9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方

アメリカ合衆国とイスラエルによるイランへの攻撃は、すでに4日目に入った。この攻撃がいつ終わるのかを考えるには、そもそも何を目的にして始まったのかを理解する必要がある。どうやら「指導部の殲滅」までは考えていたが、その先はプランがなかったようだ。リスク評価も十分に行われておらずスペインの首相はロシアンルーレットだと言っている。

ニューヨーク・タイムズとAxiosが、それぞれ関連記事を配信している。両紙の報道から浮かび上がるのは、作戦の目的がイランの指導部を根こそぎ排除することにあったという点である。軍事展開は何とか間に合ったものの、「正当化」のための理論構築は間に合わなかった。

ニューヨーク・タイムズとAxiosの記事には、共通点と相違点の両方がある。最大の違いは、ドナルド・トランプ大統領の主体性の扱いである。ニューヨーク・タイムズは事実関係を淡々と並べているのに対し、Axiosは「情報提供を受けてトランプ大統領が主体的に決断した」とする周囲の声を拾っている。MAGAの間に「トランプ大統領はイスラエルに泥沼に引きずり込まれた」という評価がある。

Axiosの記事はいっけんトランプ大統領に有利なように見える。しかし、別の視点を同時に提示することで、大統領本人と周辺の見解を相対化している。つまり、実際にはAxiosのほうがより意地悪な構成だ。

両紙が共通して伝えている経緯は、概ね次の通りである。

トランプ大統領は、外交交渉と軍事攻撃の準備を並行して進めていた。これは事前の報道とも一致する。本人も最終的にどちらを選ぶか定めきれず、側近たちも大統領の決断を読み切れていなかった。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、当初は軍事攻撃を急ぐトランプ大統領を制止していた。しかし、水面下では指導部を一掃できる機会をうかがっていたと考えられる。やがて、アリー・ハメネイ師の後継者を選ぶ会議が開かれることが判明し、「この機会を逃すべきではない」として、トランプ大統領に決断を迫ったようだ。

軍事的圧力をかけるには、各地から部隊を中東に集結させる必要がある。ピート・ヘグセス国防長官と軍は、かろうじて部隊の集結に成功した。一方で、国務省は外交交渉から排除されていた。

本来であれば、事態が展開した後に備え、どのように正当化するかについて理論構築を行い、「証拠づくり」を進める必要があった。しかし、大統領が先に攻撃を決断してしまったため、準備が間に合わなかった。マルコ・ルビオ国務長官が「壊れた」と評されるようになったのは、その後である。

ここから、いくつかの重要な点が読み取れる。

第一に、トランプ大統領が主体的に決断したのか、情報に流されたのかは別として、軍のリスク評価、議会、国務省の外交官といったアメリカ合衆国の制度的装置が、大統領の暴走を抑えられなかったことである。これは、同国がもともと抱えていた政治的脆弱性を露呈させ、世界経済の安定と持続性にも暗い影を落としている。

第二に、ヨーロッパ各国から協力を取り付けることが難しくなった。各国は自国の権益を守るためにアメリカと協調したいが、そのためには有権者に対して法的整合性を示す必要がある。しかし、国防総省が正当化に失敗したため、「国防総省の見解」を根拠として示せなくなった。

第三に、トランプ大統領は十分なリスク評価を行っていなかった。これは、出口戦略が存在しないこと、そして出口にかかるコスト計算ができていないことを意味している。

今後、トランプ大統領は同盟国に対して負担の分担を求めてくるだろう。しかし同時に、自己正当化に躍起になっており、心理的にもかなり不安定な状態にあると考えられる。トランプ大統領の心理については別途考察する。

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