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FRB議長にケビン・ウォルシュで金の価格が大幅下落

8〜11分

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トランプ大統領が新しいFRB議長にケビン・ウォルシュ氏を指名した。これに伴い金の価格が大幅下落している。現在の金の動きが理解できていれば「これまでのハイテク株や商社株の儲けで保険を買った=元手はゼロだから気にする必要はない」と思えるだろうが、値上がり目的高値で金を掴んだ人はかなりの損失を抱えることになったはずである。

NISAで海外投資が一般化する中で、これまでS&P500に投資していればOKを考えていたような人は今後苦しい展開になるかもしれない。今後生き残るポイントは「物語のデコード能力」である。

金価格高騰とドル安の背景がわかってきた。どうやら「ブラックロックのリーダー氏がFRB議長になる」という当初の報道はアメリカ財政当局の仕込みだったようだ。

リーダー氏はかなり強くアメリカの国債を守るための行動に出ることが想定されていた。しかしこれは結果的に短期金利を極端に抑えるインフレが更に加速することを意味している。短期金利が極端に抑えられてきたぶん長期金利が跳ね上がり結果的にドル離れとアメリカ合衆国の財政悪化が起きる。

問題は「誰が何のために物語を仕込んだか」である。このあたりが報道に乗ることはない。

ブラックロックはAIなどで生産性が向上するから短期金利を抑え込んでも長期金利は高騰しないという物語を導入してきた。しかしながらリーダー氏の手腕はウォール街には未知数。そこでウォール街で信任されているウォルシュ氏にこの物語を語らせる一方でリーダー氏ではドル離れが進むと証明する必要があった。

つまり、財政当局は市場に「ウォルシュ氏は物語を信じているふりをしてトランプ大統領と話を合わせている」と匂わせ、大衆には物語を売り込みトランプ大統領の主張を破綻させないように辻褄を合わせる必要があったのだ。

ここまで考えるとベッセント財務長官は、すでに物語に飲み込まれつつあるトランプ大統領を説得するために投資家を巻き込んでドルを燃やしつつ自分はあたかも消防士のふりをしているという陰謀論めいた仮説が生まれてしまう。

もっとも、誰かが最初から周到なシナリオを書いているわけではない。各プレイヤーがそれぞれ危ない橋を渡りながら場当たり的に対応した結果として、結果的に陰謀論めいた物語が自然成立しているように見える点にこそ、現在の危うさがある。

しかし、ここで「アメリカ合衆国の政治は末期状態であり危険である」として脱アメリカを訴えたいわけではない。日本の現状を考えれば、それは現実的に不可能である。

むしろ、これまでS&P500成長神話に依存してきたNISA一般投資家こそ、今後は「物語の背景」を理解したうえで、アメリカ政府当局者が発信するメッセージを自らデコードしていく必要がある。

その一例が、今回の金価格の急騰とその後の下落だった。日本の報道では「地政学リスク」という曖昧な言葉のもとで、金価格の高騰だけが強調された。この流れで「これから爆発的に高騰するのではないか」と金を購入した人の中には、結果的に損失を被った層も少なくないだろう。

しかし、だからといって「金には手を出すな」という話にはならない。むしろ今後は、不確実性が高まる中で「保険」としての金の重要性は、いっそう高まっていくはずである。

ここまでの仮説はベッセント財務長官が「一般投資家のアメリカ市場に対する信頼を毀損しつつもウォルシュという最初のゴールをトランプ大統領に受け入れさせた」というものだった。さらにトランプ大統領もベッセント財務長官のシナリオに依存しつつ、フラトン郡から押収した投票用紙をちらつかせつつ「中国に操作されたバイデンが原因を作ったインフレからアメリカ人を救い出すためにFRBと戦っている」と主張し続けることができるだろう。

つまりトランプ大統領とベッセント長官の勝利に見える。

しかしアメリカの有権者たちは徐々にトランプ大統領の発言を信じなくなっており中間選挙で民主党に有利な状況が生まれる可能性が高まっている。つまり今回の「成功」は有権者に否定される可能性がそれなりにある。

ここまで来るとこれは陰謀論と言うよりも「喜劇のような悲劇」であり「悲劇のような喜劇」でもある。勝者のように見える人が実は状況に対する敗者であるという倒錯した構図だ。人はそれを民主主義と呼ぶのかもしれない。

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