中道改革連合と国民民主党の政策集が出てきた。どちらも生活防衛に力点が置かれており「生活防衛選挙」になりそうだ。ただ主語が異なるため全く違う公約に見える。
中道改革連合は高齢者を代表しており、国民民主党は現役世代を代表している。もはやこの2つは折り合わないのである。
アベノミクス後遺症の円安インフレによって我々の暮らしは徐々に圧迫されている。ただし、圧迫のされ方は年金生活者と現役世代では違っている。
現在日本の住民税非課税世帯は1300万世帯。この内3/4は高齢者である。おそらくインフレによってスーパーの卵の値段に一喜一憂しているはずだ。中道改革連合は連合や創価学会の支援を固めつつ1300世帯の不満を吸収できれば選挙に勝つことができる。実際に創価学会の支援で新党が比較第一党になれるのではないかと見る人もいる。
立憲民主党はかなり公明党の綱領を詳しく分析したようだ。公明党は平和の党であるというイメージを踏襲しつつ「生活者救済」を訴えている。もともと創価学会は都市に出てきた基盤がない人たちの宗教互助会的な要素があり、結果的に「生活者ファーストの視点から政策を打ち出す」傾向が強かった。彼らの「人間中心=中道」の信仰が現世利益に結びつくという考えかたである。公明党はこれまでも具体的に「生活を楽にするために与党に働きかける政党」というイメージだった。
綱領や基本政策は19日に発表する。野田氏は基本政策に関し、「消費税減税は入れていきたい。政策の柱として出てくるのは間違いない」と表明。「生活者ファーストの視点から政策を打ち出す」と述べた。
立公新党「中道改革連合」 食品消費税ゼロ公約へ―綱領「現実的安保」「政治改革」(時事通信)
そもそも高市政権は積極財政を推進していないと考える人も出ているが、高齢者は積極財政で「将来的に」暮らしが楽になるはずだという約束は信じていない。高齢者に「将来」を見据える時間的余裕はない。
一方の国民民主党は主語が高齢者ではなく現役世代になっている。同じ労働組合をバックに持っていても主語が高齢者になるか現役世代になるかで同じ約束ができなくなっているということが分かるが、生活防衛であることには変わりがない。それだけ国民の暮らしは傷んでいるということなのだろう。
国民民主党の提案にも消費税減税が含まれているが、手取りを増やすために減税や社会保険料の減免が入っているのが特徴である。基本的にシルバー新党である中道改革連合ではけっして打ち出せない政策だ。
「『もっと』手取りを増やす」をキャッチフレーズに掲げ、年少扶養控除の復活、公的医療保険に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金制度」の廃止などを盛り込んだ。これまで訴えていた消費税率の一律5%への引き下げも維持する。
国民民主、子育て支援金を廃止 「もっと手取り増やす」―衆院選政策案(時事通信)
別のエントリーで分析したように、おそらく高市・片山ラインは「賃金上昇が内需牽引型の中小に拡大する」とは思っていない。彼女たちは「自民党を破綻させずにアベノミクスの出口を探すこと」である。つまりアベノミクス葬送政権である。おそらく玉木雄一郎氏も「賃上げに期待できない」と考えており(労働組合の手前、口が避けてもそんな事は言わないだろうが)社会保険料や税金を下げるしかないと考えているのだろう。
野党2党の政策が先行すると自民党には2つのオプションが残る。
- 野党に競合する生活防衛提案をする
- 野党の主張を覆すために「将来的な夢」を語る
- このときに財務省の提案を捨てて「財政は後で考える」ことにする
- 財務省が枠を決めて「その枠で集中投資を行う」
国民の大半が生活に余裕がない高齢者と生活に余裕がない現役世代だとすると、残りのニッチが「誇り高い日本人・外国人排斥」ということになる。そもそも維持する生活さえないという人たちだ。
いずれにせよ19日に高市総理が解散を説明した時点でこの選挙が純粋生活防衛型になるか、あるいは将来の夢VS生活防衛になるのかが決まる。

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