9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


米ドルに全資産を移動させるのが得策ではない理由

5〜8分

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REUTERSが「コラム:円安が抱える時限爆弾、突然のキャリートレード逆流リスク」という興味深いコラムを見つけた。円キャリートレードが逆流するということは円高基調に戻るということであり日本にとってはいいことである。その何が時限爆弾なのかと不思議に思った。

問題はその速度のようだ。

最近「商社株と長期金利の上昇」に興味がある。どうやら金融市場は今後長期的なインフレが起きると考えているようだ。国民は現在の物価高を一時的な減少と捉え「政府がなにかしてくれること」と期待しているが、おそらくその期待は裏切られるだろう。

就任前の高市総理は「最後は政府が責任を取る」と言っていたが、円安による物価高と金利上昇の二者択一を迫られると何も情報発信しなくなった。片山財務大臣らは「日銀にすべておまかせします」との発言に終始している。

これについて色々調べてゆくと面白いことがわかる。日本の経済は弱体化している、少子高齢化でお先真っ暗だという議論があるが、これは国内経済を他の世界から切り離した過度に悲観的な見方のようである。

このコラムは

  • 日本の1人当たりGDPはスペインやポルトガル、チェコ、スロバキアよりも低い世界38位に後退しているが
  • 生活水準がチェコと同程度とは信じがたい

と言っている。

つまりファンダメンタルズという意味は日本と日本円は過小評価されていると言っている。ドル円の水準を125円で計算すると日本の生活水準はトップクラスに跳ね上がるそうだ。これは片山さつき財務大臣の「適正水準は120-130円の間」発言と整合している。

個人的にも「日本の国内政治と報道だけを見た悲観的すぎる議論」にいささか引っ張られ過ぎだったのだと気付かされる。

現在過小評価されている日本が「正当に」評価されるのであればそれは良いことのような気がする。ではなぜこれが時限爆弾なのか。そのヒントは記事の最後に出てくる。

1998年10月7日、ドル/円が1日で134円から120円に振れた局面を今なお記憶している人もいるだろう。ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)危機とロシア政府のデフォルト(債務不履行)が直接のきっかけだったとはいえ、巨大な円キャリートレードのポジションは燃え上がる寸前の薪の状態だった。

コラム:円安が抱える時限爆弾、突然のキャリートレード逆流リスク(REUTERS)

つまりある日突然何らかのきっかけで巨大な円キャリートレードの巻き戻しが起きる=燃え上がる可能性があるというのだ。政治が責任を取りますといいながらいざというときに「逃げてしまう」片山さつき大臣の姿勢は「リスク回避」という意味では評価できる一方で不安も感じざるを得ない。

そもそも「巻き戻し」が起きるかどうかはわからず、それが爆発現象を起こすかどうかもよくわからない。

しかしながら「今後も円はドルに対して価値を下げ続けるであろう」という予想をもとに資産をすべて米ドルに移すという行動は必ずしも正当化されないということになる。特にドル円が130円を超えてから投資を始めた人は注意が必要だろう。

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