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「公募祭り」を盛り上げるはずが大阪自民党府連の支部長たちが血祭りに

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自民党の大阪府連で支部長の公募が行われる。このニュースにおいて時事通信は「茂木派と岸田派が入っていないのは不公平である」と伝えている。本当にそうなのか調べてみた。実際にはこのニュース「事実上の更迭」などと書かれている。おそらく茂木幹事長は「公募祭り」を実施して自民党府連を盛り上げるつもりだったのだろうが、結果的に支部長たちが血祭りになったことになる。政治センスのなさとは恐ろしいものだ。

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時事通信の記事は「自民、大阪6候補差し替えも 首相の身内優先?府連は不満」となっている。6選挙区で支部長が差し替えになったが岸田派と茂木派は含まれていないのだという。だが、状況がよくわからない。

元々の狙いは大阪維新の「予備選」の対抗なのだろう。現在の空白区で「あなたの一票で候補者が決められるんですよ」と勧誘すれば党員になってもいいという人が出てくるに違いない。つまり維新は「空白区である」という自覚があり候補者選定プロセスを戦略的に利用して党勢拡大を図っていることになる。

自民党の差し替えについて今回対象になった地域と対象にならなかった地域を毎日新聞がまとめている。毎日新聞の図表は極めてわかりやすく従って極めて意図があからさまだ。さすが政局の毎日新聞である。

まず比例復活した人は除外された。13区の宗清皇一氏と谷川とむ氏だ。さらに落選しても岸田派と茂木派の人は助かった。それが1区の大西幸宏氏、2区の佐藤章氏、7区の渡嘉敷奈緒美氏である。公明党が候補を立てている地区に関しては対象にならない。9区、10区、14区、18区はそもそも支部長がいない。

さらに「身内のネットワークから誰かを探してきました」という地区が3地区ある。8区は不祥事の影響で豊中市議が候補になった。Wikipediaでざっと見たところ、12区は寝屋川市長の次男、15区は引退した岸田派の娘婿が選挙区を引き継いでいるようだ。

問題は残りの人たちである。4区(中山泰秀:安倍派)、11区(佐藤ゆかり:二階派)、17区(岡下昌平:二階派)だ。実績のある彼らは大阪のメディアに「更迭」などと書かれている。つまり本部から恥をかかされた状態になっているのだ。

時事通信は「候補の差し替え」と言っているのだがテレビはもっと辛辣に「更迭」と書いている。だが更迭と言っても応募は可能である。つまり、大騒ぎした結果今の支部長が復活してしまう可能性が高い。中山泰秀氏は「惜敗率で言えば私より成績が悪かった人がいる」と言っており選定にも疑問が残る。

前回衆院選で自民は公認候補を立てた府内15小選挙区で維新に全敗。小選挙区の当選者にどれだけ迫ったかを示す惜敗率を見ると、岸田派の大西宏幸1区支部長は60.97%(総務省資料、小数点第3位を四捨五入)、同派の左藤章2区支部長は66.94%で、公募対象となった4区の中山泰秀氏(安倍派)の67.70%を下回る。

府連の谷川とむ氏は「大手術的に何かを変えなければならない時は、血を流さざるを得ない」と話しています。」と言っている。つまり改革姿勢を見せるためには「誰かを刺して血を流して見せなければならない」という意味だ。公募祭りを盛り上げようとして3人を血祭りにしましたということになる。

問題はこれで有権者が「ああ自民党は変わった、安心して投票しよう」と思ってくれるかである。外から見てとにかくゴタゴタしていることはわかった。だが岸田派と茂木派は最初から除外されている。おそらくぱフォーマンスとしては極めてネガティブな効果しないのではないかと思う。一度決定してしまった以上は撤回もできないだろう。軋轢を残したままこのままいくしかない。

永田町に閉じこもっているとは言え、政治センスのなさというのは恐ろしいものだ。

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