山尾志桜里衆議院議員が動いた。西村大臣の個人的な発言だとされかけていた「酒屋恫喝」に官邸が関わっていたのではないかと呟いたのである。Twitterは大騒ぎになっている。この流れを見てこのまま立憲民主党が勝つ流れになってほしいのだがそうはならないんだろうなあと思う。政権交代支持者としてはちょっと残念だが現実は現実なので直視してゆきたい。
まずは山尾さんのTwitterを見てゆく。
三つのことを言っている。
- 文書を作っていた。つまり西村大臣の思いつき不規則発言ではなかった。
- 官邸内で作業していた。つまり官邸は知っていたのではないか。
- 一方で、麻生大臣は知らなかった。
最終的に麻生財務大臣は「話は聞いたが放置しておけと指示した」という話になったようだ。山尾さんの指摘は正しくはなかったわけだが「麻生大臣は政府の外に置いておきたい」という思惑は感じる。与党議員でもない山尾さんがなぜ麻生さんは外に置いて起きたいと感じるのだろうかというのが最初の疑問だった。
実は山尾志桜里さんは「次は出ない」と宣言している。つまり立憲民主党・国民民主党側から見ても部外者なのである。だからこのリークは立憲民主党や国民民主党の手柄にはならない。もともと改憲議論に参加して自民党リベラルに乗ろうとしていた人なので「絶妙な人選だな」と思える。
船田元・元経済企画庁長官が小池百合子さんとの連携を言い出した。与野党の改憲勢力を合わせて改憲を成し遂げようという人だ。この人も自民党を離党して新進党に参加したのちに自民党に戻っている。山尾さんとはおそらく「改憲友達」だろう。
これを合わせると、だいたい「次」がわかる。要するにリベラル保守あたりを結集しようという動きがあるのだろう。旧民主党系の左派も排除したいが利用価値がなくなった清和会系の人たち(いわゆるネトウヨ系)も排除したいわけである。
昨日のエントリーで村山元総理に接近した枝野代表はどうするのだろうか?と書いたのはそのためである。もともとは保守だった人だが左派に接近しすぎた。国民の支持は広がっていないのだが最近では社民党との関係強化に動いているそうだ。自公連立の村山政権が念頭にあるのだろう。
立憲民主党は当然政権批判に結びつけたいので、麻生財務大臣まで含めた「政府」を批判しようとしているようだが中道保守の人たちは予算編成権=財務省=麻生財務大臣は無傷で残したいのだろう。政局が終われば次の予算がやってくるが行革をしている余裕はない。だから財務省はそのまま残さないといけない。
本当にそれでいいのかとは思うが、背景を考えると合理的な動きではある。
つまり、リベラル保守・中道保守という似たような流れがあり政界再編に向けた動きが始まったということになる。どちらも似たようなものなのだが見え方が全く違う。左派リベラルには体制に反抗的であるという風評が付いて回る。コロナ禍という危機の最中で改革に消極的になっている有権者を説得する時間はほとんどない。
一つだけ言えるのはおそらく自公・立憲民主党という体制はもうないということだ。この枠組みに固執する人はこれからの政局が読めなくなると思う。さらに冷静に考えると官僚支配の脱却を目指した人たちが次々と脱落し「結局今まで通りが一番なのだ」という結論が出てしまったことになる。つまり政治主導も失敗してしまったと言って良い。
安定を求めている国民は官僚とうまく連携してそつなく新型コロナ対策をしてくれる政治を求めていて改革は志向していない。結局、2009年から曲がりなりにも続いていた改革の芽はいったん完全に潰えたことになる。なかなかうまい具合には動かないものだなあと思う。