FOMCが終わり当初の予想通りに利下げが決まった。パウエル議長は労働市場が好調な時代は終わったと宣言した。経済が好調な次期が終わったという意味だが、なぜかダウ・ジョーンズは値上がりしている。
FOMCの結果、当初の予想通りに0.25%の利下げが行われた。年内に2回の会合が残っているがどちらも利下げを行う見通しが示された。
このところダウ・ジョーンズが伸び悩み、NASDAQに資金が流れ込んでいた。アメリカの経済に先行き不安があるものの余剰資金は行場を失っておりAIなどの成長産業に資金を逃がす動きがあったのかもしれない。
だが普通に考えるとこれは少しおかしい。
労働市場が堅調でないのだから経済の冷え込みを懸念する動きが出てもおかしくない。パウエル議長は「極めて好調な状態は終わった」が雇用が悪くなったわけではなく「リスク管理のために」予備的に利下げしたと説明している。
しかしながらそもそも雇用と消費には関係がなくなりつつあるのかもしれない。
株価や住宅などの資産価格が好調である限り資産を持っている人たちの消費活動は衰えない。中間層と新規に雇用市場に参入する新卒層の相対的剥奪感は高まってゆくだろうがこれは政治の問題である。アメリカの民主主義は危機に瀕しているが資本主義は絶好調だ。
所得分布上位10%の消費者による支出は4-6月(第2四半期)に消費全体の49.2%を占めた。1-3月(第1四半期)の48.5%から上昇し、1989年以降で最高水準となった。
米経済支える個人消費、富裕層依存が鮮明に-景気拡大の持続性に影(Bloomberg)
トランプ大統領はなかなか金利を引き下げないパウエル議長に苛立ちあの手この手で介入を試みてきた。クック理事の解任を画策したが裁判所にブロックされている。パウエル議長は「みんなやっていることだ」と言っていたが、案の定、次期FRB議長を決める立場のベッセント財務長官に同じような疑惑が見つかった。巨大なブーメランだ。
トランプ大統領からの圧力が高まると却ってFBR議長は中央銀行の独立性を強調せざるを得なくなってしまった。このために選んだ説明が「雇用環境の変化」だったのかもしれない。
そもそも各種の経済統計が信頼できなくなっている。物価統計調査の人員も足りなくなっており推計と時給25ドルのパートに依存する形になりそうだ。
- 米労働統計局、CPI価格収集で25人のパートタイム職募集-時給25ドル(Bloomberg)
Bloombergは「マイラン」と書いているが、ミラン理事だけがトランプ大統領の政治姿勢を示すために0.5%の利下げを主張したそうだ。トランプ政権の仕事を無休にして休職したまま維持するという異例の展開だと経済各紙は伝えている。政府批判を避けた上品な言い方でつまりは中央銀行の独立性を無視した掟破りのと言いたいのだろう。
