バズフィードの小さな記事を見つけた。世界一の軍隊であるはずのアメリカの軍人さんたちがフードバンクに並んでいるのだそうだ。単なる共和党攻撃なのでは?と思ったのだが、調べてみると意外と大変なことになっているようだ。
記事のタイトルは「軍人が食料支援を受けるなんて…」アメリカ政府の閉鎖により軍の給与が未払いに「もう限界」となっている。日本語版の日付は2025年10月16日。
この記事によるとアメリカの軍人がフードバンク(翻訳では食料支援)に並んでいる。しかしながら給料は支払われているのだから「何かのパフォーマンスでは?」と疑う人もいるなどと付け加えられている。
検索したところ別の記事でも食料パントリーに並ぶ人たちが増えているという記事を見つけた。単なるソーシャルメディアのバズでもなさそうだ。
日本ではあまり報道されていないが、アメリカ合衆国では民主党が医療・福祉を支援し共和党が軍隊を支援するという構造がある。このため予算を巡る駆け引きが起こるとお互いがお互いの嫌がる予算削減を主張。その対立は年々激化しておりついに2025年10月に政府閉鎖が起きた。トランプ大統領は政府閉鎖が長引けば長引くほど民主党がダメージを受けると考えており政府閉鎖は長期化すると見られている。
GEMIMIを使ってこの問題を整理すると意外な事がわかってきた。まずアメリカ合衆国には軍人に食料援助を行うサービスがある。ASYMCAというそうだ。
さらにGEMINIは「このところ食べ物に不安を持つ軍人が増えている」という調査結果をいくつかピックアップしてくれた。例えばこの調査によると軍人と退役軍人家族のうち5人に1人が「食べ物に不安を感じている」のだという。
Food insecurity rates over time among military and veteran families:
- 2017: 15%
- 2019: One in eight
- 2021: One in five
- 2022: One in six
- 2023: One in five
そもそも兵士の待遇が悪かったのか、低所得・中低所得の人が職業として軍人を選択するのかはわからないが、とにかく貯蓄が少なくその日暮らしの人が多く存在するようだ。このため「将来的に賃金が支払われなくなるのでは?」という不安が生じただけでフードバンクに並ぶ人が増える。
日本の常識で考えると国家公務員が飢えの心配をすることなど考えにくいのだが、アメリカ合衆国では日本の常識は通じないようだ。
日本では自衛隊員の困窮など考えにくいと書こうと思ったのだが実際には「度を超す関係、長年癒着 海自隊員も意識甘く―背景に備品不足・川重裏金」という記事もある。確かに日本でも自衛隊員の待遇改善が進んでいないという声を聞くことはあるが、政治的発言を控える傾向にある自衛隊から待遇改善の要求は出ない。実は他国のことを笑うのは適切ではないのかもしれない。
一方、報告書は自衛隊の備品不足も一因だとした。ゲーム機など明らかな私物も供与されたが、隊員の要望は業務に必要な工具や艦内生活を便利にする共用家電などに集中していた。防衛省は「私物と区別し難い」としつつも、再発防止には「備品の迅速な支給や個人のニーズに応える体制も必要」とした。
度を超す関係、長年癒着 海自隊員も意識甘く―背景に備品不足・川重裏金(時事通信)
いずれにせよ、アメリカ合衆国の政治は国民の安心・安全を支える人々は「黙って働いてくれるもの」と考えている。トランプ政権はこうしたエッセンシャルワーカーの問題を重く考えていないようだが、問題の直接的な原因はバイデン政権下で起きた高すぎるインフレだ。結局両政党とも国民生活には大した関心を持たず自分たちの政治闘争に血道を上げているだけなのかもしれない。
