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静かなる安倍おろし

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年明けから変な雰囲気である。スポーツ紙や週刊誌が安倍おろしをはじめた。つまり、国際情勢が緊迫した中国内では「後継者をめぐる争い」が起きているのである。野球に例えると次期監督を予想するストーブリーグのような感じだ。

最初に違和感を感じたのは田崎史郎さんの変節である。もともと安倍シンパとして知られ、ジャーナリストというよりは事実上の官邸広報の役割を果たしていた人である。この方が変なことを言い出した。

  • 解散総選挙はない
  • 任期延長もない
  • 任期満了まで安倍さんはやらない
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一介のジャーナリストが首相の退任次期を指定しているとしたらたいした度胸だと思うがおそらくは官邸に取材した結果なのだろう。驚いたことに田崎さんは日本テレビ・テレビ朝日・TBS・フジテレビに出ているようだ。在京の4系統を抑えているということで、いかにテレビ局が田崎さんに依存しているかがわかる。安倍首相の意向が田崎さん経由でしかわからないということは、つまり安倍首相がそれだけ誰も信頼しておらず、記者もうまく使いこなせていなかったということなのかもしれない。

これに呼応するように週刊文春も「もう疲れた」という声を紹介する。こちらも9月7日を「指定」している。週刊誌が退陣時期を指定するというのも妙な話だが、時期はより具体的だがなぜか田崎さんと重なる。

週刊文春によれば、このままでは悲願の憲法改正などできはしないと、安倍首相本人が「もう疲れた」と洩らしているという。週刊文春は「パラリンピック閉幕翌日の『9・7退陣』」が濃厚だとしている。そうなれば、佐藤栄作の持つ「連続在位日数」を超えるし、岸田文雄に禅譲すれば、キングメーカーとして君臨できるという目論見だというのである。

「もう疲れた」ともらす安倍首相―退陣カウントダウンが始まった!パラリンピック閉会翌日9月7日説

この背景には何があるのだろうか?と思うのだが確かなことはわからない。面白いのは確たる首謀者がわからないままで雰囲気だけが先行するという「空気による支配」だ。

日経新聞によると次期首相候補として名前が挙がるのは小泉進次郎さんだそうだ。これといって実績はないが爽やかな風貌と嫌われない言動が有名な方である。日本人がいかに政策に興味がないかがわかる。日本は豊富な貯蓄を背景にして税制規律を緩めても国が破産しないという極めて恵まれた状況にある。高齢者は高度成長の時代を知っているので改めてそれを実感する必要もない。このまま小さな愚痴を言いつつ破綻を先延ばしにしてやって行きたい。小泉さんが支持される裏にはこうした「諦めと安心感」が同居した空気があるのかもしれない。

その一方で7年の安倍政権で不満もたまっているようだ。反安倍を訴える石破さんもそれなりに人気が高い。野党に見切りをつけた中道の人たちは密かに石破さんに期待しているようである。

ここからわかるのは「安倍に飽きた」という空気である。飽きたのだがかといって積極的に変えたいと思うほど困ってもいない。もしあえて変えるとしたら爽やかな顔の人がいいなあというくらいの話なのだろう。

そんな中、岸田文雄さんを後継指名してくれる世論はない。代わり映えしない自民党の代表のような感じだからである。安倍首相も岸田さんを指名するつもりはないようだ。だったらそういう空気を作って今の状態を温存したいという人たちがいるのだろう。

こうして思惑含みで物事が進む中で、安倍首相はどう考えているのだろう。どうやら任期が終わるまではやめないと宣言したらしい。おそらくは自分の後に自民党がどうなるかということを考えていないように思える。もともと便利なお神輿だった「安倍さん」には辞める気はないから周りが勝手にお膳立てし始めたという感じなのかもしれない。

安倍首相は外交でもヒーローになりたがっているようだ。しかし外交も安倍首相なしで物事が進んで行く。状況は緊迫しておりとても場違いで役立たずの日本の首相をかまっている暇はない。状況が固まったらお金だけ出してもらいたい。日本はそういう国だ。

面白いことに野党勢力は全くまとまる気配がない。何で揉めているのだろうと思ったのだが、朝日新聞によると名前と人事で揉めているそうだ。安倍政権打倒などというような目的意識はないようなのでこのままずっと協議をしてほしいと思う。

野党支持の人たちは安倍首相が泣きながら全ての悪事を認めて野党に政権を譲り渡して欲しいと考えているのかもしれない。だが、そんなことは起こりそうにない。それよりも心配なのは「こうすれば日本は良くなる」と自信を持って提案してくれる人が誰もいないということである。将来は不安だが今はそれほど困っていないという奇妙な現状認識がそこにはある。

もともとは選挙用に小泉首相にスターにされた人だが、いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれるお友達たちに鼓舞されて返り咲いた。周りにお膳立てされて首相になりそのまま矛盾を抱えたままで消えて行きそうな気がする。結局安倍政権の7年とは何だったんだろう。その答えはどこにもない。日本人は水に流す。反省しないのだ。

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Comments

“静かなる安倍おろし” への1件のコメント

  1. […] 前回このブログで「安倍政権が終わる」という記事を書いた。実際には自民党の内外にそういう声が出ているということを書いたのだが、安倍政権批判=左翼と思われたのだろう。「リ […]