選挙戦が始まった、時事通信は「食品消費税ゼロ」初日言及なし 首相、批判かわす狙い?【26衆院選】と伝えている。経済成長パッケージを示せなかったことで高市総理は「私を信じてくれ」と訴える以外になかった。このため議論が食料消費税問題に流れたが、当初分析した通り高市総理は消費税減税などできないとわかっているのだろう。
しかしながらこの食料消費税減税問題は本当に語らなければならない課題を覆い隠している。今回の選挙は霧の中でとにかくなにか選べと国民に突きつけている極めて理不尽な選挙だ。
今回の為替介入(ないしは口先介入)に日本は参加しなかった可能性が高い。つまりアメリカの協力があったものと考えられる。
アメリカ合衆国の動機には
- 日本発で金利が高騰するのを恐れた
- 防衛費5%を念頭に日本に貸しを作った
という説がある。
前者を取ると選択的投資位は許容される可能性が高いが食料品消費税の減税などとても無理だろう。一方後者はそもそも増税になる。
しかしそれよりも厄介な問題がある。それが円安構造=コストプッシュ型インフレ構造の温存だ。
コラム:円安予想が修正されない限り続く円安トレンド=熊野英生氏を読んでみた。専門家向けに書かれているので補助線が必要。物価上昇率を2%に固定すると次のようになる。
- 潜在成長率0.5%
- 金利目標2%
- 物価上昇を差し引くと金利目標は0%
- 実際の金利0.75%
- 物価上昇を差し引くと-1.25%
国民は物価上昇を見ているので「緊縮的環境にいる」と思いがちなのだが、実は現在の金利環境は政府などの借り手に優しい。だから現在の金融政策は未だに「緩和的」である。
日本の現在の2%前後の物価上昇は、潜在成長率が0.5%程度にとどまる中で起きており、その大部分は円安や輸入物価上昇などのコストプッシュ要因によるものだ。したがってこれは成長を伴うインフレではなく、実質所得を押し下げ、国民生活を困窮させる「望ましくないインフレ」である。
この基本構造を放置するとどうなるか。まず国民生活は苦しいまま。さらにインフレが2%とすると国民総資産(1100兆円といわれる)は毎年22兆円「溶けて」しまう。さらに政府は緩和的財政に甘やかされて支出を増やす。そしてそれが市場に見透かされて円安が進み、更に国民生活を圧迫するのである。
もちろん資産家は海外に資産を逃避させることができるため毎年22兆円が溶けるとは言えない。ただし逃がす資産がありなおかつPCスキルを持っていなければ海外の投資市場にアクセスができない。
つまり消費税減税はそもそも物価高対策ではなく困窮者対策である。ここで言う弱者は逃避させる資産を持っていない人とITリテラシーがない人たちを含んでいる。
高市総理は初日の演説で食料品の消費税減税には触れず、「強い経済が必要だ」と訴えた。しかしこのメッセージがメディアで評価・検証されることはおそらくないだろう。なぜなら、評価の対象となる具体的な経済政策が提示されていないからだ。
考えられる理由は二つある。
- 経済政策をまとめきる前に、何らかの事情で選挙に追い込まれた。
- そもそも「国民の審判に耐えられるほどの中身」が存在せず、白紙委任を取り付ける以外に選択肢がなかった。
結果として、メディアが評価しようにも評価対象そのものが存在しない。だから有権者は選べない。
一方で、そもそもアメリカ合衆国の財政状況がどうなっているのかも判然としない。表向き株式市場は好調だが、同時に金価格は高騰している。これは、短期的なリスク資産には資金を投じつつも長期的には米国財政を完全には信認していない投資行動だ。
ベッセント財務長官が市場を人為的に安定させている可能性もあれば、本来取るべき対策を中間選挙まで先送りしている可能性も否定できない。いずれにせよ、問題が解決されているのか単なる時間稼ぎなのかは外部から見えない。
その結果、アメリカが日本の財政運営にどのような制約を課してくるのかが全く見えないまま円安構造だけが温存されるという極めて不確実な状況が生まれている。
今回の真冬の総選挙は、こうした霧の中で行われる。すべてが不確かなにもかかわらず、国民には「あなたたちは主権者なのだから、何かを選べ」と迫られる。これはかなり理不尽な選択の強要だ。

コメントを残す