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トランプ大統領が日本に残した最後の置き土産とは何か?

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バイデン大統領の就任の日、デイリー新潮で面白い記事を見つけた。福岡県で行われたトランプサポーターのデモに新興宗教系の団体が関わっていたというのである。この手のデモには韓国ヘイトがつきもののはずだが「それがない」ことが気になったようだ。もちろん全部が全部とは言わないが、新興宗教が入っているというのはありそうな話だなと思った。

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まだオウム真理教が事件を起こす前、私の周りでは新興宗教はかなり身近だった。大学のキャンパスに入り込んでいたのだ。どちらかというと友達がおらず世間を憂いているような人が突然明るい表情で話かけてくることがある。世の中がガラッと変わるようなセミナーを見つけたなどというのである。これが「彼らがダークサイド堕ちた」サインだった。

個人的にはミッションスクールを経験しているので宗教的なものに耐性があった。伝統的な宗教は世界観がガラッと変わるような神秘的な体験などを売りにすることはない。また信者を個人的に囲い込んで話し合いができないようにしたりもしない。また階級を作ってご褒美を出したりということもない。これらは新興宗教が何らかの形でカモを探している主なサインだ。

ところが日本人は一般的に宗教に耐性がないのでこうしたものの真偽を確かめることができない。真面目で寂しがりの人ほど信じやすくいったん信じてしまうと周囲が説得するのは不可能だ。だから「ダークサイドに堕ちたな」と思うわけである。オウム真理教事件が起きたとき、多くの幹部信者は高学歴だったが「なるほどな」と思った。彼らは仲間を得て最初は嬉しかったはずだ。

新興宗教は「入り口」になるものをいつも探している。トランプ支持者が引用しているニュースソースの中には中国系の新興宗教団体が運営しているものもあった。大陸で弾圧されているが故に外国で運営しているものだ。おそらく反共のメッセージとして利用されているのだろう。

いわゆるフェイクと呼ばれるニュースはこれから減ってゆくだろう。情報発信源となるSNSがいろいろな形で閉じられているからである。一時の熱狂でここに集まってきたような人たちは徐々に退出するだろう。だが、一部の支持者たちは熱心にここに居残ることになるのかもしれない。全てを投げ出してある主張に心酔するという意味では新興宗教の支持者として資質がある人たちだ。つまり新興宗教のカモになりやすいリストなのである。

江川紹子さんが、オウム真理教とトランプサポーターの共通点を書いていた時は「そんなバカな」と思ったのだが、大筋では正しい感覚だったのかもしれない。「寄付やセミナーには気をつけてほしい」とは思うが、自分から進んで何かの運動に共鳴したいと考える人も多いだろう。

おそらく、SNSネイティブの現在の大学生がこうしたメッセージに引っかかることは少ないのだろう。だが、現役を引退して生きがいを探している真面目な人ほど危険性は高いのかもしれない。情報リテラシーも宗教への耐性もないからだ。オウム真理教と違って社会を転覆するエネルギーはないのかもしれないが、個人の人生を破壊するくらいのことは起こるはずだ。自己責任とはいえいかにも残酷なことだ。

これがトランプ大統領が、寂しさの蔓延する日本に残した最後の置き土産なのかもしれない。日本には孤独な人が大勢いる。

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