ざっくり解説 時々深掘り

誰が2020年東京オリンピック・パラリンピックの救世主になるのか

森会長が世論に押されて退任した。もともとはJOCの理事改革に抵抗感を示しただけだったのだがそれが女性蔑視であるとされての辞任だった。ボランティアが離れスポンサーからも抗議があったのだろう。最終的にNBCテレビが動きIOCも対策を取らざるを得なくなった。退任の挨拶でもとりとめのない思い出話を披瀝し「私は女性差別はしない」と言い張った。醜い退出劇だった。

だが、そのあとはさらに醜かった。森喜朗が後継指名をしたために非難が起こり川口三郎氏が後継指名を辞退してしまったのだ。

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森会長はオリンピック・パラリンピックの価値が理想にあるという点に気が付けなかった。性差別も人種差別もあり戦争が蔓延し疫病まではびこっているという過酷な現実があるからこそオリンピックの平和と平等という理想に商品価値が生まれる。自分の心情にしか関心がない森さんはそれに気がつけなかった。これを老害という人がいるがそれは間違っている。神の国発言でも森さんは同じようなメンタリティを披瀝している。そういう人だったのだ。

日本の政府関係者も内外の期待が理解できていなかったようだ。建築業者と旅行関係者が喜べば次の選挙が有利になるくらいの理解しかなかったのであろう。村社会にどっぷりと浸かり外が見えていないという無能ぶりが透けて見える。川淵さんは表では会長の退任に関与していないと言いつつも裏ではあれこれと細かい注文を出していたということまで暴露した。実は安倍さんや菅義偉さんにも相談は行っていたらしい。「川淵さんが直接聞いたのではなく森さんから伝聞で聞いたのだろう」と田崎史郎さんは言っていた。

だが、森喜朗元会長の懸念は実は一部では当たっていた。つまりスポーツ界は長老のエゴがぶつかり合う村の集合体で実はまとまりがない。だから森さんがまとめて出るしかなかったのである。川淵さんがやめると橋本聖子五輪担当大臣はどうかという話になったようだが、あの人は気に入らないという理事もいたようだ。丸川珠代さんがいいと言っている人もいるようだが、どうも銀座のホステスの指名に似ている。結局女性をそういう対象としか見ていないのだろう。自分のお気に入りを担ぎたいという人たちがまとまりなく話し合いを続けてもおそらく候補者は出てこないにちがいない。

川淵三郎氏はサッカーのチェアマンとして地域振興というビジョンを具体的なアクションプランに落とし込んだという経歴がある。ビジョンを共有してアクションに落とし込みそのビジョンを外に伝えるという意味では日本の五輪関係者にはなかった機能である。森さんの強引な後継指名がないとおそらくまとまらなかったのだろうが、それはやってはいけないということになった。そして実際にまとまらなくなった。

救いもある。NBCはまだオリンピック・パラリンピックに商品価値を見出しているようだ。つまりテレビはまだオリ・パラを諦めていないのである。日本人はオリパラが世界から取り上げられるのではないかと恐れているが、実際にはまだその段階にはないということになる。

会長選任選挙の会議はオフィシャルには公開されていないのだが「壁耳」の記者たちがいて噂話として周囲に漏れ伝わってくる。例えていうならば芝居小屋が開く前に楽屋で口汚い罵りあいが続いているような状態である。おそらくこれがSNSを通じて広がり海外にも日本の恥として広がってゆくのだろう。

これをどう処理するのかということが次の課題になる。夢や希望を語っている裏で取っ組み合いの喧嘩が繰り広げられているとなれば、日本は女性蔑視の上に次のリーダーも決められないのかということになる。

オリンピックの続行が決まってよかったとは思うのだが、やり方を間違えると日本の恥を世界に発信し続ける悪夢のような大会になるのかもしれないと思った。この「ありのまま」を見せるのが日本の将来のためになるのかもしれない。流石に次の世代はこれじゃまずいだろうなと思うだろうからである。

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