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高市総理を支えるナルシシズム政治のメカニズム

11〜17分

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時事通信の新しい世論調査の結果が出た。自民党の支持率は低いままだが高市政権は高い支持を獲得している。なぜ高市政権が高い支持率を獲得しているのか不思議の思う人もいるかも知れない。そこで高市総理はナルシシストに支えられているという仮説を立てることにした。仮説を組み立てたらChatGPTにかけて検証する。正しいとは限らないが「論理的には破綻していない」ことが確認できる。

世論調査によると日本国民は物価高に苦しんでおり経済対策を切望していることになっている。しかしながら高市総理は物価高対策には消極的だ。特に目立つのが閣僚の放置と経済に対する他人事感だ。

まずアベノミクスについての発言が後退した。最初は「政治が責任を持つ」と言っていたがいつの間にか観客席に移動し「日銀がうまくやってくれることを期待」し始めた。

さらに鈴木農林水産大臣を「おこめ券が好きな農林水産大臣」と表現。あたかも鈴木大臣が勝手に政策を推し進めているかのような振る舞いである。話をよく聞くと「予算は組んであげたからあとは自治体が勝手におこめ券でもなんでも配ればいいじゃないか」というような事を言っているようにも聞こえる。

さらに黄川田(きかわだ)大臣が政策の中身を全く理解していないことが明らかになった。黄川田大臣は答弁の中で、

  • 制度の趣旨から対策には期限を付けること
  • 配るのは現金でもいいこと

と言っている。

これを合成すると「換金期限がある現金を配れ」と言っていることになる。これには追求した立憲民主党の奥野総一郎氏も失笑するしかなかった。

無能な大臣が出ると総理大臣の任命責任の問題が出てくる。当然野党は追求しているが高市総理の高い支持に影響は出ていない。合理的に破綻なく説明しようとすると、高市総理は面倒な問題から逃げているからこそ「汚れずに」すみ、高い支持率を維持できていると結論づけるしかない。

こうしたメカニズムは実はアメリカ合衆国にも見られる。

トランプ大統領はメガチャーチのような空間に聴衆を集めて「美しいアメリカ」について語る。そして厄介な問題ごとはすべて「移民」か「意識高い系民主党」の問題だとされている。

眼の前にある問題が解決できない時、人は「理想の自分」を内側に作り引きこもることで心理的防衛を図ることがある。これをナルシシズムと呼んでいる。高市総理とトランプ大統領の高い支持率はともに、こうしたナルシシズムが社会のレベルに広がっていることを示唆している。

もちろんナルシシズムは「理想の状態に近づきたい」とか「文学美術作品の中に理想的な世界を作りたい」という高次の成長欲求に昇華することがある。つまり、それは必ずしも悪い現象ではない。

そこで今回のChatGPT検証はそもそもこの仮説に論理的破綻がないかを調べ、それが社会にどのような影響を与えるかを検証することにした。

トランプ大統領のナルシシズム世界は偉大だったアメリカを観客の内側に構築し「取り戻す」ための戦いになっているのだが、アメリカ国内にいる移民の攻撃などにつながっている。またベネズエラのタンカーを拿捕する動きも起きており「外に対する攻撃」にまで発展しつつあるようだ。しかしアメリカには「分派」や「機関的」抵抗があり、暴発が抑えられている。そもそもアメリカ合衆国は「権力の暴発を想定した」制度づくりが行われているというのがChatGPTの分析である。

一方で日本型ナルシシズムは2つのパスを取る。

  • 一部の高市支持者は「勇ましい日本」や「外国人のいない純化された日本」を求めるが、強い同調圧力や軋轢を好まない文化的特性のため社会的に広がることはない。
  • 一方で「変わらない理由」を探している人たちは、政治を好ましいもの(高市総理)と好ましくないもの(自民党)に分解したうえで、現状維持を正当化するために利用する。

このため日本は攻撃的ナルシシズムに陥る可能性は低く停滞型ナルシシズムに陥る傾向が強いという。

さて、高市政権の二重性については「茂木(もてぎ)派悪玉論」で語られることが増えそうだ。もちろん主導しているのはもはや国家機関の一部と言っても良いジャーナリストの田崎史郎氏だ。

田崎氏は鈴木憲和(すずきのりかず)大臣は「茂木派から押し付けられた」存在であり高市総理の関与は限定的であるとしている。田崎史郎氏にそのような意図はないのかもしれないが、国民が「純粋な高市さん」を信じたがっている現状では「悪いのは茂木さんであって高市総理ではない」と受け止められることになる。

田崎氏は「人事権は高市さんにありますから、選んだ責任でやってるということです。選ばれる経過は鈴木憲和大臣は茂木派なんですよ。今回の人事ではっきりしてるのは主流派優遇人事。茂木派の人を積極的に起用しているんで。鈴木さんとか法務大臣の平口さん、ちょっと答弁に問題あるんじゃないかと言われ始めているんですけども。そういう方々は人事で派閥に負けた結果だろうと思います」とあくまで派閥人事によるものと解説した。

田崎史郎氏 高市首相「農水大臣が好きなおこめ券」発言で見解「ジョーク」も…鈴木農相起用は「人事で派閥に負けた結果」(デイリー)

しかしながら黄川田大臣はもともと谷垣派から菅グループに所属。一時は菅義偉氏の最も近くにいる側近と言われており「茂木派から押し付けられた大臣たちが全ての元凶」とは言い切れないところがある。

ここで重要なのが麻生元総理大臣の発言だ。

 自民党の麻生太郎副総裁は11日、東京都内の会合で、発足から約1年で終わった石破政権について「どよーんとした感じで、何にも動かないという感じがあった」と当てこすった。麻生氏は自身が首相在任中に石破氏から退陣を迫られた経緯があり、距離がある。

石破政権はどよーん、何も動かず 自民麻生氏が当てこすり(共同通信)

石破総理は正面から物価高対策に取り組んだからこそ「問題と同一視」された可能性がある。高市総理は何もしないからこそこの「どよーんとした日本」からは無傷でいられる。

考えてみれば麻生総理大臣は閣僚の問題発言と自身の漢字読み間違い発言が「同一視」されたことで政権を失っている。つまり問題から逃げたほうが「高市総理の支持率を維持するためには得策」ということになるのだろうが、これは責任を取らないフリーライダーが得をする社会の存続を意味する。

つまり、問題を解決しようとした人たちが潰され続ける社会を有権者が好んで選んでいる事になってしまうのだが、本当にこれでいいのかを我々は今一度考え直すべきだろう。

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