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ウガンダ選手団が濃厚接触者認定されなかったわけ

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先日はみずほ銀行でなぜ失敗が見逃され続けてきたのかということを書いた。問題は学習機能の喪失だ。成果があげられない上に一枚岩でない組織が「敵失」を狙ってお互いを縛り合ううちに学習機会が奪われてゆく。代わりにはびこるのは誰かがなんとかしてくれるだろうと言う集団思考だ。その上で、日本政府も同じ状態に陥っているだろうと書いた。今日はウガンダ選手団について書く。おそらく東京オリンピックではなんらかの人災が起こるだろう。人災の原因は集団思考である。そしてその原因を作っているのはおそらく安倍政権・菅政権の間に作られた政府の文化である。

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立憲民主党の逢坂議員が関係者を集めて「ウガンダ選手団を濃厚接触者認定するのは誰なのかという問題」で聞き取りを行った。

総理大臣に報告するはずの内閣官房は検疫が総合的な指揮をとると考えていたようだ。空港検疫が検査をして最初の1人を発見しているのだからこれは当然である。だが厚生労働省は「検疫ではなく地方自治体だ」という。ここまでのやり取りはテレビ朝日が伝えている。

誰も当事者意識がなかったという点に問題がある。

TBSはこの内閣官房はオリパラ事務局の人間であると言っている。責任は地方自治体が負うということになっているようだが地方自治体は飛行機から降りた時点で当然スクリーニングは済んでいると思い込んでいる。ところが検疫部門は「オリパラは特別だから自分たちは何もやらなくていい」と思い込んでいたようだ。そして内閣官房は検疫が地方自治体をサポートするはずだと思い込んでいる。つまりお互いに協力するであろうと勝手に思い込んでいたのである。

ここでわかるのはお互いが全く協力するつもりがないということだ。結果的にウガンダ選手団の濃厚接触者は野放しになった。公共バスで移動したわけではなかったからよかったものの泉佐野市のアテンドの職員も「巻き添え」で濃厚接触者に認定されたそうである。後になって陽性者が出なかったから「よかった」と言うことにはなるのだが非常に危なっかしい。

TBSの方が深刻な状態を伝えている。問題があることは明白である。だが担当者たちは「一般には問題がない」と繰り返したそうだ。原文を引用すると「政府側は、専用車両の使用など選手団と一般の人とを隔離し、感染対策を徹底していると繰り返しました。」と書いてある。彼らはこの失敗から学ぶつもりが全くなさそうだ。

報道はここまでだ。だからこの後政府がどういう対応をしたのかということは全く書かれていない。さらにこれをみた大臣たち(実は大臣も担当が別れている)が話し合ったのかどうかもわからない。

更に野党がこれをどう使うつもりかもわからない。野党は官僚を監督することはできないので与党に働きかけるしかない。テレビ朝日の方は「野党側は、「今、対策を打たなければ大混乱になる」として政府に対策の強化を求めていく方針です。」と書いている。つまり、政府・与党に対して「国会を開かないのはどうしてか?」と訴えるための材料にするだけかもしれない。おそらく菅総理は一旦決めたことを野党の横やりによって変えさせられたことを嫌がるだろうからこれは選挙に使えるコマになる。だが問題は解決されないばかりか与党はさらに頑なになるだろう。

もともとバラバラだった官僚組織が「官邸主導」という一種の恐怖状態に置かれているうちに集団思考に陥ってしまった。これも外圧で思考停止に陥ったみずほ銀行によく似ている。みずほ銀行と日本政府には何も共通点はないが結果は似たようなものになっているのが不思議である。割とよくあるパターンなのかもしれない。

これはある種慢性病のようなものであろうが外部から攻撃が加わり状況はさらに悪化する。

これが今後起こるであろう「なんらかの人災」の起こるメカニズムだ。「政権の命運がかかった」極めて重要なことが起きているにも関わらず内閣官房・地方自治体・厚生労働省が口裏を合わせたという形跡がない。

野党に追求されたら面倒なことになるということしか頭になく「公共交通機関を使わなかったし結果的に見つかったんだから良かったですよね」などと繰り返すばかりである。野党に目をつけられたら国会に呼ばれて面倒なことになる。そんな怯えを感じる。中には「行政仕分け」の吊し上げを覚えている人もいるかもしれない。行政府の人たちは菅総理の恫喝的指導と野党の恫喝的監視の両方に睨まれる。結果的に誰も自分の頭で考えなくなる。事前にあれこれ考えても仕方がない。物事はなるようにしかならない。

おそらく官邸は「箝口令」を敷くことで情報漏洩を認めなくなるだろう。さらにマニュアルを作り発見された問題に対処するようになるはずだ。圧力が加わっていることが問題なのだがあらに圧力がかかる。そして、マニュアルはすでに起きた問題にしか対応ができない。そうして問題は隠蔽不能になるまで膨らみ人々を巻き込んだ混乱が生まれることになるだろう。

こうしたマインドセットで被害を被るのはおそらく一般市民や飲食店などだろう。政権へのしがみつきがこうした事態を生んでいるのだが人々はいまだに政権にしがみついている。問題の根幹は政府のマネジメントの不備によるものだが有権者は間接的に人災に手を貸している。あとどれくらいの犠牲者が出れば人々の目がさめるのだろうか?という気がする。

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