ガザ地区でイスラエルが空爆を再開したというニュースが入ってきた。この攻撃で33名がなくなったと読売新聞が書いている。
そもそも心のなかに平和がないトランプ大統領に世界平和を実現することなどできないと示す材料がまた増えた。今回懸念されるのはハマスのステートメントだ。ガザ地区にいるハマスと連絡が取れないと言っている。ハマスは責任が取れないとしている。要するに状況が悪化した。ただしハマスは停戦を再開し復興について協議するともしており状況は混沌としている。
トランプ大統領の生育歴を見ると興味深いことがわかる。父親の愛情が限定的なため愛情を勝ち取るためには常に優秀さを示す必要があった。また兄は父に逆らったことで人生がめちゃくちゃになっていることから「単に愛されない」だけではなく「生きていることができない」状態だったことがわかる。トランプ大統領は子供の頃から「条件のない平和」を経験したことがない可能性が高い。
自分の中にないものを人に与えることなどできない。
このため彼の考える平和はすべて比較級である。世の中を2つに分けて「あちらよよりこちらがマシだ」と理解する。このため世界平和どころかアメリカ合衆国が政治的内戦状態に突入している。
アメリカ合衆国では18日に「王様はいらない」デモが起きた。Axiosによると今回は全米で700万人が参加したそうだ。
参加者は民主主義の危機を訴えているそうだが、そもそも大統領自身が敵と味方の分断指向で、民主主義の基盤である統一された民意というものがない。トランプ大統領はデモ隊に向けて何かを投下するAI動画を公開したが引用は控えることにした。あまりにも汚らしくて見るに耐えない。
ジョンソン下院議長は一部の共和党議員が「王様はいらない」デモを反アメリカ的と表現したことに対して苦しい釈明に追われた。議会対立が激化すれば連邦政府の閉鎖は当分終えられないだろう。ホワイトハウスは民主党のダメージのほうが大きいと見積もっているようだが、共和党が傷を負わないという保証もない。
当然ガザ和平も単なるトランプ大統領が成果を誇示するだけのイベント成り下がった。トランプ大統領の機嫌を損ねたくないネタニヤフ首相はトランプ大統領の誘いを「祝日が近いから」という理由で断った。おそらくネタニヤフ首相に攻撃の手を緩めるつもりなどなかったのだろう。そして、ガザから遺体の収容が進んでいないことを口実に支援ゲートを閉めて再度空爆を実施した。33名がなくなったという報道がある。
トランプ大統領は名誉欲と敵味方思考に引き裂かれている。ハマスの武装解除が進まないならばイスラエルがガザを攻撃するだろうと主張する一方で自分がサインした和平合意にもこだわりを見せているようだ。
Bloombergによればバンス副大統領らが中東を視察する事になっているようだ。トランプ大統領は世界にコミットメントを誇示したのだから見捨てるわけにも行かない。一方でAl Jazeelaはバンス副大統領の訪問は延期になったとしている。
今回のニュースで最も気になったのはハマスの短いコメント。ハマスは引き続き停戦協議を進めるとしているが、一方で「現地の戦闘員と連絡が取れなくなった」と言っている。
ハマスは停戦に引き続きコミットしているとしながらも、ラファで活動する戦闘員とは連絡が取れず、従ってその行動に責任を負えないと述べた。
イスラエルがガザ空爆、支援物資の搬入停止-ハマスと非難の応酬(Bloomberg)
ガザ地区では取り残されたハマスのメンバーや氏族などが入り乱れて争っている。イスラエルの側も「人質の解放」という目的は果たされたのだからもはやガザ地区に対する攻撃の手を緩める必要はないと感じるだろう。
ネタニヤフ首相はハマスを武装解除するまで戦闘は終わらないとしている。来年には選挙を行う必要があるが再任に意欲と自信を見せているそうだ。
