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立憲・国民・維新の連立はなぜ成立しないと言えるのか

11〜16分

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本日、立憲・国民・維新の党首が会談を行う。首班指名でまとまれば野党系の総理大臣が誕生する可能性があるがおそらくまとまらないだろう。困ったことになぜまとまらないのかについて書いた記事がないため情報を整理してゆく。キーになるのは集団的自衛権の一部違憲問題である。

現在の日本は敗戦によって生まれた。

戦勝国が体制を維持するために国連を作り侵略戦争と植民地政策を否定する。このときに欧米は戦勝国の枠組みが「欧米ではなく世界である」と示すために中国とソ連を参加させた。その後、国連内では路線対立が起こり次第に東西冷戦構造が作られていった。

と「それが一体今回の総理大臣指名となんの関係が?」と思う人がほとんどではないか。

この後アメリカ合衆国は方針を大きく転換する。ここで作られたのが日米安全保障条約だった。つまり日本国憲法と日米安保は異なる前提のもとに作られている。

岸信介総理は日米安保を改訂するときに合わせて日本国憲法も変えるつもりだったようだが死者まで出た国民の反対運動に会い退陣する。その後にできた宏池会系の内閣はこの問題を棚上げにし経済優先政策を打ち出したため憲法と日米安保のズレは解消されなかった。

仮に日本国民が日米安保を支持し続けるのであれば原理的に作られた前提が違う憲法を改正しなければならない。しかし、安倍政権にはそれができなかった。

おそらく当時の安倍政権はアメリカ合衆国から強い圧力を受けてきたのだろう。最初のこの記事を書いたときには「第一次トランプ政権下らの圧力だろう」と書いたのだが改めて情報を整理すると次のことがわかった。

なので当時はオバマ政権だった。つまり共和・民主両党から超党派の強い圧力を受けていたことがわかる。

安倍政権はこうした変化を国民に説明できなかった。この時点で実は大きな体制変化が起きている。つまり憲法と日米安保のズレが整理されないままで、日米安保そのものが変質しつつあったのだ。

第二次トランプ政権ではこうした過度な要求がSNSで発信されることになり日本国民の間にも周知されるようになった。しかし、おそらく当時はトランプ大統領の強硬さは「国家機密クラス」の不都合な情報だったのだろう。

立憲民主党の中には護憲運動支持者に依存している人たちがいる。もともと原理主義的護憲主義の社会党を取り込んでいるからである。安倍政権は改憲を回避し「内閣による憲法解釈を変える」という手続きを取り集団的自衛権を認めたため立憲民主党には「プロセスが邪道である」という手続き論とそもそも憲法9条原理主義を採用しアメリカに追従すべきではないと考える原理原則論が混在しているようだが、誰がどんな主張をしているという報道はない。

立憲民主党は集団的自衛権の問題を整理できず曖昧な「安保法制部分違憲論」を取っている。野田佳彦代表は石破総裁との討論で「政府からの情報がなく党内で問題を整理できない」と認め石破総裁を呆れさせている。

こうした状況は断片的には伝わってくるものの今回の一連の報道を読んでもこの問題についてきちんと解説している記事が少ない。Bloombergが安保など重要政策に対する各党の意見をまとめ立憲民主党の部分違憲論にリンクを張っている程度だ。

公明党と自民党の離婚騒ぎのとき「根幹にある宗教対立がもたらす感情的なすれ違い」について分析した。これがわからないと一体何に反発しているのかがよくわからなくなるからだ。しかし少なくともテレビはこの問題について触れようとしなかった。

同じように立憲・国民・維新の連携においても根幹にある国家運営の基本認識の違いについては語られることはないのかもしれない。

おそらくこれは個人的な指向の問題だと思うのだが、複雑な問題を考える場合にはまずゴールを設定して基本的な違いについて整理したほうが早く問題が片付くのではないかと考える傾向があるように思う。一方でメディア報道や政治家の発言は「そこから生まれた問題や現象を一つひとつ個別に理解する」傾向が強く、どうしても要領の悪さを感じてしまう。

例えば今回の問題では

  • 日本をどのように国際社会に合わせてゆくのがラクなのか

という問題設定があり

  • 日本国憲法は国連中心主義のもとで作られ
  • 日米同盟は東西冷戦を念頭に置いており
  • 民主主義のゆらぎからトランプ大統領は日米同盟を「ディール志向」に変えようとしている

という基本認識のもとに情報を整理した。

しかしながら日本の政治は日本国憲法を書かれた当時のまま維持するか日米同盟を前提にするかで揉めている状況。つまり現在の「ディール志向の大統領とどう渡り合って日本の安全保障を維持するか」という議論にまで行きついていない。

いずれにせよ玉木雄一郎氏は、今回の政局を使って国民民主党の価値を最大化するかと言う問題に囚われている。立憲・国民・維新の党首会談が行われ、高市早苗総裁とも個別に会うようだ。政党経営者として与野党のポジションをつまみ食いするゆ党戦略に囚われており、どのような振る舞いが国益を最大化するかという政治家としての視点はない。

ただし玉木代表は自分を安全圏においている。閣外で自民党政権に参加しない限りにおいて玉木氏がトランプ大統領にこの問題を突きつけられることはない。

しかし国民民主党ばかりを責めることもできない。立憲民主党の護憲派は頭の良さをこじらせた人ばかり。代表的な議論を小西洋之氏に見ることができる。

国民は目の前の経済状況の解決を求めており、日米同盟は盤石なのだという安心感を得たい。しかし小西氏はそもそも参議院の憲法審査会でこのような神学論争を繰り広げており国民の気持ちよりも自分の運動体の確保にしか関心がないことがうかがえる。

いずれにせよ神学論争主義者が多い現状では野田佳彦代表がいくら「党内からの一任を取り付けた」などと主張しても誰もそれを信じてくれる人はいないだろう。