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トランプ大統領が司法省に2億3000万ドルの和解を要求

9〜14分

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連邦政府の閉鎖が続くアメリカ合衆国。トランプ政権は政府閉鎖が民主党により多くのダメージをもたらすと考えており対話を拒否している。一方で富裕層の寄付を集めホワイトハウスの東館を破壊し「トランプ様式」の豪華な宴会場を作ろうとしている。このようにアメリカ合衆国ではトランプ大統領による国家収奪が順調に進んでいる。その最新の事例として「自分で和解金を要求し自分で決済する」という暴挙に出た。その額は2億3000万ドルだそうだ。

トランプ大統領は民主的に選ばれている。特に共和党員は自分たちの選択が間違いだったとは思いたくない。トランプ政権に否定的な見解を持つ共和党支持者はまだ30%しかいないそうである。

国民が自ら収奪されることを望むというかなり倒錯した状況になっている。民主主義とは不思議な制度だ。

トランプ大統領は当初「宴会場の建設は今のホワイトハウスの建物と干渉しない形で行う」と表明していた。しかし実際には東館全体が破壊され取り返しが付かないダメージを負っている。

本来ホワイトハウスの改築にはプロセスが定められているそうだがトランプ大統領はそれを無視している。しかし大統領には強い免責特権があり、一度壊した建物が違法だったからといって再び壊しても元の建物は戻ってこない。さらに誰が寄付をしているかも明かされていないそうだ。利益相反があっても議会はそれをチェックできない。

このようにアメリカ合衆国では「やったもの勝ち」という新しい倫理観が生まれつつある。これが今後のアメリカ合衆国に対してどのような影響を与えるのかはよくわからない。

「国家はなぜ衰退するのか」によると、第一次トランプ政権では収奪国家化の動きがあったものの制度がそれを押し返したことになっていた。しかしながら脱白人国家化を押し留めたいと見られる最高裁判所がトランプ大統領の再選を望むようにして強力な免責特権を認めたことで制度的な強みはなくなりつつある。

また議会も政治的分断を背景に話し合いを拒否しておりとてもトランプ大統領の暴走を止める役割を果たせそうにない。成長の果実が行き渡らなかったことで不満を感じた人々はトランプ大統領の強いリーダーシップに期待しているが結果的に収奪される側に回ったことに気がついていないようだ。

トランプ大統領は人々の良識のボーダーラインを試すような行動を繰り返している。その最新の事例が2億3000万ドルの和解だ。連邦政府は自分たちに対して間違った捜査を下から謝罪すべきだと言っている。

フードスタンプのような福祉事業は切り捨てられる一方で納税者のお金を「自分で請求し自分で決済する」ことで懐に入れようとしている。トランプ大統領自身は「お金目当てではなく慈善団体なんかに寄付するかもしれない」と主張するがおそらく誰も監査はしないだろう。

Axiosは司法省の倫理的良心が試されているとしているが、新しいアメリカ合衆国のスタンダードでは憲法秩序や良心にそれほど大きな価値はない。

このようにアメリカ合衆国では既得権を持った富裕層がより優遇され、新しいイノベーションの種になりそうな人材が排斥され、さらい新しい産業として期待されていた環境系のプログラムも「民主党的」という理由で次々と廃止されている。これはアメリカ合衆国が次第に「制度的に収奪的な方向」に向かっていることを示唆する。

トランプ政権を批判することは簡単だが、これが「民主主義的選択」の結果であることも確かである。また制度に対する批判はSNSの中のノイズにかき消され、いまアメリカ合衆国で何が起きているのかに気がつけない人も大勢いるのではないか。

このように民主的なプロセスを経て誕生したトランプ政権ではヨーロッパの歴史や伝統を寄せ集めて金メッキを施した「トランプ様式」が流行しつつあり、またとにかくやりたいことやったもの勝ちというトランプ倫理学も流行の兆しである。これがアメリカ合衆国全体に広がらないことを願うばかりだ。

一方でトランプ政権は連邦政府の経営そのものを拒否しており政府閉鎖は22日目に入った。トランプ大統領は民主党が折れるまで対話はしないと宣言しておりまもなくアジア歴訪に入る。一方で盛んに喧伝されてきたプーチン大統領や習近平国家主席とのダイダンは実現しない見通し。

トランプ大統領は和平には興味がなく和平を実現した自分に興味がある。ヨーロッパはトランプ大統領の気持ちを引きつけるために「ロイヤルなおもてなし」を繰り返したが、彼の印象に残ったのは立派な宴会場の装飾だけだったようだ。その他は何も残らなかった。

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