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アメリカ連邦政府閉鎖は長期化するのではないか

8〜11分

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立憲・国民の連携話をきっかけにオバマ政権で起きた連邦政府閉鎖が日本の安保法制に与えた影響について調べた。この副産物としてアメリカ合衆国では軍事と医療福祉がなぜか両天秤に乗っているということがわかった。今後日本の安全保障について考えるうえでは重要な視点だ。この緊張関係が緩和しているのなら日米安保は盤石だが、より悪化していると考えると日米安保について再考の必要があるという結論が得られる。

まず、結論から書く。どうやら医療福祉と軍事費を天秤にかける状態は今も続いているようである。むしろ悪化していると言っても良い。上院のトゥーン院内総務はマコーネル院内総務に「オバマケアについての投票を呼びかけた」と言っているが、マコーネル氏はそんな話は聞いていないと言っている。どうやらトゥーン氏は兵士に対する給料の確保だけを先に通したいようだ。そこで「民主党がオバマケアの審議を妨害している」という印象を作りたかったのではないかと感じる。

記事の中で医療福祉と軍事費が天秤に乗っているという記述はない。あくまでも別個の事象として語られている。

Axiosは独占記事でホワイトハウスの目論見について分析している。どうやら「予算を人質にとって消耗戦を仕掛ければ先に民主党支持のほうが悪化する可能性が高い」と見ているようである。つまり自分たちも失うものがあるがそれよりも敵が失うもののほうが大きいと考えている。

いっけん合理的に聞こえるが「そもそもなぜお互いが予算を人質にとって立てこもらなければならないのか」がさっぱりわからない。つまり議会闘争が内戦状態に発展しているということになる。

いずれにせよ、議会共和党とトランプ政権には連邦政府の閉鎖問題を解決する動機がない事になり「政府閉鎖は長引く」ことが予想される。

ではなぜこんな事になったのか。

オバマ政権はリーマンショック問題の解決に失敗したとみなされ、中間選挙において下院が共和党主導のねじれ状態になった。

このときに大幅に予算を削減するという提案が行われるのだが、このときに議会共和党・民主党がお互いに嫌がらせとしてそれぞれ軍事費と医療・福祉の削減を要求した。つまりお互いが人質を取って立てこもった。

つまり今回も議会交渉が優先されれば同じような対立が起きることになる。

トランプ政権はこれを避けるために「人質交渉」には応じずに一方的に民主党的なプログラムの「恒久的な削減」を始めてしまう。ラス・ヴォート氏は民主党プログラムから11000人を解雇する計画があると表明している。

アメリカ合衆国では民主・共和以外の新しい政党を立てることが難しいため、政治状況が複雑になればなるほど二大政党の不毛な政治対立が自己目的化してしまうのかもしれない。結果的に議会内戦が起こるさまざまな弊害が起こる。経済統計はまともに信じられなくなり、管制官の給料も支払われないため飛行機がまともに飛ばなくなる。

さらに、日本の安全保障はこの先も不安定な民主主義に依存する状況が続くことになると予想できる。

アメリカでは西部劇さながらの内戦が進行している。では二大政党制ではなく多頭乱立ではどうなるのか。フランスでは極右・左派がそれぞれ独立した不信任案を出した。左派の不信任案は社会党(社会党も左派)が協力しないことでかろうじて成立しなかったのだが、これは現実的には「いつでも今の内閣を不信任で潰せますよ」という意思表示になる。社会党は年金改革の停止を求めている。

日本でも自民・立憲という二大勢力がどちらも決め手を欠いたまま存在する。このため少数政党の複数の要求を飲まなければ予算が通らない状況が生まれている。少数野党は財源などの責任は取らないで自民党に自分たちの要求を突きつければ良く全体として風まかせで無責任な体制の国会が作られようとしている。

つまりどんなに選挙制度を変えても、先進国の民主主義はどこも「それなりに」問題を抱えつつある。

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