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10枚で紙詰まりするFAXに依存する高市総理に賃金アップなんか実現できるのか?

7〜10分

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高市早苗総理が午前3時にチームメンバーを集めて答弁準備をしているとして話題になっている。主にワークライフバランスについて話題になっているようだ。しかし関連記事を読んでいて気になったことがある。高市事務所は10枚で紙詰まりするFAXに依存しているらしいのだが、誰もこれを咎めない。

今どきFAXなのか?と思った。この効率の悪さがおそらく日本の成長を妨げているのだろうがメディアは問題視しないかもしれない。おそらく彼らもFAXを使っているのではないか。

しかしこうしたムダに依存し続けることで労働者は生産性のない活動に縛り付けられる。結果的に労働者の賃金が向上することはない。

高市総理はおそらく最初の答弁で躓くわけには行かないと考えているのだろう。午前3時にスタッフたちを公邸に集めて答弁準備を始めた。この準備に関しては「安全運転だ」と評価する声、高市さんの張り切りぶりを懸念する声、ワークライフバランスの観点から批判する声がある。

高市氏は事務所にあるFAXは10枚で紙詰まりするので公邸に移動せざるを得なかったと主張。引っ越したいがアクセサリやお洋服などを整理するのが大変だと言ってる。女性特有の問題を持ち出されると「迂闊に批判できないなあ」という気になる。

ここでFAXが気になった。10枚で詰まるということはおそらく家庭用のFAXか古いFAXを使っているのだろうが、そもそもなぜFAXなのか、電子化しないのかという問題が出てくる。FAXに違和感を持つのは個人的にアメリカやヨーロッパではFAXは前世紀の遺物と見られており日本のFAX事情を見て驚く人が多いということを知っているからだ。

FAXで答弁書を伝送するとこれをコピーしてみんなに配る必要が出てくる。当然事務作業は煩雑になり働くスタッフのワークライフバランスが犠牲になる。今回は総理大臣の大名行列で公邸側のスタッフのワークライフバランスも犠牲になった。

高市総理の働いて・働いて・働いて・働いて・働いて発言はすでに経団連から距離を置かれている。日本の構造的な人手不足に対応するために経団連は労働時間規制の見直しを求めてきた。しかし搾取批判を恐れて「労働者が自発的に働きたい改革だ」と言っている。高市総理のワークライフバランス見直し宣言はこうした注意深い経団連の努力を損なうものになりかねない。

しかし今回のFAX問題はそれ以前の問題である。大量の文書を送る代替選択肢はいくらでもある。今ではチームウェアがかなり充実しているので1つの文書を集団で手直しして共有する技術もある。高市事務所はこうしたチームウェアの存在を知らず未だにFAXに依存している。

ただし実際に高市事務所のスタッフになったつもりで考えると別の事情も見えてくる。チームウェアを導入しましょうと提案しても「セキュリティが心配だ」などと言われかねない。パソコンやタブレットに不慣れな古参のスタッフたちにとって「なんかあったときにお前は責任が取れるのか?」はとても強力な魔法の言葉である。

高市総理はこれを「根性」で乗り切ろうとしている。こうしたマインドセットは日本社会にやらなくても良い仕事を増やし労働者を生産性の低い業務に縛り付ける。結果的に労働者の頑張りが生産性向上にたどり着くことはない。

前回情報の知識化についてAIを使ったまとめを作った。ClaudeはAI利用の要点を「下位層(記憶・理解)は検索・AIに任せ、上位層(分析・合成・評価)に人間の認知資源を集中させる」とまとめている。煩雑な作業を機械化してもっと生産性が高い(つまり賃金上昇に結びつく)作業に資源を集中させるべきだ。現在株式市場でAIブームが起きているのはこのためである。

その意味では未だに認知作業どころか事務作業の下流工程に縛り付けられている高市総理に賃金アップに結びつく政策づくりは無理だろう。

たかがFAXじゃないかと思う人もいるかも知れないがその気になればこれくらいの批判は展開できるのである。