北朝鮮が核爆弾を完成させつつあるらしい。このニュースを見て日本人は七十数年前の間違いを再び繰り返そうとしているのだなと思った。
七十数年前の間違いとは何なのだろうか。日本人は個人では自信がないのであまり意見を言わない。そのため、おとなしく人が良いとされる。しかし、一度集団になると様相が一変することがある。おとなしいのは性格が良いからではなく自分に自信がないだけだ。だから集団が優位にあると感じると増長してしまうのだ。よくヤンキーに例えられるし、暴走族のようなメンタリティと言っても良いだろう。しかし自分に自信があるわけではないので、その気質はチンピラのそれに近い。
sもし日本が満州の経営について真剣に考えていれば、植民地スキームを維持するためにどうすれば良いかを考えていたはずだ。武力で抑えつけるのは高コストなので、多分満州国皇帝を表に立てて日本人は目立たないように経済搾取をしていたはずである。しかし、日本人はそうはしなかった。関東軍が殴り込みをかけ、農村地帯から溢れた人たちを大陸に送り込んでおおっぴらに満州人や朝鮮人をいじめさせた。朝鮮半島でもおなじようにしたので現地の人たちの恨みを買い、その影響は現在までも続いている。
同じようなことが今も起きている。関東軍の代わりになっているのはアメリカ軍である。日本は世界一強い国と同盟を組んでいるというおごりがあり、世界各国が対話を要請しているにもかかわらず「いうことを聞かないなら圧力を強めるぞ」と言っている。中国、ロシア、ドイツなどは「これ以上追い詰めると暴走する可能性がある」と考えて平和的な解決を望んでいる。
だが、何も「北朝鮮だって話せばわかるはずだから平和裡に解決すべきだ」などというつもりはない。しかし、追い詰めるならこちらも準備が必要である。まずは戦争がどれくらい続くのかを見積もった上で、予算措置を講じる必要がある。日本は直接武力行使はできないが、これは抜け道がいくらでもある。しかし、全ては間接支援なので極めて高コストだ。
加えて北朝鮮は必ずミサイルを撃ってくるだろうから、何の意味もない空襲警報に過ぎないJアラートを廃止して具体的な避難計画とシェルターの準備を始めるべきである。
だが、日本はこれをやらない。アメリカが守ってくれるから大丈夫だと思っているのだろう。安倍首相の作戦は1)普段からアメリカに媚を売っておくことと、2)アメリカの権威を笠にきて威張るという二つしかない。その他のことは「まあ、大丈夫だろう」と何の根拠もなく思っているである。
冷静に観察すると、アメリカにも作戦はなさそうだ。核開発を続行する北朝鮮に何も手が打てず、単に「軍事的オプションがある」といって脅しているだけである。北朝鮮は実際に実験を一歩づつ着実に進めておりどうやら協力している国もあるようである。アメリカの制裁が強い国は形の上ではアメリカに従っているが、実際には制裁を報告していない国もあるという。実際にはアメリカに反発している国もあるのかもしれない。トランプ大統領の<外交>はさらに稚拙で緊密に連携すべき韓国を侮辱するという常識では考えられない暴挙に出ている。
tしかしアメリカは困らない。今戦争になっても戦場になるのは朝鮮半島でありせいぜい日本や中国に流れ弾が飛んでくる程度のことである。グアムくらいはやられるかもしれないが、かつての真珠湾のように却って国民を扇動できるくらいに思っているのではないだろうか。
個人の時は「みんなから悪く思われたらどうしよう」とビクビクしている日本人は集団になると妙な自信を持つ。アメリカがついているから大丈夫だと考えているので、アメリカに打ち手がないというニュースもスルーしてしまう。安倍首相は「もっとも強い言葉で抗議する」と繰り返すばかりだが、かといって与野党に打ち手があるわけでもない。
関東軍にも満州国を維持するプランがあるわけではなかった。このため戦線がやみくもに拡大し、最終的には真珠湾に特攻して勝ち目のない戦争が始まる。そのあと中国人から恨まれることになり、それは今でも続いている。
と同じようにアメリカにはプランはなく、したがって日本人も何も考えていない。単に言葉で非難するだけである。単に北朝鮮を追い詰め世界各国を呆れさせている。
日本人はいい加減70数年前に徹底的に負けたことを反省しなければならない。南京虐殺はなかったなどといってかつての植民地経営の失敗を見なかったことにしているからこんなことになってしまうのである。