本日は、高市早苗総理の「台湾発言」が妄言であることを分析する。背景にあるのがトランプ政権と世論の距離である。アメリカの民主主義はすでに破綻状態にある。つまりトランプ政権は有権者の期待に応えられない。そこで「物語」と「現実」を分けたうえで情報を操作する必要がある。しかしトランプ大統領は物語の中に飲み込まれつつある。つまりこのあたりをきちんと解読(デコード)してやらないと思わぬ判断ミスを冒すことになってしまう。
トランプ大統領が陰謀論者として知られるトゥルーシー・ギャバード氏まで動員してジョージア州フルトン郡の選挙事務所を強制捜索させた理由がわかってきた。SNSで根拠なく「中国がバイデン大統領を傀儡にするために選挙を操作した」と主張したそうだ。
ABCニュースによると。イタリアの軍事衛星がアメリカの投票機をハッキング。「報道」によると作戦を調整したのは中国で、狙いはバイデン大統領を傀儡に仕立てるためだった。
「報道」とは陰謀論まみれの右派の主張だろう。中には本気で信じている人もいるだろうがクリック数稼ぎの人も大勢いるものと考えていい。
おそらくアメリカの有権者もこのような発言は信じていないのだろうが「自分たちの選択(=トランプ)は間違っていなかった」と考えたがっている。にも関わらずインフレは少し緩やかにはなってきたが生活は苦しいままだ。おそらく、日々の生活のストレスからかなり精神的に疲労し冷静な分析ができなくなっている人も多いものと考えられる。これが結果的に陰謀論の温存につながっている。
ではトランプ政権は順調に中国からのデカップリングを進めることができているのか。
REUTERSに「焦点:第2次トランプ政権発足1年、世界で「中国シフト」加速」という記事が出ている。トランプ大統領の不透明な政策により中国シフトが鮮明になっている。つまり急速なデカップリングは中国ではなくアメリカ合衆国を孤立させることになってしまうため、アメリカ合衆国もまた中国依存から脱却できないことが明らかになりつつある。
アメリカの一方的な傲慢さが「脱アメリカ・親中国」につながりつつあると考えるとイギリスに対して「中国に近づくな」と主張することそのものが逆効果になる可能性が高い。にも関わらずトランプ大統領は「トランプ氏、英国の中国接近をけん制 「非常に危険」」で示される通り、中国に接近するイギリスを声高に批判している。
財政面ではインフレを容認し国債の価値を維持する必要が出てきている。ところがこれは有権者には受け入れられない。このためにトランプ政権は物語を管理する必要がある。しかしながら、トランプ大統領の放埒な発言を見ていると、おそらく彼は物語に飲み込まれつつある。
実はトランプ大統領の精神状態はかなり混乱しているのではないかと思われる記事が毎日新聞(トランプ氏の精神状態「危険」 スロバキア首相が発言か 米報道)に出ている。オリジナル報道はポリティコだ。普段ならば「ああまたいつもの根拠のない憶測だろう」で済ませるところだが、徐々に「ひょっとしてこれはまずいのではないか?」と考える人が増えてくるのである。
これまで日本の「反トランプ報道」は自動的に「親中国」と解釈されてきた。しかし「トランプ大統領こそが世界を中国に向かわせている」という事情を知ればその見方も変わってくるかもしれない。
そして、その背景にあるのはアメリカ合衆国の政治の行き詰まり。何らかの物語を導入して合理的判断能力が疲弊した人たちを押さえつけなければならない。しかし、陰謀論を振りかざし「インフレは中国に操作されたバイデンのせい」という主張するトランプ大統領自身が自分の物語に飲み込まれつつある可能性が極めて高い。
アメリカ合衆国を外部参照とする日本は、今後より高性能なデコーダーとノイズ除去装置が必要になる。
トランプ大統領の中国に対する強硬なメッセージは、彼なりの交渉手段だ。それは例えて言えばイランに対して大規模艦隊を送り出すのに似ている。これを真に受けて「アメリカ合衆国は台湾を支援しようとしており日本も必ずそれに従う必要がある」と認識する高市総理はトランプ政権を理解できていない。さらに混乱した認識によって作られたありもしない想定のもとに砂上の楼閣を築き上げる可能性が高い。そしてその砂上の楼閣が崩れた時、日本経済と日本人の命が犠牲にさらされる。
それでも「まさかアメリカ合衆国の政治がそんなに混乱している」と信じられないという人もいるだろう。
トランプ政権は2025年末に「台湾保障実施法」に署名して中国を挑発した。しかし遡ること2025年8月には台湾に対し「半導体シェアの40%をアメリカに移転しなければ100%の関税をかける」という極めて厳しい要求を突きつけている。つまり台湾保証実施法も「単なる経済ディールの一貫」でしかない可能性がある。
しかしこれさえも「トランプ大統領が経済については極めて現実的な判断を下す」という物語に基づいた希望的観測に過ぎないのかもしれない。つまり政策の統合ができなくなりつつある可能性も排除できなくなりつつある。
高市総理が破綻しかけたトランプ大統領の物語と心中するぶんには構わない。しかし、そこに日本国民を巻き込むことがあってはならない。

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