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小池百合子東京都知事の再選と東京都議会のいじめの構図

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現職の小池百合子さんが勝利した東京都知事選をまとめる。まず、日本の選挙は「正解あて」になってゆくのだと思った。マスコミを通じて「正解感」を出した人が勝てるという状態が続くだろう。一方議会にはいじめの構図がある。この全く異なる二つの構図が奇妙に同居しているのが東京都政である。だがおそらくこれでは終わらないだろうなと思う。次の芽が実は育っている。

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第一に日本の政治は地縁による縁故政治が基礎である。それぞれが知り合いから情報を集めるので小さな集団を集めたところが勝つ。ところが、財源を中央に依存している地方ではこうした政治が成り立たなくなっている。このため議会と知事は協力して中央からお金を引っ張ってくることになる。

では、協力の必要がない東京都はどうだっただろうか。協力が必要なければいじめが起こる。いじめを防ぐためにはいじめ返せばいい。これが東京都で過去4年間起きていたことである。

東京や大阪などの都市圏には地縁に関係のない有権者が大勢いる。だが日本人は自らが政治的意見を持つことを放棄しているので彼らの願望が政治的な要求にまで昇華することはほぼ100%ありえない。だからマニフェストベースの選挙は起こらない。

れいわ新選組も立憲民主党も負けたことに全く悔しさをにじませていなかった。おそらく都政に執着はないのだろう。宇都宮健児候補はこれからも都政を監視してゆくとあくまでもコメンテータ気分だったし連合も野党もまとめられなかった枝野幸男党首の唯一のニュースは餃子ツイートだった。宇都宮候補と宇都宮餃子をかけたそうだ。

枝野さんにやる気がなかったのはどうしてだろうか。それは、小池百合子都知事の選挙戦は実はもう終わっていたからだ。核の戦略は自民党都連の排除である。まず二階幹事長と結びつき本部と都連を分断した。下村都連会長と二階幹事長の中はおそらくあまりよくない。次に公明党と選挙協力を結び主張も丸呑みしていたようだ。最後に連合の支持まで取り付けた。つまり、立憲民主党・国民民主党のスポンサーも味方につけてしまったことになる。

つまり小池都知事は自民党都連をいじめることで求心力を保ってきたことになる。

この戦略は「民主主義の基本は政策であるべきだ」という意味では完全に間違っているが、日本の選挙では正しい勝ち方である。石原都知事以降以降、猪瀬・舛添という二人の知事がいじめられてやめている。議会でいじめが起こるとマスコミが取り上げてしまう。逆に議会のいじめっ子を分断すれば議会でいじめは起こらず、マスコミは取り上げず、したがって勝ててしまうのである。日本の政治の陰湿さが現れている。政策よりいじめなのだ。

選挙民対策は簡単である。個人が意見を持たない日本の選挙は「みんなだったら誰を選ぶと思いますか」という予想投票にはなっても「あなたは誰がいいですか」という投票は成立しないということがわかった。

「あなた自身の考えはどこにあるのか?」と日本人に聞いても意味はない。個人の意見は日本では全く重要視されないからだ。「自分はみんなと同じで正解を知っている」という安心感に浸るのが日本人は好きなのである。

では、こうしただらだらとした状態はいつまで続くのだろうか。

今回桜井誠候補が多くの自治体で約3%程度の得票率を得たそうである。2%以上の得票率を全国規模で得るとその団体は政党として認知されるというラインである。政党として認知されるとその主張をテレビが取り上げざるをえなくなる。桜井誠さんはそのラインを東京で突破した。

背景にはおそらくこれまで「正解」に傾いていたある層の人たちが「いじめ」ラインに傾いたことを意味している。ではなぜこの正解といじめが一つのペアになっているのだろうか。

まとまった意見が形成できない日本人が団結できるのは他者攻撃だけである。官僚でも自民党でも中国でも在日韓国人でも対象は自分以外であればなんでもいいのだ。つまり正解といじめというのは個人が自分の考えを持てなという原因が作り出した二つの結果であるといえるだろう。自分が何がしたいかはわからない。だが、みんなが何を好んでいるかはわかるし、自分が何が嫌いかもわかる。これが日本の政治の核になる行動原理である。

これまで安倍自民党が吸着していた中国への攻撃心はおそらく後継政権では満たされないだろう。中国の習近平国家主席を呼ぶなという声は二階幹事長の物言いで表現がやわらかくなりそうである。消費税減税という要求もおとなしくなるだろう。おそらく「行動する保守」はこれに反発するはずだ。現在は東京で2%から3%くらいが可視化されただけなのだが、自民党がm限られれば地方にも広がる可能性がある。徐々に広がったものはやがて政党として認知されてテレビに乗ることになる。

日本にも排外主義の波がやってくるのだ。

これは川が氾濫するのと同じでありダムを作るなり避難経路を作るなりして備えるしかない。ダムの一つが個人の良心や信条なのだが日本にはそういうダムがない。日本人がこの数年で個人が意見を言える社会に変わらない限り「ヘイトは国際条約で禁止されているから日本では政治的意見になりえない」などと言っていられる時代ではなくなってしまうだろう。個人が意見を持つというアメリカさえああなってしまった。自分で意見をまとめられない人は誰かに導かれて攻撃性を他者に向けてしまうのである。そしてその攻撃は相手とぶつかるまで止まらなくなってしまうのである。

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