9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


トランプ大統領のハッタリ政治に日本の未来を賭ける高市総理

15〜23分

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください

日本の未来は、いまや一人の海外政治家の気分と、一人の国内政治家の忠誠心に委ねられつつある。相手が強そうなら無条件でついて行く。人気があるなら疑問を持たない。結果がどうなろうと、「仕方なかった」で済ませる。そういう政治が、当たり前になりつつある。

仮にその判断が、日本経済を壊し、生活を直撃し、将来世代に重荷を残すものだったとしても、それでもあなたは「ついて行く側」でいられるだろうか。もし、そこに一瞬でも違和感を覚えたなら、あなたはすでに、この流れの外側にいる。しかし、その立場が本当に幸せなのかは分からない。衝突が不可避なら、すべての矛盾に目をつぶり、「高市バンザイ」と唱えながら玉砕するのも、一つの選択なのかもしれない。

政治家・高市早苗の成功のポイントは、「とにかく強くて人気のあるボスについて行く」という点にある。日本では安倍総理だったが、総理大臣になった今はトランプ大統領との関係を強調し、政治的に絶大な支持を集めている。しかし、この高市氏の戦略は、おそらく日本の国益にネガティブな影響を与えることになるだろう。

毎日新聞が「『サナエ・ショック』何が起きる?」という記事を掲載した。内容は読めず、SNSで流通するのは見出しだけだ。結果的に感情的な反高市派が騒ぎ、高市支持者が「またマスゴミが騒いでいる」と反発して終わってしまう。毎日新聞としては親切心のつもりなのだろうが、これでは逆効果ではないか。

一方で、日経新聞は「国債費が社会保障費を超えるだろう」という財務省の試算を紹介している。2026年度予算案に基づくもので、「減税、減税では財政が持ちませんよ」と示す狙いがあるものと見られる。

アベノミクスには、「金利が上がらない状況では政府の財政出動は正当化される」という前提があった。余裕があるうちに構造改革を行えば、財政出動は将来的にも正当化できたはずだが、安倍総理はそれを行わなかった。砂時計の砂はすでに落ちきっており、高市総理は原理的にアベノミクスを継続できない。

しかし、高市総理は戦略的な財政出動でこの流れを変えると力強く宣言している。ところが、これもREUTERSによって否定されている。供給制約が重くのしかかっている。特に人材不足が深刻だ。この不足を補うためには外国人労働者を積極的に受け入れるべきだが、高市政権はどちらかといえば「外国人排斥」傾向が強い。またアベノミクス=円安誘導策という認識も一般化しており企業経営者たちは円安に警戒感を示す。

アメリカ合衆国の事情を知っている人は、「あれ、どこかで聞いた話だぞ」と感じるのではないか。バイデン政権は、供給網を国家主導で再整備しようとしたが、やはり同じような労働力不足に直面した。コロナ禍でベビーブーマーが大量退職したためだ。政策的意図は不明だが、結果的にこれを補う形で増えたのが、いわゆる「不法移民」だった。ところがトランプ大統領は、これを敵視し、国外追放しようとしている。さらに外国人学生の流入にも懐疑的で、専門職の外国人も敵視している。

「供給制約」について考えていたところ、対米投資の1号案件について「実現は難しいのではないか」とする論考を見つけた。9割がガスタービン発電所の建設に充てられるというが、そもそも巨大なガスタービンを納入できる業者がいないようだ。レーガン政権時代から製造業が国外流出してきたアメリカでは、もはや作れないのである。

そもそも、こんな無謀なガス発電施設がなぜ必要なのか。それはAI向け電力を賄うためだ。こちらもなかなか悲惨な状況になっている。Bloombergは「OpenAIの最新調達、1000億ドル突破の公算――企業価値8500億ドル超えも」という記事を出している。

