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マイナンバーを使った医師・看護師国家動員法

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政府が医師免許や看護師免許を持った人にマイナンバー登録を義務付ける法律を検討しているそうである。「医師・看護師を一元把握、緊急時に備え マイナンバーで」と言うタイトルで日経新聞が伝えている。

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日経新聞は「ベッド数は遜色ないのにコロナ病床が不足するのは医師や看護婦の手当が十分ではないからだ」という政府の言い分を無批判に伝えその主張に合うように「各地の看護協会が登録履歴の合う人を探すのに苦労している」という情報を集めてくる。

実際には医療従事者はコロナ差別に晒される上に政府からの支援が足りないという事情がある。後方支援なしに「徴用」で乗り切ろうというのはまるで戦前の陸軍のようである。この時に同調圧力を使って「協力」というのも馴染みの手口である。

ただ、よく考えてみると、この制度が開始されるのは24年からなので新型コロナは関係ない。単に「制度がないから人が集まらない」と言い訳をし「対策を講じている」とみせたいだけなのだ。ITとグリーンニューディールは改革派を気取るためにドイツの緑の党の政策をパクっているのだが、それでも放置していると「国民の管理」と「言い訳」に利用されてしまう。つまらない計算である。

実は医師の側にも「損得勘定」はある。実は日本医師会は医療崩壊と医療壊滅という言葉を使い分けている。「民間病院の協力が足りない」と世間からバッシングされることを恐れているのだろう。つまり出し惜しみという意識はあるのだ。民間病院はすでに通常医療をギリギリで回していて忙しい。

この通常医療が回らなくなり始めることを「医療崩壊だ」と言っている。ヨーロッパで起きているベッドもなくなり社会全体が新型コロナに対応できなくなる状態は「医療壊滅である」と言葉の置き換えをしている。

おそらく日本医師会は社会が医師や病院を支援してくれることなど期待しておらず自分たちの身は自分たちで守らねばと考えている。病院を存続する上では合理的な判断だが社会全体に最適とはいえない。医師会は自民党を支援してはいるが政府を信じているわけではない。

ところが政府は医師会には直接文句は言えない。さらに財政支援しようという気もない。集めた税金は「俺たちの金」なのであまり人に渡したくないからだ。麻生財務大臣は「俺の金は配らない」とばかりに10万円支給案を否定して見せたがおそらく実施されることはない2020年度のGoToトラベル予算は削らないようだ。

ところがややこしいことにここに「マイナンバー」を絡めるので話が複雑化する。マイナンバーを普及させたい人たちの計算が働くのだ。

社会党は昔から「国民総背番号制」に反対している。「政府が国民を監視するのに使おうとしている」という人が多い。このニュースもおそらくその文脈で反対されることになるのだろう。だがこれもよく考えてみると彼らが運動体を維持するための計算である。憲法第九条と総背番号正反対くらいしか残っていないのだ。政府に対する抵抗運動を維持するために部外者が騒ぎ出す。

改めて全体を見ると非常に悲しい構図だ。偉い人たちほど「社会全体で助け合いをしたい」という気持ちにならず、現場にしわ寄せがゆき部外者が騒ぐという図式である。みな自分たちの村のためだけに計算して騒いでいるのである。

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