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日本の政治家がいかに信頼できないかを証明してしまった蓮舫の戸籍開示事件

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蓮舫民進党代表が戸籍を開示すると表明して大騒ぎになった。もともと、東京都議会選挙で民進党が反自民の受け皿になれなかった責任の所在を曖昧にする中で起きた騒動だった。戦犯扱いされるのを恐れた政治家が、蓮舫代表に指をさして責任転嫁しようとしたのだ。

しかし問題は蓮舫代表がかわいそうだったとか、帰化者差別を一掃するために断固とした対応をするべきだったというようなことではない。民進党が戸籍差別について全く念頭になかったということだ。これは彼らが人権意識を持っていないか、あるいは党内政争に夢中になって「うっかり」忘れてしまうということを意味している。

幸いなことに日本の有権者はそのことを見抜いており、民進党は全く支持されていない。蓮舫代表が総理になれないのは彼女が無能だからではなく民進党の党首だからなのである。

戸籍差別はかつて多くの死者を出した大問題だった。ここでは差別用語として部落という言葉を使う。放送などでは使ってはならないとされる言葉だが、これを隠してしまうと問題がわからなくなってしまうからである。

試しに部落と自殺で検索すると幾つかの記事が見つかる。かつては戸籍を「暴かれる」と自殺せざるをえない人たちがいたということだ。決して戦前の話ではない。主に結婚の時に戸籍を調べられて被差別部落が本籍地になっていると結婚が破談になることがあったのである。

このほかに就職時にも不利な扱いをされることがあった。被差別部落のリストが出回っていて、そこの出身者が差別されたのである。中には間違った情報も掲載されていたということだ。

このような話をすると「こいつも部落出身なのではないか」などと言い出す人がいそうだ。在日韓国人を擁護するとあいつも帰化者で反日なのではというのと同じ精神構造なのであろう。が、問題は普通の日本人が実は黙認を通じて差別する側に立っていたということである。つまり、このような戸籍開示が横行すると、いわゆる<普通の>日本人が差別をする側に立ってしまうのである。

多分、民進党の人たちは自分が責任追及をされないかとビクビクしておりこうした事情にまで頭が回らなかったのだろう。さらに蓮舫代表も二重国籍の問題を説明しきれていないやましさを感じていたのかもしれない。が、自分の身の潔白を証明するために戸籍を開示するというのは「自分だけが助かりたい」という気持ちの表れであって、出自を知られたくない人に大きな影響があるばかりか、そうでない人を差別する側に押しやってしまうという危険性がある。

だが、民進党の一部議員のツイッターを見ると、彼らが他人の人権問題に興味があったとはとても思えない。そればかりか「総理になるんだったら」などと白々しい言い訳をしている。例として原口一博という人のツイッターを見てみよう。

当初原口議員は、あくまでも「本人が決断した」と言い張っている。が、当初は何が問題なのかということが全くわかっていなかったようだ。差別とは無関係であり、総理を目指す特別な公人だと必要になることもあるのだなどと言い訳をしていた。

が、のちにこれが炎上を始めると言い逃れを始める。1日で「政治的主張」がここまで変わってしまったのだ。

このことから、日本の政治家は弱者への同情心どころか普通の人が持っている当たり前の人権感覚すら持ち合わせていないということがわかる。多分戸籍を開示するということがどういう社会的影響を与えるかということを考えずに蓮舫代表にプレッシャーをかけていたのだろうが、悪い反応が帰ってきたので「こっそりと」主張を変えたのだ。ただし、そのこっそりさ加減はとてもあからさまである。

民進党は唐突に耳目を引きつけることを言ってそれが悪いレスポンスを集めると、今度は前言を撤回しないままで修正してしまうというところがある。これはテレビ芸人として培ってきた「注目を集める技術」なのだろう。つまり、彼らの政治的主張には何の裏打ちもなく、単に受けることを言っているだけなのだ。これではとても政権は担えないし、支持も集められない。

だが、こうした傾向を持っているのは何も民進党だけではない。自民党の場合にはテレビスラ気にしておらず、ひらすら安倍首相に気に入られるようなことをやるのが出世への道ということになっている。

今回の騒動で心を痛めた人たちが大勢いるはずなので、真摯に反省して関係者に謝罪すべきだと思うのだが、そうした義務を負うのは政権を狙う公党だけなので、民進党の人たちはせいぜい党内の責任追及に汲々としていれば良いと思う。

もし、詳しい話が聞きたいなら、野中広務という引退した政治家がいる。Wikipediaには自叙伝の引用としてこのような逸話が残っている。

「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんかできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」 野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。

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