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タンザニア大統領選挙の結果、大規模暴動が発生

9〜14分

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タンザニアで大統領選挙が行われ大規模暴動が発生している。このエントリーではタンザニアの暴動をご紹介しつつなぜこうなったのかについて考える。背景にあるのは中国式開発独裁の失敗である。中国共産党は民主主義に代わる新しい成功モデルを世界に広めようとしているがタンザニアに混乱を招いただけだった。

今回のエントリーを作るに当たってはBBCYahoo!ニュースの記事をもとにGEMINIで情報をまとめChatGPTに校正してもらった。

東アフリカにはケニアとタンザニアという2つの旧イギリス領の国がある。ケニアはイギリスが直接統治したため資本主義的な経済が発展した。一方で政治には腐敗体質が残った。一方、タンザニアは旧ドイツ領だったためイギリスは間接統治を採用。このため国内には部族政治が残った。なおタンザニアの一部であるザンジバルは本土とは違う経緯をたどりイギリスの保護領になっている。

タンザニアは初代ニエレレ大統領はウジャマー(共同体)思想を掲げ社会主義的に国家をまとめる。部族に「タンザニア人」意識を植え付けて開発独裁的な手法で国を治めた。資本主義はあまり発達せず資源とインフラ整備に頼る国が作られた。

結果的にケニアもタンザニアも汚職体質が残り、国家としては中進国規模だが一人あたりのGDPはあまり高くないという典型的なアフリカの中堅国になっている。

ケニアはサービス業と金融センターを持つ資本主義国となった。政治的には部族対立が残り2007年の選挙では激しい暴動が起きている。

タンザニアの開発独裁は次第に行き詰まりタンザニアは欧米の援助が必要になる。このためタンザニアは1992年に一党独裁から複数政党制に移行したが、チャマ・チャ・マピンドゥジ(CCM:革命党)の一党優位の状況が続いた。

ジョン・マグフリ大統領の時代になり強権化が進み野党の抑圧などが行われるようになる。マグフリ大統領が2021年3月に亡くなるとサミア・スルフ・ハッサン副大統領が大統領に昇格した。

サミア・スルフ・ハッサン副大統領は「マグフリ路線を修正しようとした」という評価と野党の活動を妨げて一党優位体制を維持しようとしたという2つの評価がある。GEMINIは「修正を試みた」というがChatGPTはそのような断定には根拠がないという。GEMINIは幅広くネットを学習しておりChatGPTはそれより狭い範囲の学習しかしていないという違いがある。

また中国の関与についても評価が別れた。Geminiは中国の影響を断定的に書いているがChatGPTはこれについても「断定できる根拠がない」とする。Yahooニュースは次のように書いている。

強権化するタンザニアには2022年、中国共産党の資金協力により「リーダーシップ・スクール」が開設された。ここではアフリカ各国の与党・政府関係者が共産党式の統治を教授されているといわれる。

大統領選挙をめぐる衝突で700人死亡 “安定した国”だったタンザニアはなぜ急速に治安が悪化したか(Yahooニュース・六辻彰二

もともとタンザニアは社会主義的に国家を運営しており中国との関係も良好だった。中国は選挙を行わない代わりに内部粛清などを通じて政治汚職を防いでいるがおそらくタンザニアにはこうした仕組みは導入されなかったのだろう。

いずれにせよ西洋と足並みを揃えるために自分を「民主主義で選ばれた大統領である」と見せる必要があったサミア・スルフ・ハッサン大統領は選挙を実施した。しかし、同時に野党候補を抑圧もしている。ある政治家は顔を焼かれて殺されたそうだ。結局はいかにしてCCM(革命党)の優位性を温存するかがゲームのゴールだったのだろう。

マグフリが2021年に病死した後、副大統領から昇格したサミアは野党の活動を解禁したものの、大統領選挙が迫るにつれ露骨な弾圧が増え、昨年段階で500人以上の野党関係者が逮捕されていた。

大統領選挙をめぐる衝突で700人死亡 “安定した国”だったタンザニアはなぜ急速に治安が悪化したか(Yahooニュース・六辻彰二

今回の抗議運動と暴動の主役はGen-Zと呼ばれる若者の支持を集めている野党だ。暴動はおそらくSNSを中心に広がっているものと想像できるが、暴動が広がったときにはすでにインターネットが遮断されておりどの程度の死者数が出ているのかなどは明らかになっていない。野党側は700名が殺されたと主張している。

タンザニアでなぜ若者が不満を持っているのかもよくわからない。GEMMINIは開発独裁から市場経済を取り入れたことで経済成長が始まったがその恩恵が地方や若者に行き渡らなかったと言っているがChatGPTは確認が取れなかったとしている。

市場経済化の進展: 構造調整プログラムにより、民営化や自由貿易が進み、経済は成長を始めました。しかし、この成長は一部の都市部やエリート層に偏重し、地方や農村部との経済格差を劇的に拡大させました。

GEMINI

低成長だった国が成長を始めるとこれまで凍結されてきた格差の弊害が表面化し統治の安定性を損なうことがある。今後日本でもおそらく同様の問題が起きるだろう。日本の国土軸開発も「開発独裁の成功例」と言われることがある。国際的な経済のポジションこそ違っているが、タンザニアと日本には意外と共通点があると感じる。

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