オランダで総選挙が行われ、極右自由党が退潮し中道右派が勢力を取り戻したとされている。しかし、少数政党化が進むオランダで躍進したのは伝統的な保守ではなく改革中道派だった。連立には数カ月かかるものと見られているが予算制度が柔軟なため共和制の国のような政府の閉鎖が起こりにくい仕組みになっている。
オランダは人口1800万人で国土面積は九州程度。全国が実質的に1つの選挙区を構成している比例代表制の国だ。このため少数政党が作られやすい。移民の急激な流入によりEU懐疑派で外国人排斥傾向がある(このため極右に分類される)ウィルダー氏が率いる自由党が躍進していた。
しかしながら、ウィルダー氏と協力したがる政党はなく結果的に自由党なしの連立政権が作られる。結果的に政策を実現できない自由党は今回の選挙で退潮した。
とはいえかつてルッテ首相が率いていたVVD(自由民主国民党)が大幅に躍進したわけではない。前回の議席から2議席を減らしたがこれでも負けを食い止めたと理解されており「善戦した」との評価だそうだ。
オランダの穏健自由主義政党は伝統保守と改革保守に別れており、改革保守はD66(民主66: Democraten 66)という別の政党を組織している。
結果的に今回躍進したのは改革を訴えたD66であった。ロブ・イェッテン党首(38)は史上最年少の首相になる可能性があるが、連立交渉には数カ月単位の時間がかかるものと見られている。D66は選挙キャンペーンの短い時間の間で有権者の心を掴んだようだ。
オランダは立憲君主制の国で首相がいない間も前の政権がこれまでの予算の枠組みを維持する暫定予算が認められている。このため連立交渉に長い時間がかかっても政府が閉鎖に追い込まれることはないという。
この記事を書くためにはREUTERSとBloombergの記事を利用しGEMINIで整理した。
