杉尾秀哉参議院議員が迷惑メールを受けたとして警察に相談を持ちかけた。これをきっかけにして「勝手に犬笛を聞く人」の存在が明らかになった。背景にいるのは政治・経済問題がわからない人と、わかるつもりがない人々だ。
まずは事件のあらましから。杉尾秀哉議員が警察に迷惑メールの相談をした。迷惑メールの本数は1530通。どうやら手動で送りつけている可能性が高いらしい。
ところがこの迷惑メールとは別に橋下徹事務所から別のメールが送られてきた。橋下徹事務所によれば勝手にメールアドレスを使われたのだという。弁護士を立てて状況報告に伺いますとお詫びをしており杉尾さん側も釈明を受け入れた。
ところがここで事件が展開する。どうやら「維新が杉尾さんをいじめている」と考える人が維新に対して「杉尾さんをいじめるな」とのメッセージを送りつけ始めたようだ。橋下徹氏側は「法的な対応も検討せざるを得ない」としていて、杉尾氏側も自制を求めざるを得ない状況に陥ったがどうも舌足らずな印象。「維新に抗議メッセージが増えている」点に触れておらず「自制を求めている」時がつかない人が多いかもしれない。
確かに高市早苗さんが総理大臣になって以降「高市さんをいじめるな」というメッセージを受けることは増えた。彼らと実際に対処してみるとわかるが、記事の内容を説明しても逆に怒り出してしまう傾向がある。一部、内容が理解できないため「関係がないことを延々と述べて言い訳をしている」と怒り出す人がいるのである。
以前岡田斗司夫氏の切り抜き動画で大学の学生のエピソードを聞いたことがある。大学の先生が学生にアンケートを取ったところ「知識マウンティングが不快だ」と言われたのだという。そもそも知らないことを勉強するためにわざわざお金を払って大学にゆくのだというのは昭和・平成の常識であって、令和には「知識マウンティング」という考え方があるようだ。
新しいことを学ぶ意欲がない人々が読む新聞は黒塗りになっていて「力強い日本」など断片的なメッセージだけがその間に浮かび上がって見えるのだろう。こうした人々は菅、岸田、石破政権下では再び自民党のメッセージが読めなくなり国民民主党や参政党に移動した。そして高市総理の時代になって一部が読めるようになり高い支持率の原動力の一つになっている。
杉尾秀哉事務所の主張によれば彼らのなかには手作業で1530通ものメールを送り続けている人たちもいるということになる。
しかしそれとは別に新聞を見出ししか読んでいない人々の存在も浮かび上がる。
急進的な立憲民主党の支持者の中には橋下徹さんの名前を見て「維新が杉尾さんをいじめている」と考える人達が出てきた。つまり、政治・経済の記事が理解できない人と、そもそも理解するつもりがない人が混じっているということになるだろう。
維新の藤田文武共同代表は赤旗記者のメールアドレスを晒した。藤田氏にどのようなつもりがあったのかはわからないが、少なくとも社会的な批判を報道機関である赤旗に向けようとしたのは間違いがない。赤旗と既存メディアの違いは政治機関か報道機関かにあるわけではなく、共産主義的なメディアか資本主義的なメディアかの違いにすぎないが、藤田文武氏がこれを理解することはないだろう。
いずれにせよ彼らの周りには「犬笛を進んで聞きたがる」人々が大勢いることは間違いがない。結果的に「法的手段を検討せざるを得ない」というような物騒な発言が飛び交っている。
知識マウンティングを感じるフリージャーナリストも多いので特定政党の支持者ばかりを責めるのは考えものだが、特に立憲民主党の一部支持者は「応援」が却って立憲民主党の社会的立場を損なうということくらいは十分に理解すべきだろう。
