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立憲民主党のzeroコロナ政策を読んでみる

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菅総理の新型コロナ対策を聞いて「ああこの人は問題を解決するつもりがないんだろうな」と思った。目の前で火事が起きているが「私がかけた水で若干火が収まった気がする」などと言い続けているだけだ。NHKで中継されるたびに支持率が落ちるそうだが、それは当たり前である。

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やる気を失っている菅総理の新型コロナ対策について批判しても仕方がない。ということで立憲民主党のzeroコロナ政策を読んで見ることにした。自民党の場当たり的な姿勢よりはマシなのだが、要するに「あの時バケツリレーではなく消防車による放水をやればよかった」と言い続けている。

おそらく立憲民主党の政策は全く二つの異なった政策集を足して二で割ったものになっている。一つは台湾・ニュージーランド・オーストラリアの徹底的抑制策である。これをzeloコロナとわかりやすく伝えたつもりだったのだろうが「ウイルスを完全に除去することだ」と誤解された。

コロナ患者が減るまで国民生活を制限し国境も閉鎖するというのは自民党が当初やろうとした経済優先策のカウンターになっているのだろう。この流れの延長にオリンピック中止議論があった。一部には熱烈に支持された。だが経済を犠牲にするのでは?と不安を感じた人も多かった。

もう一つが、感染防止・医療支援。生活者事業支援の三本柱である。これはゼロコロナ政策とは関係がない。政府の政策がまずいと言っているのだ。つまり政府の政策を三つの分野から攻撃している。

当初、新型コロナ政策を立て始めた時期であれば「積極的抑制策か経済優先か」という議論は優先だっただろう。だが実際にはこの議論の時期は過ぎている。選択しなかった政策を今更言ってみても仕方がない。火事が燃え広がっているのに「俺のいうことを聞かなかったからこんなに火が燃えているのだ」と言い続けているだけだからだ。

つまり政策そのものがまずいわけではない。単に「そういう話は後にしてとりあえず火を消すのに協力してくれないかな」というだけの話である。これはおそらく与野党共国会議員が自分たちのことを「計画だけ立てる人」と誤解しているからだろう。

確かにこのアンチガバメントの姿勢は多くの支持者をうんだ。「とにかく政府の言うことには反対だ」として路線変更を一切認めない信者たちがオリンピックの後半戦になってもまだ中止だ中止と言っている。枝野代表が「オリンピックはもう開かれてしまったのだからオリンピック反対をこれ以上主張しない」と言った瞬間に非難が殺到したことからも立憲民主党が「なんでも反対」の人たちに押さえ込まれていることがわかる。題目に縛られて身動きが取れなくなるというののはリベラル左派の悪い伝統と言えるだろう。

言い換えれば立憲民主党にはまだ立て直しの余地がある。

  • 国と地方自治体の間には深刻なコミュニケーションギャップがある。これをどう補正するのかについて都道府県知事たちと意見交換ができる。彼らも「要望を伝えるだけ」というマインドになっているのだろうから、積極的協力者を探す必要がある。
  • 検査体制が拡充しなかった理由について都道府県の意見をリサーチできる。こちらは保健所などの現場の声を拾う必要があるので地方議員の幅広い協力が必要だ。あるいは地方の自民党系議員の協力も欠かせないかもしれない。党派にこだわるタイミングではない。
  • 当初と違って若年層の間に感染が広がってきている。支持者の中には若年層が多いのだから彼らの声を集約して国民に訴えかける必要がある。

つまり今の政権の失敗を冷静に総括し具体的な提案を都道府県知事・保健所の職員・若い支持者などとまとめることができる。人的なネットワークの構築が鍵である。幅広い協力のためには自民党国会議員の協力も必要かもしれない。

政権批判に費やしていた時間を実際に火を消すために充てればいい。回り道のように見えるかもしれないがおそらくこちらが支持を集める近道だろう。菅政権に当事者能力がないことはわかっている。当たり前のことを言ってもこれ以上支持者は増やせない。

つまりこれは政策立案ではなく実行力の問題だ。特に「地方自治」のあり方には課題が多い。どうやら国と地方自治体の間には深刻な温度差がある。国は情報を抱え込んでしまい地方自治体が計画を立てられない。また国が支援のための予算を準備しても東京都の事務作業が追いつかないという問題もあった。こうした問題を個別に聞き出すことは誰でもできるだろうが集約できるのは全国政党だけである。

仮にこれができないなら次期政権を狙うのはやめたほうがいい。どっちみち政権を獲ったら同じようなことをやらされる。

地方自治体の言い分をよく聞いて「本当は予算とリソースを全部渡して都道府県でやってもらったほうがいい」のかもしれない。全国知事会は「全国に緊急事態宣言を出せ」などと極端なことを言っているが「どうせ自分たちには関係ない」と思っているからこんな極端なことが言えるのだ。「予算とリソースを全部渡したらあとはやってくれますか?」と聞いてもいいのではないかと思う。具体的な役割分担についての話を始めるべきだろう。

目の前で家が燃えている。菅総理は火事を呆然と見つめながら「俺なら消せる」と言い続けている。野党も菅総理の周りで「あの時の初期消火のやり方が悪かった」とか「いや実はこうすべきだった」と言い続けているだけにしか見えない。

目の前には燃えている家があり焼き出されてお腹をすかせている人たちがたくさんいる。周りで見ている人たちはこの様子を割りに冷静に見ている。「どちらの消火手段が正しいのか」などということはもうどうでもいい。

目の前で火が燃えているのだからまずはこれを何とかして欲しい。

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