このエントリーでは政策連携について整理する。大きなニュースは3つある。維新が自民党と前向きな政策協議を始めた。参議院でNHKから国民を守る党の議員が自民党と統一会派を組んだ。そして公明党は衆議院では野党席に座るも参議院では与党席に座り「ゆ党」化している。
維新が高市早苗総裁の申し出を受け入れ副首都構想などがまとまれば高市氏を首班として指名してもいいと約束した。野党協議がまとまらないため「裏切り者」と言われることがなくなり高市早苗氏に大きな貸しを作ることができるという意味では賢い選択なのかもしれない。
一方で国民民主党は多数派のいない状態をキープし自分たちをできるだけ高く売りたい。このためどちらの首班指名にも協力せず「時間をかけて」信頼関係を構築したいと言っている。
高市早苗総裁は国民民主党に対してはともに責任をになってもらいたいと呼びかけたようだが、維新には連立政権入りは打診しなかったようだ。
ゆ党戦略の背景と肝がわかる。「結果と印象」次第で民意が動くのでそれに合わせて機敏に対応できるようにしておかなければならない。バスケットボールやドッチボールで言うところの「ピボット」が重要なのだ。
現在の日本は長引く低成長(一般にはデフレと言われる)が終わりインフレ時代に入った。このため国民生活には痛みが広がっている。さらに利権構造が崩れつつあり無党派が増えている。無党派は経済政策の方針ではなく結果にのみ大きく反応し支持率が上下動する。そしてSNS民意は辛抱が苦手だ。
自民党の支持母体は産業構造の変化や少子高齢化の進展などによって崩れつつある。既得権益層が崩れれば崩れるほど無党派が増えてゆく。部外者になった有権者は既得権益と自民党の結びつきを醒めためで見るようになり「政治とカネ」の問題が政治の重要なテーマになった。
国民民主党も立憲民主党も既得権を支える細かな金の流れを断つことにより自民党の勢いを削ぐことがわかっているため地方組織が企業から直接カネを受け取ることを禁止しようと動いている。そして公明党もついにこの流れに乗った。
つまり、今度新しくできるであろう高市政権が無党派に直接利益配分ができれば当面は安泰ということになる。高市早苗総裁は自民党税調からインナーを引き剥がし有権者は高市政権の政策に期待している。
ところがこの高市早苗新総裁の出現はインフレを加速させる円安と株高という効果をもたらした。投資家は大喜びだが株に縁が無い一般消費者にとっては物価高につながる危険な状況である。
おそらく国民民主党はこの状況がわかっている。自民党内部に抵抗勢力がいれば「自分たちの政策が実現しない」ことがあらかじめわかっているわけだから「思い切って正義の味方ごっこ」ができる。
維新はまた無党派層に支えられており、高市政権の支持率が下がると「支持率の切れ目が円の切れ目」ということになる。つまり高市早苗新総裁のもとで「無党派依存」が高まっていることになり「ポピュリズムへの誘惑=財政拡張」と政治の流動化圧力が強くかかる展開が生まれている。
公明党は今回の斉藤鉄夫代表の決断に揺れているようだ。一度言い出してしまった以上は野党として振る舞うほかなくなり、維新と自民党の接近に焦りつつも衆議院では野党席に座った。一方参議院では内閣に参加していることを理由に与党席に座ったそうである。更に斉藤代表は「再協力は拒みませんよ」とも言っている。おそらくかなり正直で真面目な人なんだろう。見ていて少し気の毒になる。
高市総裁は数合わせに奔走しており参議院でNHKから国民を守る党の斉藤健一郎氏が無所属として自民党回入りした。もともと堀江貴文氏の秘書で、現在は堀江貴文氏「が」秘書ということになっているそうだ。N国本体は名称を変えつつ迷走している印象だが斉藤さんだけが参議院に取り残されていたということなのかもしれない。
