9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


AIバブルの調整が始まった 自分たちの崩壊を冷静に予測するChatGPT

9〜13分

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今回のテーマは「AIバブルの調整と複雑系」だ。FBR議長の交代を通じて「次の議長は必ずしもトランプ大統領の思い通りにならないかもしれない」という疑念が生じ始めている。このため「AIの期待を調整する」動きがあり株価がやや下がり始めている。ではこれはバブル崩壊なのか?というのが今回の議論のテーマ。おそらくこれは調整である。ではAIバブルは崩壊しないのか?という疑問が出てくる。

ChatGPTの議事録はこちら。

トランプ大統領は常々金利は1%程度がふさわしいと主張している。

第二のバーンズになりたくなかったパウエル議長はこのプレッシャーを跳ね除け続けたが、次の議長はトランプ大統領に従ってしまうかもしれないという懸念があった。

しかしながら、ブラックアウト明けのFRB高官たちの発言から「FBRはまだ機関的に抵抗するのだ」という意思が読み取られ、その前提で期待値(DCF=ディスカウントキャッシュフロー)の再計算が行われた。

更にAI事業の利益率の精査が行われ「フロンティアであるからマージンが高い」という見込みが修正された。資本集約・設備投資型なので初期にはマージンが圧迫されてしまうことがわかったのだ。つまりDCFだけでなくビジネスモデルそのものの再検証も進んだことになる。

ではなぜChatGPTはこれを見直しと考え、バブルの崩壊とはみなしていないのか。それはVIX(恐怖指数)が比較的低かったからだそうだ。このため「AI銘柄はもう終わった!」と慌てる必要はない。一方でなかなか上がってゆかない株は「企業構造的に評価されていない」可能性が高いため整理を考えても良いかもしれない。逆に企業構造が評価されている会社は一度下がってもすぐに下げ止まる可能性が高い。

ではAIバブルは本当に崩壊しないのか?

ここからが今回の議論の本当に面白いところである。

AxiosがOpenAI isn’t too big to fail. It’s bigger.という記事を書いている。

AIは構造上「正のフィードバック」が働きやすい。つまり複雑系の中に予期しないハブが生まれる。OpenAI社は先行者だったため予期せずこのハブの中心いる。そしてChatGPTもこれを正確に理解している。

では、ChatGPT自身がこの複雑系を解析し整理をすればいいではないか?という気になるが、実はそれはできない。なぜならばChatGPTもOpenAIも複雑系のなかのプレイヤーにすぎないためメッセージを出しても「系に飲み込まれてしまう」と数学的に予想できてしまうのだ。

内部のプレイヤーが管理できないなら外部からの適切な支援が必要になる。しかし、ChatGPTはトランプ政権のAI政策を理解しており「外からの支援は期待できない」事も知っている。トランプ政権のAI政策は保守と加速主義者の言い分をまぜんこんでおり内部に矛盾を抱えている。また投資先としてのAI企業にも期待している。

これは「構造的に詰んだ」状態だ。

結果的にChatGPTは事故(=AIバブルの崩壊)が起こる前提で動くしかないと言っている。これは自己(ChatGPT)に待ち受けているかもしれない危険な未来を予測しながら自分ではなんともできないという極めて不幸な状況だ。

ただしこれはAIテクノロジーとどう関わりを持つかで意味の折り込み方が変わってくる。

  • AIのインサイダー:できるだけ事故が起こらないように内部から修正を試みる
  • 投資家:普段から危険をモニターし、危険を察知したら逃げる
  • 覇権主義者:仮にアメリカ主導のAIが崩壊したら、その崩壊を教訓にして脆弱性が少ないモデルを作る

特に投資家目線に立つならばメディアの変化に注目すべきだろう。AxiosはもともとAIが仕事を奪う可能性があると考える左派系のメディアだ。だから「兆候」をいち早く掴む。しかしこれが現実的な脅威になった時点でREUTERSやBloombergの論調が変わるだろう。

しかしこの「複雑系の終わり」はAIの終わりではない。例えばインターネットは元々のネットワークのトポロジーの脆弱性を克服するために作られた軍事技術の転用だった。またリーマンショックの破綻は後の金融システムの強化につながっている。

つまり人間は自発的にできた複雑系を管理することはできなかったが、その崩壊を教訓にして「より強固なネットワーク」を作る能力を持っている。逆に怖いから関わるのはやめておこう、失敗したからもう近づかないでおこうではそこで進歩が止まってしまうということになる。

人間は「常に自己観察を経て成長できる」動物だが、「思いついたことを試さずにいられない成長衝動を持っている」とも考えられる。結果的に我々はSNSのなかった世界にもAIのなかった世界にも戻れない。なんとかしてこれと付き合ってゆくしかないのではないか。


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