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北朝鮮は核兵器を作っても良いという理論を考えてみる

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最初は北朝鮮は核兵器を作っても構わないという理屈を考えたのだが、全部消した。この理論の問題は二つあった。まず、ネトウヨの攻撃が激しくなっているので、絡まれたら怖いなあと思った。だが、もう一つはちょっと複雑で解決ができそうにない。国際社会はこの件を正面から解決できないので、最も悲惨な手で解決するしかないなと思っている。かなりの犠牲なしに解決するのは難しそうである。

最初の筋書きは、北朝鮮の核を容認して国際社会に組み込んでしまえばいいという提案だった。今問題になっているのは北朝鮮の人民に外からの情報がないことなので、情報を入れれば民主化の芽が生まれるかもしれない。さらに、一度豊かさを経験してしまうとそれが手放せなくなるのだから、体制が崩壊しなくても、豊かな世界をわざわざ破壊する動機はかなり弱まるだろうと考えたのだ。実際に中国は新義州に経済的な結びつきがあり、ロシアは羅津とつながりがある。韓国も開城で事業を展開していた歴史があるので、周辺各国と協力して体制を維持したまま経済協力ができる可能性は高い。

同じ路線をたどったのが中国だ。中国はもともと自国で引きこもって自前の経済圏を作るつもりでいたようだが、核兵器を持ち、国連に加盟し(代わりに中華民国が追い出された)、最終的には特区を拡大して、事実上社会主義政策を放棄した。現在では一帯一路構想という自前の経済圏を作る構想まで持っている。つまり、中国が暴発する可能性はそれほど高くなく、したがって核兵器をもっていても危険度はそれほど高くない。

良い考えのように思えた。「今の世界を破壊してまでも解放されたい」と考える人がいない場合にはこの戦略はなりたちそうだが、これが当て嵌らないケースが2つある。

1つ目のケースは内戦に夢中になっており理性が働かない場合だ。アフリカには人工的に作られた国家がいくつもある。こうした国々は天然資源を独占するインセンティブが働く。例えば南スーダンでは石油利権を巡っていくつかの部族が対立している。こうした国が(正確に言えば各陣営が)核兵器を持てば、必ず使うだろう。しかも大陸間弾道ミサイルなどという面倒なものを作る必要はない。隣近所で核爆弾を炸裂させればよいからだ。

次のケースはイスラム教徒である。イスラム教は長い間キリスト教と対峙しており、さらに国際的な広がりがある。穏健な人たちもいるが、過激な思想を持っている人たちもいる。こうした人たちの中には、キリスト教徒が作った社会はそもそも間違っていると考える人がいる。キリスト教とは神の言葉を間違って解釈をしているばかりか、イスラム教徒を搾取しているからだ。キリスト教世界との対立は、アフリカとヨーロッパに前線がある。彼らも自爆的に核爆弾を使う可能性が高い。

つまり、北朝鮮の核を容認するのは、ある程度秩序のある東アジアではそれほど悪いアイディアではない。しかし、北朝鮮への容認は結果的に現在のキリスト教国を中心とする世界秩序を脅かす結果になる。

多分アメリカが恐れているのは、イランは核兵器を作ってはいけないのに、なぜ北朝鮮は作ってもよかったのかという理解が広がることなのだろう。イランに核兵器が持ち込まれるとそれが周辺諸国に広がりかねず、最終的には核保有国であるイスラエルとの間に深刻な対立が生まれる可能性が高い。アメリカにはユダヤ人ロビーがおり、これは許しがたいことなのではないだろうか。

しかも北朝鮮は米中露のゲームの駒になっている。つまりアメリカを挑発する北朝鮮にゲームを続けさせることは中露の国益になる。しかし国連制裁に反対してしまうと単独の軍事行動を許容することになってしまう。だから、表向きは協力するふりをしながら裏では適当に泳がせるというようなことが行われるわけである。

つまり正面からこの問題を解決することはできない。そうなるとアメリカはこの実験に失敗してもらうしかなくなる。かなり大きな失敗が起こればよいのだが、傍観していても失敗はしないわけだから、実験場を爆破するなどの秘密工作が必要になるだろう。もちろんこれが失敗する可能性もあるわけで、いずれにせよ北朝鮮国内では大惨事が起こることになる。

もう一つの可能性は軍事的行動ができるようにアメリカ側が挑発を強めるというものである。いきり立っている同盟国があるので、その国をそそのかして攻撃を受けるように仕向ければよい。その場合、当該同盟国を巻き込んだ戦争が起こるかもしれない。北朝鮮は電気的な信号を遮断した上でミサイル攻撃を行う能力があるそうだ。暗闇で襲われればかなりの恐怖を感じることになるのではないだろうか。

ちなみに、今現在条件に当てはまりそうな国が一つだけある。それが日本だ。自分では強いリーダーであるなどと自認して空回りしている安倍首相だが、実はゲームの蚊帳の外におり、しかも駒の一つとしてしか認識されていないのかもしれない。

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