒を取り除き利益だけを得ようとして」きた。

「ウイルスとしてのバイデン政権」は、ここに侵入する方法を考えたのだろう。周辺地域ではあるが異民族でないところ・中国であって中国でないところを見つければいいのだ。バイデン大統領の考えたアイディアではないだろう。だが、スタッフの中に頭がいいことを考えた人がいるものだと思う。

台湾はウイグルなどの周辺地域とは真逆の関係にある。台湾には大勢の漢民族が住んでいるが共産党の影響力は及ばない。共産党の主権領域ではないために各国政府が働きかけることができる。そしてこれが重要だと思うのだが「共産党が一つの中国を言い立てれば言い立てるほどアメリカが中国に入り込むことができる」ことになる。

将来大陸が台湾を接収しても「毒ごと体に取り込む」ことになる。

仮に台湾が独立した存在であれば、アメリカと中国が接近してもアメリカは単に台湾に接近したことにしかならない。だが、大陸中国が「台湾は中国の一部である」と言っているので、「中国との関係」を強化したことになってしまうのである。そして、これを外交と言わなければ一つの中国政策を違反したことにもならない。こうしてバイデン政権は中国世界への侵入にひとまず成功した。あとは周辺の大きな国にそれを認めさせればいい。

同じことは香港でも起きている。イギリスは香港の市民の多くが持つイギリスの海外パスポートを持っている人たちがイギリス市民になれる道を開いた。これはイギリスにとっては単なるコストにしか思えない。だが、よく考えてみるとイギリスに香港への権利を持つ人たちを迎え入れたということになる。つまり、持って行き方によっては「香港への正当な介入権を得た」と国際社会に認めさせることができてしまうのである。領土は奪えないが人は持ってこれる。

こうした介入は中国共産党が物事を曖昧にしていれば起こりようがなかった。台湾は潜在的に中国の一部であるが外交関係は結べないという宙ぶらりんな状態に留め置かれたであろうし、香港は実質的な国境で区切られた別地域であったはずである。こうして経済と思想を分けて置くことができたのだ。おそらく共産党中国の執行部は台湾や香港が厄介な存在であるということをわかっていたからこそ状況を曖昧にして来たのだろう。

おそらく中国は自分たちの周辺に周縁地域を置くことで安心したいというメンタリティを持っている。領土には長城が作れるが人や心には長城は作れない。その代わりに緩衝地域を作って自分たちを安心させようとして来た。つまり自分たちの部屋はきれいに保っておきたい。外が汚れていることはわかっているから周りを緩衝装置で囲もうとしているのである。だがそんなことをしていてはいつまで経っても抵抗力がつかない。

日本人である私たちは常に海に囲まれているので「海外から異なった考え方が入ってくるなら都合がいいものだけ取り入れればいいではないか」と考える。文化的には極めて慎重だがそれでも外からアイディアが入ってくること自体には恐怖感はない。さらに外から入ってきたアイディアはいくつものフィルターで日本化されてしまう。つまり我々は異質なものに対しての抵抗力を持っている。

同じような考え方を持っているのが台湾から中国南部・福建省などの海岸部・東南アジアに広がっているのが拡張思考を持っていた中国人である。同じ中国人といっても海洋型のメンタリティを持っていて異物に抵抗力があることになる。中国は実に多様な地域だ。

これはユトランド半島や北欧沿岸に住んでいた人たちのメンタリティに似ている。ユトランド半島からイギリスに渡った人たちがさらに海を渡って作ったのがアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドである。さらには民主主義・自由主義というウイルスを各地にばら撒こうとしている。半ば本能的なところがあるのだろう。

台湾・アングロサクソン・日本を加えた海チームは基本的に海を脅威ではなく機会だと考えている。我々が共有する価値観は実は民主主義ではない。海洋型のメンタリティなのだろう。

中国共産党は海チームの一員である台湾人を軍事的に統合することはおそらく可能だろう。たとえ軍事行動が成功したとしても逆に内部に反乱分子を多く抱えることになる。大陸型のメンタリティで彼らを管理するのはおそらく不可能だ。だから大陸中国は台湾を外に置いておくしかないのである。

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