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ルコルニュ首相はかろうじて内閣不信任案を回避へ

5〜7分

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当ブログはあまり注目されていないフランスの内政に注目している。当初内閣不信任の無限ループが予想されていたがかろうじて回避されそうだ。ルコルニュ首相の手腕と言うよりは既存政党の「日和見」が原因だ。

マクロン大統領に近いルコルニュ首相は左派を首班にはせず左派が主張する年金改革を次の大統領選挙まで先送りにすると宣言した。なんの確約もないが社会党は「この賭けに乗る」と言っている。

背景にあるのが既存政党離れと世論の過激化だ。選挙のたびに過激な言論が繰り広げられ右傾化・左傾化が進んでゆく。社会党は年金改革には反対の立場だが「選挙は避けたい」という思惑があるのだろう。

極右・極左は内閣不信任を出したいようだ。こうなると穏健右派である共和党の動向が気になる。共和党は年金改革推進派なので今回のルコルニュ首相の決断に反発しても不思議ではないがやはり選挙は避けたいようだ。共和党が協力しなければ極右・極左が不信任を突きつけても過半数に到達しない。

共和党のルタイヨー氏は現在内務大臣を務めておりなおかつ次回の大統領選挙への出馬意欲を示している。

このため、ルタイヨー氏は今回のルコルニュ内閣には残らない。自分たちの主張が通らない以上はマクロン体制から距離を起き次回の大統領選挙を有利に進めたい。しかしながらその発言は不思議なものだった。マクロン・ルコルニュ体制に残るか撤退して自分の陣営にとどまるのか選べと言っている。

ルタイヨー氏の所属する共和党は声明で、第2次ルコルニュ内閣に残留する閣僚は、もはや党所属ではないと発表した。

仏大統領、政治安定呼びかけ-今週再び内閣不信任案提出の恐れ(Bloomberg)

実は大統領に野心を持つルタイヨー党首のことを快く思っていない共和党議員が多いようなのである。BBCは冷静にこう書いている。

大統領選への野心を持つことで知られるルタイヨー氏は、ルコルニュ第2次政権には加わらないことを明言。中道派と保守派による「共通基盤」はすでに崩壊したと宣言した。ただし、同氏の党内の全ての議員がこの見解に同意しているわけではない。

マクロン仏大統領、ルコルニュ氏を首相に再任命 政治的混乱続く(BBC)

政権政党に取り込まれた非主流派が分裂騒ぎを起こし停滞してゆくという図式は村山政権のときに見られた。社会党村山政権は総理大臣を経験したことで分裂し、社会民主党の停滞につながっている。

既存政党の共和党も国民の期待に応えられておらず党内の意見の不一致がまとめられないという状況が露呈している。結局のところマクロン政権はこのまとまらない状況を利用してかろうじて存続しているということになる。

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