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9月のCPIが遅れて発表されアメリカの株価に勢い 

7〜10分

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連邦政府の閉鎖が一ヶ月近く続いている。9月の消費者物価指数は遅れて発表された。10月の統計がいつ出るかは決まっていないそうだ。物価は上がっているが市場予測より低い内容で「利下げ期待」が高まっている。これを受けて株価がまた上がった。

Bloombergは「米CPI、9月は予想下回る伸び-FRB追加利下げへの論拠強まる」と書いている。つまり経済が失速傾向のため利下げ期待が高まっていると読み取れる。しかし共同通信のグラフを見ると物価は再び上昇傾向。庶民生活はインフレに苦しめられているのではないかと思う。

MAGAには苛立ちを募らせる声が高まっており、マジョリー・テイラー・グリーン議員は「これではAmerica Lastだ」と共和党批判に転じている。トランプ大統領は物価高対策とアルゼンチンのミレイ政権支援を兼ねて「アルゼンチン産の牛肉を輸入する」と提案し国内の畜産農家に反発された。

つまり今回のCPIはアメリカ人の庶民生活が再び苦しい状況に置かれていることを示唆している。

しかし株価は極めて好調だ。金利が下がれば富裕層を中心に消費が拡大するという見込みがあるのだろう。「米国株式市場・序盤=ナスダック・S&P、取引時間中の最高値更新 予想下回るCPI好感」という記事をREUTERSに見つけた。

では貿易関係はどうだろうか。中国はアメリカの流儀に学び「会談に恫喝してディールを得る」手法を学びつつあるようだ。習近平国家主席とトランプ大統領の会談が決まった。

一方でカナダとの関税交渉はストップした。オンタリオ州がレーガン元大統領の発言を引用したCMを流し、これがトランプ大統領の逆鱗に触れたようだ。

トランプ以前のアメリカは自由貿易主義国だった。レーガン氏が関税を批判したとしてもさほど不思議ではない。しかしながらレーガン大統領の正当な後継者を自認するトランプ大統領はこれをカナダからの挑発だと受け止めたのだろう。

いずれにせよこうした関税交渉の行き詰まりはさほど株価には影響を与えていない。トランプ大統領の富裕層優先の政治を投資家は好ましく思っている。一方で庶民生活は苦しさを増しMAGAの中にも一部懐疑論が生まれているようだ。

蛇足的に中国について考えたい。中国は自立自強をスローガンに脱アメリカ合衆国化を推進している。しかし基本的には専制主義の「収奪国家」なので独自のイノベーションに対するインセンティブは持たないと考えるのが自然だろう。力強い自立のメッセージとは裏腹に具体策のない内容だったと時事通信は分析している。

おそらく中国はインセンティブエンジンをアメリカ合衆国に依存している。本体のアメリカ合衆国が「収奪国家化」していることを考えると、世界的に経済成長に結びつくフロンティアが作られにくくなり、各国の経済成長が阻害されることが予想される。中国はこれまでアメリカに追従し効率よく経済成長を果たしてきたが今後しばらくは困難な時期が続くだろう。

トランプ大統領はバイナンスの創業者を恩赦した。ABCニュースは自分の息子達の企業に対する支援の見返りと考えているようだ。司法の判断を大統領が覆したことになるが、恩赦の根拠は「おそらくバイデン政権が暗号資産をいじめておりそのターゲットになったのだろう」と言う見通しのもと「自分の周りのみんなが彼は悪くないと言っている」から恩赦したと説明している。

経済成長の基礎である自由で平等な市場は破壊されつつあり、今後アメリカ合衆国に創発を依存してきた国は(日本も含めて)困難に直面するだろうと予想することができる。

なお9月のCPIは社会保障を計算する基礎になっているため遅れて公開されたが10月のCPIが出るかどうかは未定だそうだ。

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