過去にも日系移民の財産を没収し収容所に閉じ込めた前科がある国で新しい間違いが繰り返されようとしている。トランプ政権が第三世界からの移民を恒久的に排除すると宣言した。数々の失政を糊塗するために問題を「第三世界」問題にすりかえている。
しかしながら問題を広く捉えるならばアメリカ合衆国は「安価な労働力に頼って資本主義を拡張してきたこれまでのツケを払わされている」とも言えるかもしれない。資本主義には欠陥があり定期的に「ゴミ」を排除しなければ健全な状況が保てない。
問題の発端はバイデン大統領がアフガニスタンから受け入れたアメリカ協力者の犯罪だった。ウェストバージニアの州兵が2名銃撃され1名がなくなっている。
トランプ大統領は民主党系都市の治安維持は不十分であって自分に権力があれば問題が解決すると主張。連邦直轄でどの州にも属さないワシントンDCの治安権限を掌握していた。そんなワシントンDCで重大テロ事件が起きたのだから何もしなければ批判はトランプ大統領に集中していただろう。
そこでまだ動機もわかっていない段階から、バイデン大統領が連れてきたアフガニスタン人が悪いと声高に主張、さらにその枠を「第三世界からの移民」に拡大した。
その人ではなくその人の属性に焦点を当てる手法は、トルコやロシアなど権威主義的傾向のある国でしばしば見られる。例えば、エルドアン大統領は「クルド人が悪い」と主張し、プーチン大統領も「チェチェン人が悪い」と宣伝して権力を拡大してきた。このように、特定の個人ではなく属性や集団をスケープゴートにする政治的手法は、専制的な環境で有効とされる場合がある。その意味で、トランプ大統領がワシントンDCでの銃撃事件について、容疑者個人ではなくアフガニスタン人全体に問題をすりかえ、さらに「第3世界からの移民をすべて停止する」と発言したことは、個人の行為を属性や国籍にすりかえ、政策レベルで排除を正当化する典型的な手法であると評価することができる。
つまり、アメリカ合衆国もロシアやトルコのように権威主義化していると結論づけたくなる。これをChatGPTにフィードしたところ、ChatGPTは「アメリカ合衆国が権威主義化している」という結論にかなりの抵抗を示した。ロシアやトルコは権威主義化し権力の一極集中が起きているが、アメリカは民主主義的リーダーが支持を得るために「スケープゴート化」が起きているだけだというのだ。
そもそもなぜこんな問題が起きているのか。バイデン政権下ではコロナ禍からの急激な回復に対応するために数多くの移民が集められた。これも「バイデン政権が意図的にやったのではないか」とChatGPTを問い詰めたのだが頑なに拒否された。
妥協の結果生まれたのがこの文章だ。
コロナ後の急回復とベビーブーマー退職で米経済は深刻な労働力不足に直面していた。結果的に移民流入は供給制約を和らげ、景気後退を防ぐ役割を果たしたが、政権はその必然性を十分に説明できなかった。そのため国境の混乱だけが強調され、反移民感情が増幅。これが政治的に利用され、最終的には政権交代を後押しする要因となった。
ChatGPTはバイデン政権は移民を大勢いれたあとに何らかの構造改革をするつもりあったのではないかと強硬に主張している。しかし「結果的に説明が不十分だったこと」が国民の動揺を招いたという結論になった。つまりバイデン政権が意図した結果ではなかったというわけだ。
トランプ大統領は「アメリカのシステムが回復するまでは第三世界からの移民は入れない」と言っているが、アメリカのシステムの問題はおそらく別のところにある。資本主義の性質上勝者と敗者が生まれることは避けられない。そして敗者がゲームに再度参加するまで彼らと彼らに付随する社会問題が解決することもない。
つまり資本主義はゴミが溜まる声質を持っている。
トランプ政権はこの資本主義の失敗を「第三世界からの移民のせい」にすることで解決しようとしている。ゴミは「格差の縮小」で処理することもできるが、トランプ政権は人種で選別したうえで国外に捨てようとしているのだ。
これを踏まえて議論を整理した結果ChatGPTはこのような文章を生成した。志保員主義が持つ問題はモデル化ができないのでAIに処理させることができない。結果的に「正確に計算できない問題」になる。
アメリカで民主主義が脅かされ、スケープゴート化が進んでいる背景には、経済格差や社会的不安、複雑な人口動態など「正確に計算できない問題」が存在している。こうした状況では、政策や政治的手法として、個人ではなく属性や集団を標的にする手法が短期的に有効に働く場合がある。しかし、中途半端に権威主義的手法を取り入れつつ民主主義の形式を残すことは最も不安定であり、長期的な予測は困難である。安定を維持するには二つの道がある:一つは民主主義に沿って根本原因を特定し解決すること、もう一つは権威主義的に人工的な安定をつくることだ。それぞれの場合において、原因特定やリスク開示という課題を避けることはできない。トランプ政権下の移民排除政策やスケープゴート化は、こうした構造的条件の中で短期的に有効である一方、持続可能性や社会的影響は複雑で計算できないという現実を示している。
端的に一言で言い表すならば今後もアメリカ合衆国の混乱は続くだろうと予想できる。問題の性質も明らかになっていないので今後どんな影響が出るかを合理的に計算できないからだ。
