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マイナンバーカードの電子証明書の更新に行ってワシは色々考えた

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最近、にわかに発行枚数が増えたと言われるマイナンバーカードだが実は最初に発行されてから5年が経つ。案内が送られて来たので電子証明書の更新に行って来た。「国の頭の悪さ」について色々考えさせられた。

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住民票を正しく登録していれば申請書は間違いなく送られてくる。ただカードの更新と電子証明書の更新が一つのチラシに入っていて極めてわかりにくい。今回はほとんどの人が電子証明書の更新のみのはずだ。だがチラシがわかりにくいのでわざわざ「写真を持ってくる人」が多いのだと窓口の人が教えてくれた。お金を出して写真を撮影して「実は使わない」とわかってクレームを入れる人もいるのではないかと思った。中途半端に印刷代を節約したツケである。

市の更新窓口は8時30分からやっているので忙しい人でもなんとかなるといえばなんとかなる。だがやはり「窓口に行かなければならない」というのはやはり手間だ。運転免許証のように必要なものではないのだから取得しない人が多いのも当たり前だ。マイナンバーカード申請のために有給取得などと言えば怒られるのではないだろうか。

だが、マイナポイント制度の周知がやっと進んだということで最近申請者が増えているそうだ。テレビで紹介されてかなり時間が経ってやっと周知されたことになる。ワイドショーなどで大量に情報を流さないと国民は動かないんだなと思った。情報が氾濫しているのでCM程度だけでは埋もれてしまう。ワイドショーで繰り返しタレントが訴求してやっと「少なくとも5000円もらえる」ことを理解するのだが、その頃には申請書がなくなっている。だから申請書を再度送ってやっと国民が動き出したということなのだろう。

かつて千葉市のある区役所には2つしか窓口がなかった。だが今回行ってみるとカウンターの奥に臨時窓口ができていた。後ろにはキャビネットがありカードを捌いているのがわかる。名前まではわからないが「若い人もたくさん申請しているんだな」とわかるくらいの距離である。盛況なのはいいことなのだがプライバシーは大丈夫なのかなと思った。

今、このカードは市の図書館登録カードとして使える。マイナポータル経由で申請すれば保険証ともして使える。ただし、これを全て管轄している人は誰もいない。あってもなくてもいいようなサービスにしか使われていないので影響は少ないのだがいざという時になんでも聞ける窓口はどこにも存在しない。全体を統括している人もいない。

マイナンバーカードのこととマイナポータルの操作については国の窓口に聞くことができる。保険証として利用できるかどうかは国の窓口でわかる。ただ、実際に使えるかどうかはそこではわからない。病院が認識機器を設置しないと実際には使えないからである。おそらくマイナンバーカード担当者は厚生労働省が管轄する病院のことは情報を持っていない。トラブルの解決を病院でするのか国のコールセンターに電話するべきなのかはよくわからないままだろう。ある意味10月の混乱が楽しみでさえある。だが心配する必要もないのかもしれない。今までの健康保険証があれば十分だからである。

市の図書館カードについても同じである。国はそれぞれの地方自治体がどういう利用をしているのかは把握できない。市の申請窓口の職員は「千葉市図書館でこれがカードとして使えるのか」ということすら知らなかった。電子証明書が書き換えになると図書カードとの結びつきが切れてしまうようだ。つまり時間を見つけて図書館にゆかなければならない。今は図書館カード一つだけなので図書館を訪問すればいいだけであるがこの結びつきが増えたらどうなるんだろうかと思った。

図書館で再申請するときには古いカードを見せなければならない。結局古いカードは捨てられないわけだ。だったらわざわざ図書館カードをマイナンバーカードにする意味はない。おそらく国に言われてやったのだろうが本気で普及させようという気概は全く感じられない。使う人はほとんどいないそうだが、図書館の担当者は二つのオペレーションを覚えなければならない。

繰り返しになるが、マイナンバーカードは幅広い利用を想定しているがゆえに「全てを把握している人」が誰もいない。千葉市の保険担当者は「千葉市でマイナンバーカードの情報を統一的に把握する部署は作らない方針です」と言っていた。つまり、全てはユーザーの自己責任ということになる。図書館もカードをなくしてまでマイナンバーカードを作らせるようなつもりはない。

つまり「電子証明書の利用はほとんど広がる見込みがない」ことになる。今回のポイントカードで「5000円プラスα」がもらえるという理由でマイナンバーカードを作った人はおそらく次のオトクがなければ電子証明書更新はしてくれないだろう。マイナンバーカードの発行枚数と電子証明書の有効件数はおそらくこの先かなり乖離することになるんだろうなと思った。マイナンバーカードの担当者は案内の印刷代をケチって節約精神を見せたが、実は事務作業とポイントが無駄だったということになってしまう。

とりあえず話の種に作ってはみた。作ってみると身分証明書にも使えて便利ではあるのだが、取得と維持の手間に見合うような効果はなにもない。菅総理大臣がなぜあれほどまでマイナンバーカードにこだわるのかがさっぱりわからない。

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