現在、河野太郎大臣を中心にワクチンの準備を進めているそうだ。このワクチンさえ接種できれば新型コロナ騒ぎは収束するのではないかと期待している人も多いだろう。だがそのワクチンに「効果がないかもしれない」としたらどうだろうか。そんな話がフランスとドイツから聞こえてきた。
マクロン大統領が「アストラゼネカのワクチンは高齢者には効かないかもしれない」と言っているというニュースが目に入った。「マクロン大統領の私的で根拠のない発言だろう」と思ったのだが実はドイツでも同じ話がでているという。ドイツでは65才以上の高齢者には打たないようにという勧告が出たそうだ。
アストラゼネカはイギリスの会社である。おそらくスピードを重視したイギリスは承認手続きを簡略化したのだろう。オックスフォードとの共同研究では高齢者への知見が不足しているという。このため「情報がない」ということになったようである。
もちろんアストラゼネカのワクチンが全く効かないというわけではなさそうだ。ワクチンの供給が遅れているためEUはイギリスにたいして「北アイルランド経由でワクチンを海外に輸出しないように」と圧力をかけたようである。EUから北アイルランドの「抜け穴」を使って域内で生産したワクチンが流出しないようにしているのだそうだ。「EUへの供給に遅れが出ているのに海外に出すのはけしからん」というわけである。「ワクチン戦争」という言葉も飛び出している。
命がかかっているのでエゴをむき出しにしてでも国益を守らなければならない。こういう時にこそ人の本音が露骨に現れる。
日本は国内でアストラゼネカのワクチンを9,000万回分準備するという。つまり、この輸出規制には影響を受けそうにない。だが別のことが気になる。高齢者に事前の検証ができていないということは「効かないかもしれない」ということだけを意味するわけではない。何らかの深刻な副反応が出る可能性が排除できないということになる。
この意味ではイギリスの接種は壮大なテストになるだろう。イギリスで問題が起こらなければ日本でも問題が起こらない可能性は高い。そもそもなんらかの副反応が出るからといって接種を止めるわけにはいかない。とにかく「何かしなければ」ならないのだ。
「慎重な日本のことだからきちんと検証するだろう」と思いたい。だが、河野大臣も菅総理大臣もワクチンに前のめりになっている。菅政権はいつものように「都合の悪い情報は出さないのではないか」という懸念が払拭できない。医療従事者と高齢者が実験台になってしまう。
さらに自民党が自分たちだけは安心なワクチンを打ち一般国民にはアストラゼネカを割り当てるかもしれないとも思える。
流石に「そんな非人道的なことはやらないのではないか」と思いたい。だが先日、自民党は二階幹事長のもとで全職員にPCR検査をやることを決めたという報道があった。
ニュースを見る限り公的検査なのか自費検査なのかはわからないがネットには「上級国民批判」があふれていた。「自分たちだけは安全なところにいて国民が右往左往するのを上から眺めているのではないか」と思ってしまうのだ。
「自宅療養」という形で待機させられている一般国民の間には死者も出ている。千葉県や神奈川県ではPCR検査を待っている間に亡くなった人もいるそうである。だが石原伸晃議員は特権的に検査を受け入院することもできた。議員は上級国民なので列に並ばなくてもよいわけである。石原議員はめでたく退院なさったそうである。国民の命は平等ではない。自民党の命の方が重いのだ。政治的な正しさにこだわっている場合ではない。なにせ自分の命である。
アストラゼネカのワクチンが「実は高齢者に効かない」あるいは「実は副反応を起こす人も出てくる」としても今の自民党政権が本当に正しい情報を出してくれるのかはよくわからない。自民党はおそらく命の次に議席を優先するだろう。上級国民の間にはおそらくきちんとした情報が行き渡るだろうが我々はその傘の中には含まれていない。