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NVIDIAの時価総額が5兆ドルを突破 これはバブルなのか?

8〜11分

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NVIDIAの時価総額が5兆ドルを突破した。GEMINIによると、4兆ドルから5兆ドルになるまでにかかった日にちは112日だったそうだ。今回はなぜNVIDIAの株価がここまで上がったのかを考え、これがバブルなのかについて検討する。

NVIDIAの時価総額が5兆ドルを突破した。米中貿易摩擦の緊張緩和に伴いNVIDIAのGPU(Blackwell)を中国が使うことをトランプ大統領が容認するのではないかという観測があり、なおかつFRBが利下げを発表するのではないかという予測からアメリカの株式市場そのものが好調だ。

しかしそれにしてもNVIDIAは資金を集めすぎている。GEMINIによると4兆ドルから5兆ドルまでの期間は112日だった。現在NVIDIAは米国、中国、日本、香港、インド以外の株式市場よりも多額の資金を集めている。

言い換えれば、同社は米国、中国、日本、香港、インドを除く世界のすべての株式市場よりも大きな規模にまで成長した。インド市場を抜くまで約2500億ドル差に迫っている。

エヌビディア時価総額、史上初の5兆ドル突破-AIブーム追い風(Bloomberg)

それではなぜNVIDIAはこれほどまで巨額の資金を集めることに成功したのか。

当然鍵は生成AIである。NVIDIAのGPUは生成AIの計算に欠かせないがCUDAと呼ばれるソフトウェアプラットフォームが事実上のスタンダードになっている。各AIプラットフォーマーはCUDAを使ってライブラリを構築しているため他の選択肢を探すのが難しい。さらに創業者ジェンスン・フアン氏のカリスマ性と彼が作り出した企業文化に着目する人もいる。

しかしながら今の生成AIブームはバブルではないかとする声も大きい。今回の生成AIブームの火付け役になったChatGPTのサム・アルトマン氏もその一人である。

バブルは準備、覚醒、陶酔、破裂期に分けられる。しかし複雑系の理論から陶酔がいつ破裂に結びつくのかを予測することはできない。これはよく砂山に例えられる。砂山に砂を注ぎ続けるといつかは崩れると予測することができる。しかし「いつ崩れるか」を計算することは不可能だとされているそうだ。

サム・アルトマン氏のバブル懸念は「一種のアリバイ作り」とみなされることもあるそうだ。自分はブームを煽ったのではなくきちんと警鐘を鳴らしましたよという証拠づくりをしているという指摘である。

しかしながら「もともと実態があったものが陶酔に変わりつつあることを恐れているのだ」と解釈することもできる。

またDeepSeekショックが起きたときには「陶酔機の終焉」だとする評価もあった。

一方でNVIDIAのファン氏は今回の株価上昇は実態を伴ったものであると主張しておりある「伝説の投資家」もAI関連であれば何でも買い漁ると言う狂乱状態になっていないとしてバブル説を否定している。かつて鉄道関連株やインターネット株であれば何でも良いという状況があったが今回はそのような状況にはなっていないというのだ。

生成AIブームは企業の生産性を向上させるとされている。しかしその代償としてホワイトカラーの人員削減が起きるだろうと予測されている。つまり生成AIブームが雇用環境を破壊し景気後退を招きかねないという懸念がある。

しかしながらBBCはAmazon(14000人の人員削減を決めた)などは単にコロナ禍の人材不足で雇いすぎた人を解雇するために生成AIブームを利用しているのではないかと見ている。つまり企業の生成AI導入は市場が思っているほど順調に進んでいるわけではないと見ているのだ。

またAI企業同士の資金協力も資金循環を作り出し損出を見えにくくするという効果がある。つまりこの一部が破綻したときに信用不安が生じる可能性は否定できない。

つまり仮に今回の株価高騰が合理的なものであったとしても人々がそのように評価しなければバブル認定される。すると生成AIブームがすべて幻だったというネガティブな評価が生まれかねない。実際に日本では不動産バブルの影響があり長い間「土地に対する過剰な評価は悪である」という評価が定着していた。

また、コロナ禍で過剰供給された資金は行き場所を失いつつあり、生成AIブームがなければもっと早期に深刻なインフレをもたらしていたのかもしれないと考えるとバブルこそが一種の救済であることも確かだ。

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