トランプ大統領の腕にぶら下がり最大限にはしゃいで見せた高市総理。日本がアメリカに依存している実態を効果的に可視化してみせた。しかし国内では高市総理に対する静かな抵抗が広がっている。
高市総理の献身ぶりには一種痛々しいものがあった。女性の権利拡大に熱心な人々はこれを苦々しく感じたようだ。男性の立場からへつらいぶりを揶揄するのは難しいが、蓮舫氏も「残念」と表現する。
そもそも日本はアメリカに最大限にへつらわなければ国を守れない。高市氏のはしゃぎぶりは単にこれを効果的に可視化してみせたにすぎないともいえるのだろう。もともと高市総理の言う力強い日本には「残念」な要素がある。
高市氏の献身ぶりとは裏腹に国内では反抗が広がっている。まず森山裕氏が税調インナーを辞退した。財政拡張的な高市政権には協力できないということだろう。菅義偉氏も公明党問題では高市総理に協力しなかったが今後は森山氏の協力も取り付けられないということだ。安倍派と保守強硬派を大切にするならどうぞご勝手にということなのかもしれない。
次に参議院の官房副長官が代表質問での陪席を拒否された。野党の反対によるものだがもともと安倍派の復権を快く思わなかった参院自民党も同調しているようである。これも背景にあるのは安倍派の復権だ。
参院は意向を無視されたと受け取り、参院議運委の石橋通宏野党筆頭理事(立憲民主党)は「極めて強い問題意識を持っており、受け入れられない」と強く反発した。事態を複雑にしているのが、参院自民執行部も野党に歩調を合わせているように見えることだ。
高市政権に「参院の壁」…参院議員の官房副長官が「出禁」、代表質問は衆院側が異例の陪席(産経新聞)
税調インナーは経産省系の人々が躍進しつつあることを示しており「企業ペース」で改革が進みそうに見えるがこれも少し怪しい。
高市総理は経済界からの意向を受けて労働時間規制改革を推進したい。このときに根拠として「働きたい改革」という用語を使っている。ところが共同通信は「独自記事」として働きたい改革を春闘では撤回するのではないかと書いている。共同通信の独自記事なのでトーンが修正される可能性はあるのだろうが「働きたい改革」が「強制」のように見られることを経団連が恐れていることがわかる。
高市総理としては良かれと思っての情報発信だったのだろうが、経団連は「高市総理と共犯と見られたくない」という意識があるのではないか。
長時間労働の是正の流れに逆行するかのような発言で高市早苗首相が批判されたのを受け「働き方改革の再構築」に文言を変更。企業側の“働かせたい改革”とやゆする声が既に上がっていたことにも配慮した。
【独自】経団連、「働きたい改革」を撤回 来春闘、首相発言への批判に配慮(共同通信)
更に中国新聞には驚くべき記事が出ている。石破総理がコメ政策の転換を「不愉快な話」と切り捨てておりこれが堂々とYahooニュースに乗っている。
不愉快な話だ。コメは安いほどいいとは言わないが、消費者が常に求められる値段であるべきだ。(米価高騰で)コメが足りないのは証明されたようなもの。値段が下がるのはいかんので増産はやめと言われると、それは違う。
石破前首相、自民のさらなる保守路線「違和感」/コメ増産方針を転換「不愉快な話」/核禁条約会議「オブザーバーでも参加すべきだった」 インタビューで語る(中国新聞デジタル・ヤフーニュース掲載)
野党が高市総理に反対するのはまあ当たり前としても「身内」から異論・反論・静かな離反が広がっているのはかなり珍しいケースなのではないか。新聞の支持率は好調で「今選挙をやれば勝てるのではないか」という声さえ聞かれることを考えるとかなりの異常事態だ。
