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トルドー首相に国葬参列を断念させるほどのハリケーン・フィオナはどんな嵐だったのか?

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トルドー首相がハリケーンから変わった温帯低気圧被害の対応を優先し安倍元総理の国葬参列を断念した。これでG7の首脳は誰も日本を訪れないことになる。この温帯低気圧はただの温帯低気圧ではなかった。プエルトリコに甚大な被害をもたらしたハリケーン・フィオナが温帯低気圧に変わったものだったのだ。トルドー首相の来日断念は妥当な判断だろう。

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このハリケーン被害が最初に伝えられたのはプエルトリコだった。プエルトリコでは全島が停電し今も復旧作業が続いている。デフォルト(自治領の経済破綻)を経験したプエルトリコでは5年前にもハリケーン・マリアでの被害が出た。直後の死者よりもその後の死者の方が多かったそうだ。停電が長引き医療にアクセスできない人が増えたためだった。今回も同じようなことが起こるのではないかと懸念されている。ロイターの記事の日付を見ると9月20日になっている。

そのあと、ハリケーンは英領タークス・カイコス諸島に上陸しこちらも全域が停電している。こちらの記事の日付は9月21日になっている。

プエルトリコの現状については以前記事を書いた。だがしばらく経っていたため同じハリケーンだとは思わなかった。カナダでは温帯低気圧に変わっていたが勢力は衰えなかったそうだ。

AFPのニュースを見た時にまず目に入ったのは広域の停電被害だった。

  • ニューファンドランド・ラブラドル州では24日夜の時点で約50万世帯が停電
  • ノバ・スコシア州が25日に29万4000世帯
  • ニューブランズウィック州が25日に2万5000世帯余
  • プリンスエドワードアイランド州が25日に8万2000世帯

AFPの記事は「今回の暴風雨は、カリブ海(Caribbean Sea)沿岸に大きな被害をもたらしたハリケーン「フィオナ(Fiona)」が温帯低気圧に変わった後、もたらしたもの」と書いている。プエルトリコや英領タークス・カイコス諸島に停電をもたらしたのと同じハリケーンによる被害だったのだ。どうりで被害が大きかったはずだと思った。CNNは「24日時点で50万世帯」と書いているがAFPを合計すると90万世帯になっている。つまり被害が広がっているのである。

確かに岸田政権は「国葬」によって外交的成果をあげることはできなかった。ただでさえ忙しい国連外交ウィークに合わせて無理やりスケジュール設定した上にエリザベス女王が急逝しカナダに強烈な温帯低気圧が上陸した。まさに最悪のタイミングになってしまったといえる。

もともと国葬の理由として「首脳外交」が挙げられていたが産経新聞は「岸田首相、反転攻勢なるか 弔問外交で国葬の意義発信へ」と書いている。外交が理由だと言ってしまった以上成果が上がったように見せなければならない。世界には日本の援助と支援に期待している国が多くあり前日から翌日にかけて30カ国の外交使節と立て続けに面談するそうだ。

中にはモロッコ、カンボジア、スリランカ、モンゴル、モルドバの首脳らといった日本の援助に期待する国の首脳たちが含まれるだろうから失礼な対応はあってはならない。「外交」というより陳情という感じになるのかもしれないが日本がお願いしてきていただいているのだ。

また国連外交ウィークでは「懇談」という形式に格下げされた韓国からも首相がやってくる。韓国にとっては好機と言えるだろう。尹錫悦大統領の「この野郎ども」失言問題で揺れる韓国としては成果を強調したいところだろう。中央日報によるとニューヨークでは「懇談を引き延ばすために尹錫悦大統領は必死で話し続けた」そうである。岸田総理は韓国と距離を置きたいようだが、韓国側には聞いてもらいたいことがたくさんありそうだ。

今回「トルドー首相が来日を断念せざるを得ないほどの強烈ハリケーン」と思わぬ形でカリブ海とカナダの気象災害が注目されることになった。台風災害に見舞われることが多い日本の電力会社はおそらく災害復旧にかなりのノウハウを持っているものと思われる。ここは「なぜ来ないんですか?」ではなく災害復旧への支援を申しでるべきかもしれない。

日本にとってハリケーンに強いインフラづくりへの貢献ができるチャンスなのだ。気象災害が多発する現代において日本が世界に貢献できることは多いはずだ。この機会にカナダだけでなくプエルトリコなどのカリブ海の島々にも支援の目をむけてもらいたいと思う。世界が分断に向かう今、この平和的貢献こそが外交で日本が輝ける道なのではないだろうか。

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