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起:憎悪の標的になり、ますます混乱するアメリカ合衆国

8〜12分

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アメリカ合衆国には「丘の上の都市」という理念がある。もともとは清教徒のリーダーが「アメリカ大陸を倫理的に優れた新世界にしよう」と呼びかけた言葉だが、アメリカ化した福音派が終末論を持ち込み再解釈したものである。外の世界の混乱を、自分たちの社会の比較優位性を示す材料として歓迎する傾向があると指摘されてきた。

しかしこの安全なはずの丘の上の都市は、今やトランプ大統領の軽率な行動によって不安に支配されつつある。

まず、アメリカ合衆国ではガソリン価格が急激に上昇している。さらに、バージニア州のオールドドミニオン大学のROTC(予備役将校訓練課程)を狙ったテロ事件が発生し、デトロイトのシナゴーグには車が突入した。大学で起きた事件の容疑者は、イスラム過激派を支援した疑いで逮捕歴のある元州兵であり、シナゴーグに突入した男は、イスラエルに家族を殺されたと主張するレバノン人だった。この二つの事件を受け、合衆国の警戒レベルは高まっている。

そんな中、ドナルド・トランプ大統領の発言はますます意味不明になっている。敵であるはずのロシアに対する石油制裁を一時的に緩和する一方で、なぜかウクライナへのドローン支援を断った。また現在は、イランに対する濃縮ウランの捜索計画は検討していないと主張し、「戦争の目的が体制転換でもなく、民主化でもなく、核兵器開発能力の除去でもない」ことを露呈させた。ただし戦争については、最初の一時間で「勝利を確かなものにした」としながらも、交渉相手が全員死んでしまったため無条件降伏を宣言できないのだと主張し続けている。

ホワイトハウスでは、中間選挙への影響を考え早期に終結宣言を出すべきだとする人々と、徹底的にイランを叩くべきだとする人々の間に亀裂が生じており、当事者として意思決定できない状況に陥っている。

ニュースサイトのAxiosは、ガソリン価格の高騰について「トランプ大統領に原因がある」と認識している有権者が48%にのぼるという調査結果を伝えている。アメリカ合衆国の経済は徐々に落ち着きつつあるが、インフレによるスタグフレーションに突入すれば、結果的に「ハードランディング」とみなされてしまう。このままインフレを放置すれば、中間選挙にかけて肥料価格の高騰から生じる食料品価格の上昇がアメリカを襲うことになる。

つまり、アメリカ合衆国は「丘の上の都市」どころか、アメリカ合衆国はトランプ大統領が引き起こした混乱の直接の被害者になりつつある。そしてホワイトハウスも議会も混乱を制御できていない。


本日は小論文でおなじみの「起承転結」方式にした。全体構成はこちらから御覧いただける。

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