ざっくり解説 時々深掘り

変革管理と一時的な全体性の喪失

ダイエットをしていたのだが体重が落ちなくなった。体脂肪率が20%を切ったので「まあこんな感じなんだろうな」と思ったのだが一つだけ問題がある。ぽっこりお腹がなおらないのだ。今回の話はこのぽっこりお腹対策なのだが、最終的には変革管理の話を書く。意外なところに着地するのである。

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いろいろ調べたところ骨盤が前傾するとぽっこりお腹になるらしい。ネットの情報をもとに「正しい姿勢」を取ったところ腹囲が10cmも減った。姿勢が悪く骨盤で全てを支えているために内臓(と内臓についた脂肪)が全てお腹周りに寄ってきてしまうのだろう。

姿勢を戻すのは簡単だったのだが座ると姿勢がリセットされる。いろいろ考えてWebカメラで自分の座り姿勢・立ち姿勢を観察してみることにした。FaceTimeを使うと鏡像映像を見ることができる。骨盤が前傾した「だらしない」姿勢でキーボードを叩いている疲れた男性が座っている。慌てて骨盤を立てたが10分ほどで疲れてしまう。

一週間くらい腹筋を締める意識をしたところ少しはマシという状態にはなった。だが気をぬくとすぐに元に戻ってしまう。

ところがこの姿勢改良が難しい。骨盤を立てても骨盤から上は変わらない。すると今度は顎が上がってしまう。Webカメラ映像を見ながら姿勢を修正しているうちに「どうやって立っていたのか」がわからなくなった。部分を意識しすぎたせいか全体性が失われてしまたようだ。

人間は立ったり歩いたりする時にどうやっているのかをきちんと答えられる人は多くないだろう。全体の動きを意識していないからだ。これが実は「全体性が保たれた状態だ」といえる。部分に着目すると部分の改良はできるのだが全体性が失われてしまう。つまり、どうやって立ち、どうやって歩いていたのかがわからなくなってしまうのだ。

例えば、野球選手やゴルフプレイヤーがフォーム改良をすると却って成績が悪くなることがあると思う。今まで自然にやっていたことができなくなるからだ。これは「部分に着目したことで全体性が失われた」状態である。英語ではholisticnessというそうだ。

この全体性を取り戻すためにはどうしたらいいのか?ということを聞きたいのだが、質問できそうにない。おそらくゴルフ選手がフォーム改善をして調子を崩すというような経験則としては聞けると思うのだが、一般名詞の「全体性」が理解されないと思う。実際に質問してみたが回答はつかなかった。

日本人はあまりこうしたことを意識しないのかもしれない。一般概念ではなく経験則で正解を学習することが多いのでおそらく質問が理解されることはないだろうと思う。

ということで、今どうしようかと思っているところである。アプローチとしては体がどう動いているのかということを再確認するのが良さそうだ。

  • まず自然な立ち姿について調べたところ、おそらく歩いている形がもとになっているということがわかった。
  • 理想の歩行映像をYouTubeで探して観察した。コアは動かずに股関節と肩が動いているようだ。肩甲骨は動かないが鎖骨は動いている。そして股関節と肩(鎖骨)は連動してバランスを取っているようだ。スケッチブックを取り出して絵を描いてみた。
  • さらに鎖骨の形状を調べた。肩を自由に動かすためにほぼ独立した状態になっているらしい。ただ肩甲骨が凝り固まっていることがありこのコリをほぐすことを肩甲骨剥がしというそうだ。
  • 実際にやってみたところ足の動き・腹筋・肩を意識すればいいらしい。ゆっくりやってみて次第に速度を上げて行く。

つまり、部分部分に分解してもう一度組み立て直すという作業が必要になりそうだ。

とここで終わってしまうと単に「姿勢改善」の記事になってしまう。YouTubeにはこの手の映像が氾濫していて「ここだけを直せば問題はたちどころに解決する」ことになっている。だがおそらく全体の理解なしに部分だけを改良しても問題は解決しないだろう。ところが全体性について書いてもおそらく誰にも読んでもらえないだろう。退屈な上に即効性がないからである。

同じようなことが全ての変革に言えるのだろうなと思った。部分的な業務改善は却って弊害になるのだろうが全体性について書いている記事はないだろうなと思ったのだ。

全く違うところで「変革管理」について書いたとき、有名どころとしてコッターの8段階プロセスを紹介した。グロービスのページではこう紹介されている。

  • 危機意識を高める
  • 変革推進のための連帯チームを築く
  • ビジョンと戦略を生み出す
  • 変革のためのビジョンを周知徹底する
  • 従業員の自発を促す
  • 短期的成果を実現する
  • 成果を生かして、さらなる変革を推進する
  • 新しい方法を企業文化に定着させる

おそらく変化を起こすためには「まず変わってもらう」ことが重要だ。これは間違いがないだろう。コッターはここで「全体像を示してまず誰かにやってもらう」というような提案をしている。だが、おそらく何かを変えることで意識が変わり今まであった古いアプローチとの間で軋轢が生じるだろうなと思った。つまり、変えたところに意識がいってしまうので、今まで自然に流れていたものが滞ってしまうのだ。ここで諦めてしまうと全てが台無しになるのだが、おそらく全体性を取り戻すためには「全ての部分を取り出して改めて確認してみる」という極めて面倒な作業が必要になるはずである。

実際にみんながどうしているのかを聞いてみたいなあと思ったのだが、おそらく質問自体が理解されることはないだろうと思った。全体性という概念がなかなか理解しにくい上に変革コンサルタントと称する人も実はソリューションを売っていて全体像を把握しているとは限らないからだろう。ダイエット本と同じように本当の意味の変革はお金にならないのだ。

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