AIに関わる起業家たちは、「アメリカ経済をクロックアップし、極限まで生産性を上げるべきだ」と考えている。アメリカではAIが最後のフロンティアとなり、資金はいくらでも集まってくる。しかし実際には、OpenAI社は赤字を垂れ流しており、「広告収入で補えないか」と検討されている。仮にこの谷を越えられたとしても、待っているのは、化石燃料を燃やしながら、本当に必要かどうかも分からない生産性を極端に高める世界だ。人間がそれを制御できる保証はない。冷静に考えれば、人々が消費できる製品やサービスにも限界があるはずだが、AI起業家たちは冷静ではない。

もちろん、サム・アルトマン自身が無制限な化石燃料消費を望んでいるわけではない。しかし、国家間競争と投資資本に駆動されるAI開発の構造は、個人の慎重さとは無関係に、エネルギー消費の拡大へと向かわせている。

トランプ大統領の思想の起点は「選挙キャンペーン」にあるため、規模を誇張する傾向が強い。一方で、実施手法はほぼ民間に丸投げだ。広い敷地だけを用意して、「あとはご自由にどうぞ」という状態になっている。今回、具体的な計画が出てこないのは当然である。つまり、計画など存在しないのだ。

こうした場当たり的な手法は、外交でもいかんなく発揮されている。トランプ大統領が主導する「ボード・オブ・ピース」では、アラブ諸国が70億ドルを出資することが決まった。アメリカ合衆国も100億ドルを拠出するという。しかし、この規模になれば、議会の協力なしに拠出することはできない。連邦政府が部分閉鎖されている状況で、議会が認めるとは考えにくい。

トランプ氏主導「平和評議会」が初会合、ガザ復興に70億ドル超拠出へ(REUTERS)

要するに、「記者会見で派手なことを言いたい」だけで希望額を表明した可能性が高い。

さらに成果を焦るトランプ大統領は、イランに空母群を派遣している。おそらく単なる脅しだろうが、それでも国債金利の上昇(国債価格の下落)につながっている。仮に偶発的な事態が起きれば、アメリカ財政は100億ドルどころではない圧迫を受け、巨額投資どころの騒ぎではなくなる。だから100億ドル支出は「方針」になっている。よってアラブ圏も「アメリカが出せるならおいおいそれくらい出してやろう」と見たほうが良さそうだ。

つまり、トランプ大統領には「統合された国家戦略」が存在しない。その場その場で、目の前の聴衆に拍手してもらうことが目的だからだ。そしてまわりもそれがわかっている。わかっていてお付き合いしてあげている。一次が万事そんな調子。今が回っているなら、その場が盛り上がるならそれで良いという「ラリー戦略」がトランプ外交・トランプ経済である。

「アメリカ経済の好調さ」を支えてきたAI産業が、次第に怪しさを増している点も深刻である。生産性を高めること自体は悪くない。しかし、その目的が忘れ去られている。本来は「人間が快適に生きるため」に生産性を高めるべきなのに、「技術的に可能なのだから人間は黙ってついて来い。化石燃料は燃やせるだけ燃やせ」という方向に進みつつある。

しかし高市総理は、そうしたトランプ大統領とアメリカ合衆国に日本の運命を預けることにしたようだ。現在、国会では審議時間を44時間程度に抑え年度内に予算を成立させるべきだという意見も出ている。国民が自民党を支持しているのだから、国会審議など不要だ、というわけである。

高市総理の「揺らぎのなさ」の背景には、安倍総理やトランプ大統領という人気リーダーについて行けば間違いない、という確信があるのだろう。その代償として、二つのものを失っている。

  • 一つ目は、自ら政策を立体的に考える能力
  • 二つ目は、周囲に理解と協力を求める姿勢

である。

「熟議を尽くすべきだ」「第二のトラスショックになる」などといくら叫んでも、破綻は見えにくくなるだけだ。国民は一度、高市総理の決断を尊重し、行けるところまで行ってもらうべきなのかもしれない。

日本は安倍政権下で、少子高齢化対策も産業構造転換も行わなかった。日経新聞が示すように、今後はじわじわと国債費の上昇に苦しめられることになる。しかし日本人は、「失われた30年」の間に、こうしたジワジワ型の衰退に慣れてしまった。かなり大きなショックがなければ、国民が目覚めることはないだろう。一度、主権者として正面から結果を受け止めてみるべきなのかもしれない。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です