BBCの会長が辞任した。偏向報道の責任を取ったもの。過去にも辞任した事例がある。しかし今回はニュース部門の経営責任者(CEO)も辞任している。背景にあるのがBBCに対する逆風だ。日本でも見られるオールドメディア批判がイギリスにも存在する。加えて外に対する態度と自分たちの問題の対処が異なるという「防御に弱い」体制も明らかになった。フジテレビとBBCはさほど変わらないというわけだ。日本でもNHKに対する風当たりが強まっているが同じような問題はイギリスにもあるのだと言うことがわかる。
直接の問題はドキュメンタリー番組「パノラマ」の偏向報道だった。議会襲撃に関するトランプ大統領の発言を一部切り取りあたかも一連の発言であるかのように伝えている。ホワイトハウスがこの番組をフェイクニュースと名指しし外交問題になりかねない状況に陥っていた。しかしデイヴィー会長は他にもさまざまな問題を抱えており手に負えないと考えた可能性があるとBBCは指摘している。
- BBCの会長とニュース部門CEOが辞任 トランプ氏のドキュメンタリー番組の編集めぐり(BBC)
- 英BBC会長が辞任、トランプ氏演説を誤解招く形で編集(CNN)
今回異例だったのはBBCがニュース部門の経営責任者(ターネスCEO)の辞任を同時に発表したことだった。BBCは特許状の更新時期を迎えており特に強い責任をアピールする必要があったのではないかとBBCは自己分析している。
BBCは解説コラムの中で、近年BBCに対する攻撃が政治的武器として利用される傾向があると指摘。国民の知る権利を守るためには公共性の高い放送を維持すべきではないかとの論陣を張っている。
しかしながらBBCはジャーナリストたちへの取材も行っている。彼らが一様に指摘するのは問題の事後処理のお粗末さである。つまり公共放送の意義云々の前に経営陣の危機管理がなっていないと指摘されているのだ。
BBCはジャニー喜多川氏の問題を告発し、これがフジテレビ全体を巻き込んだ大きな騒動に発展した。当時、フジテレビの内部統制はうまく行っていないと盛んに報道されたと記憶している。しかしながら矛先が自分たちに向けられると問題を軽視し対応を先延ばしし大騒ぎになったあとでトップの解任に結びついている。イギリスでも日本でもメディアの体質というものはさほど変わらないものなのかもしれないと感じる。

“BBCで会長とニュースCEOが同時に辞任 公共放送に強まる逆風” への2件のフィードバック
こういうニュースを見ると、最初から開き直って好き勝手にやる勢力というのは、問題が明るみになっても大してダメージを受けないので、その”強さ”にひかれる人たちが増えるのだなぁと思いました。
開き直って強気な人たちもSNS上で強気な態度を維持し続ける必要がありそれはそれで大変なのかなって思いますけどね。