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なぜか「中道」が好きな日本人 高市早苗氏も穏健保守・中道を自認

7〜10分

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玉川徹氏が高市政権は保守ではなく右翼であると主張している。これに対して玉川徹のほうが左寄りだろうという批判が殺到しているそうだ。どうやら日本人は自分が中道であり相手が偏っていると考える傾向があるらしい。

CNNは高市政権を「保守強硬派」と書いている。しかし、高市早苗氏自身は自分のことを「穏健保守」であり「中道」であると考えているようだ。今回の総裁選挙では高市早苗・小林鷹之氏が「右より」であり、林芳正氏と小泉進次郎氏が「リベラルより」と考えられていたが、茂木敏充氏を含む全ての候補者たちが自分は「保守中道である」との自己認識を示していた。

右寄りの人びとは、公明党を左寄りと考る。このため、公明党がいなくなれば自民党は純化されると考えている。ところが公明党は公明党で自分たちこそが「人間中心の中道政権である」と考えているそうだ。中道保守ではなく中道改革と言っているのが特徴。

ちなみに立憲民主党の野田代表も立憲民主党は中道路線だと言っている。

つまり、公明党と立憲民主党は自分たちこそが真ん中にいて自民党は右に傾いていると主張していることになる。

革命型民主主義の発祥国の一つであるフランスは自分たちの立ち位置を「右と左」に分けるのが特徴。ただし極右・極左は蔑称。

GEMINIに情報を整理させると、マクロン氏もルペン氏もNi droite, ni gauche(右でもなく左でもない)という言葉を使うことがあるのだという。

マクロン氏は「右と左のいいところどり」の改革を訴えるが、ルペン氏は「右も左も国民のほうを向いていない」として「自分こそが大衆の味方である」と訴える傾向が強いとのこと。このときにルペン氏は大衆的であるという意味で稀に「ポピュリスト」と言う言葉も使うそうだ。ポピュリズムは一般的には無責任という意味だがルペン氏は既得権ではなく大衆の味方だと言いたいのだろう。

フランスの事例はフランスの既存政党が国民から支持されなくなっていることを意味しているのだが、日本はどうもそうではない。

教科書では日本に政党政治をもたらしたとされる伊藤博文の立憲政友会は「自分たちは国家のことを考える公の存在である」と自認し「党」という名前をつかわなかった。このときに「党派の宿弊を革めむことを企つる」と謳ったとされている。党派は「偏ったものである」と考える傾向が強かったのだ。結果的に日本の政党政治は崩壊し「大政翼賛会」という「公的な」組織にまとまり第二次世界大戦に突入した。

今回の高市政権について分析している牧原出氏も次のように言っている。右に傾きすぎた自民党が解体し立憲民主党が左の共産党と手を切れば今度こそ「真ん中」の政党が現れるチャンスが生まれると結んでいる。

発端が高市氏なのか公明の連立離脱なのか。私は後者だと思う。これは野党にとってはチャンスでもある。立民が自民に取って代わるような中道政党に変貌すれば、政権交代が可能になるかもしれない。これまで立民は共産党に頼っていたが、公明が野党となり、右の参政党が自民と選挙区で競争し始めた以上、共産の組織票に頼って左の政策に縛られなくてもよくなった。国民民主、公明と連携する選択肢に現実味が出てきた点は、中道路線を探るうえで非常に大きいことだ。

インタビュー:高市新政権、「なんちゃって連立」で変わる政策決定プロセス=東大・牧原教授(REUTERS)

日本人は国家を混じり気のない水のように考え、右や左を「混じり物」と捉える傾向があるのかもしれない。しかし現実の政治言論の場では「自分たちこそが混じり気がない中立の存在である」と考える人達がお互いを偏っていると罵っている。

“なぜか「中道」が好きな日本人 高市早苗氏も穏健保守・中道を自認” への2件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    ネット上だと「普通の日本人」と自称するのをよく見ますね。
    「普通じゃない」と思われたくなかったり、「思想」を持っていると思われたくないと考えることがあるので、「中道」というのを好むのかなと思います。
    中道やバランスは大事だとは思いますが、それに固執しすぎるのも問題があるのかもしれません。「否定と肯定」というホロコースト否定論に関する映画があるのですが、両論併記をすることであたかもホロコースト否定論が対等な議論に値する説であると思わせてしまう危うさを持っていることを示唆しています。
    中道やバランスを保つは、あくまでよりよい社会を作るための方法であって、目的ではないのだと思いますが、つい中道やバランスを保つことを大事だと考えてしまうのは、この国に生まれて育ったが故の思想なんだなと私は思いました。

    1. 同調圧力が強いのでみんなと一緒で安心できるという人が多いのでしょうが、相手が自分と同じ意見を持たないと言ってイラつく人も多いですからね……