前回、海部型か2014年安倍型かという仮説を立てた。結果は2014年安倍型だった。戦略なき高市総理は解散総選挙を選択した。戦略がないからどうせ負けるだろうという分析を期待している人は読まないほうがいい。高市総理がそれなりに勝つ可能性は高いと思う。
ただし2014年は1年で20円近くも円安が進行した。国民が自民党を選択するということはその未来を受け入れるということになる。夢を買う代わりに物価高に耐える覚悟があるなら、堂々とその選択をすればいい。
高市総理はおそらく次の3つの問題を抱えている。
- 与野党が入り乱れる状態になっており人脈がない高市政権には予算をまとめることはできなかった。
- 韓国発の統一教会問題が浮上しメディアをシャットダウンする必要があった。
- 高市総理の不用意な発言をきっかけにした中国との関係悪化が避けられない状況だった。
そこで高市総理と周辺のスタッフがすがったのが2014年の安倍総理の成功事例である。AI時代とは便利なもので当時の状況はGEMINIが整理してくれた。
2014年の故事に倣い読売新聞に報道させ、それを毎日・朝日などが追っている。更に総務省が通達を出し「選挙準備を進めるように」と指示したことからスケジュールが確定しつつある。総理大臣(官邸)は取材を拒否しているという。
しかし当時とは全く状況が違っている。
- 当時は景気の谷間にあった。
- さらに三党合意を実現するための消費税を2回に分けて上げる必要があった。
- 円安の痛みがまだ意識されていなかった。結果的のこのときに円安の痛みは家計ではなく企業が吸収している。
財務省は三党合意を守るためには消費税増税が必要だと主張していた。そこでまず2014年4月に消費税を上げる。ところが当時は景気の谷間にあったため消費税増税によりGDPが極端に落ち込んでしまう。そこで安倍総理は麻生財務大臣に悪者になってもらい「今自民党に入れると消費税増税という嫌なことはなくなりますよ」という選挙を行ったのだ。
ところが現在はそのような状況にない。
- そもそも景気は上がっている(が、賃金上昇は追いついていない)しそのトレンドは高市総理が勝っても継続する公算が高い。
- 「消費税増税」という避けるべき嫌なことがないため「未来」の希望を語る必要がある。つまりリスク回避型の日本人には響かない。
- 円安の痛みを企業ではなく家計が感じ始めている。
- さらに選挙が終わった時点では統一教会問題の資料が出揃っている・出始めている可能性が高い。
つまり「実は勝ったほうが大変」という状況が生まれつつあることになる。しかし高市政権には戦略家がおらず、高市総理にも戦略的なセンスがない。
戦略を成功させるためには、ゴールを定めて(ビジョン策定)、現状を分析し、何を変え・何を残すのかを決めたうえ(リソース管理)で、組織内外の意識を合わせ(アラインメント)て、迅速に行動するアジリティを持つ必要がある。
しかし高市総理のゴールは「強くて夢がある」と曖昧だ。また2014年と2026年の違いも意識されておらず、結果だけが意識されている。
しかしクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」が示す通りこれは大企業特有の病理と言える。変化を拒否し成果が出せなくなった企業や組織が過去の成功事例に頼るようになり結果的に変化に対応できなくなるという「名前のついていない症例」である。
高市政権は安倍総理の精算政権であるという仮説がより強く意識されることになる。
一方で今後国民が高市政権を選択するためのコストはもうわかっている。
実は2014年は年頭から年始にかけて20円も円安ドル高が進んだ。すでに円安が進行していたところ、解散報道で勢いが加速したのである。今回も解散報道が出ただけで円安が進行しており(日経新聞は急落と書いている)有識者や経済に詳しい人達はすでに警鐘を鳴らしている。ポイントになるのが彼らがもはや「円の未来」を信じていないという点にある。今回はすでに前回の事例があるため、国民はわかっていて円安による物価高を選択することになり言い逃れはできない。
日本は金満国家で政府には資産があるから国家破綻はしない。確かに安倍支持者・高市支持者の言い分は正しいかもしれない。金融市場もそれがわかっている。日本の市場は破綻しないがインフレは加速する。だからこそ今ものすごい勢いで商社の株が上がっているのである。

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