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司法省がトランプ氏の写真をエプスタインファイルから削除

6〜9分

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今回のお話からは2つのことがわかる。1つは一度火をつけた論争は容易に終結しないという点。もう1つは現在のアメリカが論争や対立を必要としているという事実だ。最終的には台湾有事にまで行き着くが、台湾有事については別のエントリーに分けた。

トランプ候補は民主党とエスタブリッシュメントを結びつけるためにエプスタイン事件を利用した。このときに自身もエプスタイン氏と関係があったことを強調せずそのリスクを度外視していた。結果的にMAGAはクリントン元大統領だけがエプスタイン氏と関係があったと信じ、その証明を求めるようになっていった。

しかしトランプ大統領が大統領に就任するとトーンが変わってしまう。なぜか、エプスタインファイルの公開に消極的になっていった。MAGAは「なぜトランプ大統領がエスタブリッシュメントの味方をするのか」と反発するようになる。マージョリー・テイラー・グリーン議員などが先頭に立った。

結果的に穏健派共和党も賛成してエプスタインファイルの公表が始まるのだが、あまりにも黒塗りが多く嘲笑の対象になっていた。しかしこの時点では被害者保護という説明にも一定の合理性があった。

しかしながらファイルが公開されたあとで、トランプ氏が映り込んでいた写真など一部ファイルが公開停止となったことで「やはりトランプ大統領は何かを隠しているのではないか?」ということになりつつある。

共和党は民主党が公開した遺産監理団体の写真を「チェリーピッキングだ」と批判しており、民主党は今回の公開停止を「情報隠蔽だ」と言っている。結果的に、一度火がついた論争が収まることはなさそうだ。

今回の一件で最も懸念されるのは行政への直接的な影響だ。

アメリカ合衆国は伝統的に「行政の暴走を機関的に押し返す」ことでバランスを取ってきた。ここで用いられるのが憲法秩序という「正義概念」だ。しかし、こうした正義概念は党派性に上書きされつつあり相対化している。つまり何が正しいのかがよくわからなくなりつつある。

さらに「政権がきちんと文書を管理できない」という事実は官僚たちを萎縮させる。自己保身のために証拠のログを残す傾向は日本でも見られた。森友問題の隠蔽で犠牲者(更迭される人や命を落とす人もいた)が生まれたことで、マスコミや野党へのリークが増えている。こうした匿名告発が状態化すると表立って責任を取る人がいなくなる。匿名で騒ぎを起こしたほうが簡単だからだ。アメリカでも今後「リーク」や内部告発が増えてゆくだろう。

結果的にアメリカ合衆国は「選択的内乱」に入った。もちろんこんな用語はないが、選択的内乱とはなにか。

中国は高市総理の不用意な発言をきっかけにした台湾有事発言を利用して情報戦を仕掛けている。経済的には交流があるため戦争はできない。だからこそ言論戦争を仕掛けているのである。つまり実質的には「日中戦争」が始まっているが、言論と武力が二重状態になっていると表現できるだろう。

アメリカ合衆国も経済活動は順調だが、言論ではすでに戦争状態にあり、1月末にはまた連邦政府閉鎖が起きかねない状況になっている。

問題はそれが本当に武力を伴わない「選択的内乱」で終わるかどうかである。実はそうではなさそうなのだ。

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