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口うるさいMAGAから民主社会主義に鞍替え? トランプ大統領が仕切り直し

5〜8分

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本日はアイデンティティ政治について書いている。アメリカ合衆国にも大きな物語への回帰があるのだが、中国やロシアとは大きな違いが2つある。まず彼らの目は国内に向いている。さらにトランプ大統領はアイデンティティをさほど気にしていない。自分の政権が維持できるならMAGAでも民主社会主義でもどちらでもいいと考えている可能性がある。

トランプ大統領がマムダニ・ニューヨーク市長をホワイトハウスに迎え入れた。記者たちは意地悪く「今でもトランプのことをファシストだと思うか?」などと聞いていたがトランプ大統領はそんなこと答えなくてもいいですよなどと庇っていた。

これについて「トランプ大統領は自分が敵認定されておりそれがマムダニ氏の評価を上げていると気がついた」と分析している人がいた。だったら好きにやらせてみて失敗させればいいというわけだ。Axiosの分析はもう少し直截だった。マムダニ氏の人気を見て「若者の気持ちを掴むなら民主社会主義だ!」と考えたのではないかという。

一方で口うるさいMAGAにはうんざりしているようだ。マージョリー・テイラー・グリーン議員が1月で下院議員を辞任する。トランプ大統領の支援なしでは勝てそうにないが「反エスタブリッシュメント」が旗頭になっているため、エプスタインファイル問題でトランプ大統領と行動をともにすることができなかった。

議員は上院議員への野望を持っているとしているが次の上院議員選挙には出ないようだ。ABCとBBCが議員の主張を紹介している。

まず、14歳でレイプした女性の味方をしてMAGAから反発されるならそれはそれで結構だと言っている。さらに本来のMAGA(反グローバリズムとアメリカ第一主義への回帰)の精神は失われつつあるのだから、次の選挙で共和党は負けるだろうと言っている。つまり共和党が負けることを予想したうえで「次」を見据えて一旦撤退するということになる。

「私には自尊心と尊厳が十分すぎるほどあり、家族を愛しすぎている。私たち全員が大統領のために闘ったけれど、その大統領によって、私の大事な選挙区が、私に敵対する有害で憎悪にまみれた予備選挙を耐え忍ぶことになることを、私は望んでいない。それでも私は戦って勝つだろうし、共和党はおそらく中間選挙で負けるだろうけれども」と、グリーン議員は述べた。

トランプ氏と対立した米保守派グリーン氏、来年1月に下院議員を辞職へ(BBC)

アメリカ合衆国の政治は明らかにアイデンティティ政治に陥っているのだが、トランプ大統領は単にこれを利用しているだけで「別にどっちでもいい」と考えている可能性が高い。だからMAGAから民主社会主義への乗り換えも可能ということになる。ただし自分を支えてくれるならば……

トランプ大統領の政策は様々なところで行き詰まりを見せているが、現在「大胆な閣僚人事の変更が行われるのではないか」と話題になっている。トランプ大統領はより確かなアイデンティティを求める人達に「希望」を与えつつ政治的延命を図ろうとしている。彼を支えるのに役に立つならそれがMAGAだろうが民主社会主義社だろうが構わないということだ。