連邦政府閉鎖が最長記録タイになった。どうやら、落とし所が見えていないようで誰にも止められない状況になっている。政治は何らかの問題を解決する装置であって選挙はそのための手段であるべきだが、アメリカ合衆国ではこれが逆転しており選挙こそが政治の目的になっている。
ニュージャージー州では北部の投票所が一時閉鎖になったそうだ。ABCニュースはわざわざ「信憑性がない予告」と書いている。共和党は接戦州で勝利するために「選挙に行って民主党から州を救おう」という実験的キャンペーンをやっている。つまり、結果次第では選挙妨害があったから知事選は無効だと言い出しかねない。バージニア州でも投票場所に車が突っ込んだ。当局は「不測の事態が起きたが選挙は順調に進んでいる」と強調している。
ニューヨーク市長選挙においてトランプ大統領は「共産主義者が勝てば連邦政府の支援を絞る」と主張している。アルゼンチンの中間選挙の介入はこの手法が成功した。一方でオバマ元大統領は「経験不足と言うならいつでも相談に乗る」と言っている。共和党の候補もいるようだが完全に無視されれている。
アメリカでは選挙が自己目的化しており、連比う議会も「妥協したほうが負けだ」というような空気がある。上院共和党は打開策を検討し始めたが「暫定予算(CR)の策定を目指す」と言っている。つまり予算闘争を長引かせるほかに有権者にアピールする手段がない。
格差が拡大してゆく中で政治家が成果を上げることが難しくなると相手を攻撃し続ける以外に有権者にアピールする手段がなくなってしまうのかもしれない。
アメリカ国民もさすがにこの状況にうんざりし始めているようだ。ABCニュースの世論調査では2/3の国民が今の政治状勢に疑問を感じているとされたがCNNの世論調査でも同様の結果が出た。
議員たちは「妥協したら負け」と考えているが、トランプ大統領はそもそも自分で作り出した闘争に対する出口を作れない。
裁判所は予備資金を使って食糧支援プログラムを継続するようにと命じた。トランプ政権は予備資金を使って半分の援助を継続すると約束しているが、方針を変え「連邦政府が再開されなければ食糧支援援助資金を払わない」と表明した。国民生活を人質に取って相手から妥協を引き出そうという取引を行っていることになる。恫喝で妥協を引き出す以外の戦略を持っていないのである。
アメリカ合衆国は11月末からクリスマスまでホリデーシーズンに入るが管制官が足りておらず空港閉鎖の可能性が指摘されている。連邦政府では誰が一時帰休で誰が解雇されたのかよくわからなくなっておりうんざりして自発的に辞めたという人も現れようだ。ただし連邦政府全体で何が起きているのかは実はよくわかっていない。
- Documents reveal chaos and confusion behind government shutdown layoffs(AXIOS)
- New FDA turmoil throws agency’s reliability into question(AXIOS)
なお、ニューヨーク市、ニュージャージー州、バージニア州の選挙結果は日本時間の午後には決まるものと考えられているという。
