9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


小林鷹之政調会長の呆れた経済認識

7〜10分

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください

高市早苗総理に対する代表質問を途中まで聞いた。野田佳彦代表は成長戦略を避け続けており「立憲民主党にはアイディアはないんだろうな」と感じる。このため自民党の政策に期待したのだが、小林鷹之氏の質問を聞いて「ああこれは見てもムダだ」と考えてテレビを消してしまった。

どうやら小林政調会長は資本主義がどんなものかよくわかっていないようで国家が国際ルールを作れば民間が従うと考えているようだ。どんな育ち方をしたらこんな考え方になるのだろうか。

この先も経済成長が必要なのかについては意見が別れる。例えば共産主義者の斎藤幸平氏のように脱成長を目指すというのも一つの選択肢だろう。しかし現在の社会保障体制を維持するためには経済成長が必要とされる。

高市早苗総理大臣の所信表明演説は「安倍総理の信者が喜びそうな」セットになっている。

  • 強い日本の復活
  • 国民負担が増えない税と社会保障の維持

しかしこれを実現するための「経済成長」がどうやって起きるかについて具体策を提示していなかった。

所信表明からかろうじて分かるのは

  • 気合があれば経済成長は起こせる
  • 絶対にあたる宝くじさえ選べればこの先も安泰だ

という点。居酒屋でこんな話を聞けば「ああこの人は苦労するだろうなあ」と思うだろう。

さらに絶対に中る宝くじを吟味するために来年の夏まで話し合いを続けると主張した。

高市政権が掲げるAI、半導体、量子などはデファクトスタンダードを獲得したチームがすべての投資成果を得るというギャンブル性が強い分野だ。全くギャンブルをするなとは言わないが、少なくとも即断即決で投資を決め効果がなければ即撤収という思い切りが必要だ。

さらに、デファクトスタンダードは市場が決めるのであって国家が関与できる余地は少ないが、この資本主義の基本が通商産業省の護送船団方式で企業を囲い込んできた日本ではあまり理解されていないのかもしれない。

日本の産業と社会福祉には1940年体制と呼ばれる国家主導社会主義的な発想が根付いており現在の資本主義に対する出遅れの一つの原因となっている。

しかし駄目だ駄目だと言ってばかりでは生産性がない。そこで一応自民党さんの言うことも聞いてみましょうか……と思っていた。そこで飛び出したのがこの一節。小林さんって確か政調会長だよなあと感じた。

総理は、「新技術立国」を目指すとされました。資源に乏しいわが国では、科学技術こそが成長の源泉です。技術を起点に強い経済を作る。技術力と経済力があれば、防衛力が強くなる。経済力と防衛力があれば、それを裏付けとして外交力が強くなる。そうすれば、国益に適う形で国際ルールを作ることが可能となり、経済力がさらに高まる。「経済、防衛、外交、経済」。この循環を軌道に乗せていくことこそ、今、政治がやらなければならないことだと考えます。

第219回臨時国会における小林鷹之衆議院議員代表質問(自由民主党)

日本が強くなれば(これは防衛力と結びついているので軍事力も強くなればという意味になる)外交交渉力がつき、国家間の取り決めでデファクトスタンダードが取れると言っている。

つまり小林鷹之氏は経済は国家が主導して計画的に制御可能だと主張していることになり、そのためには腕力も必要と考えている。これは資本主義ではなく社会主義的な手法だ。むしろ戦前型の帝国主義的な戦略の建て方でもある。どんな育ち方をしだれに吹き込まれたらそんな考えを持つようになるのかに興味がある。

立憲民主党には成長戦略はなく、高市総理の周りにいる人も21世紀の資本主義がどのように機能しているのかを理解していないらしい。この時点で「これ以上議論を聞いてもムダなんだろうなあ」と感じてしまった。

平たい言葉で言えば気持ちが折れ、これ以上の討論を聞く気がなくなってしまった。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで